【不動産業】Z世代の集客とは?|効果的な宣伝方法を紹介します


2024年06月24日

【不動産業】Z世代の集客とは?

今後の不動産経営、とりわけ集客方法を考える際、「Z世代」と呼ばれる若年層の取り込みは欠かせません。インターネットの活用方法・知識・考え方などのネットリテラシーにおいて、Z世代は他の世代と大きく異なるといわれています。そのため今後の不動産業において、Z世代へ効果的に宣伝するには、彼らの部屋選びのスタイルや価値観への理解を深める必要があるといえるでしょう。

そこで本記事では、Z世代の部屋選びの傾向を詳しく解説した上で、有効な宣伝方法を紹介します。Z世代の集客強化を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

Z世代はどんな人たち?特徴や他の世代との違いを解説

Z世代はどんな人たち?

Z世代に明確な定義はありませんが、Z世代とは1990年代後半〜2012年頃に生まれた年代が該当すると言われています。彼らは子どもの頃から当たり前のようにインターネットがある環境で生活しているため、デジタルネイティブとしてSNSをよく利用するのが特徴です。ネットリテラシーが総じて高く、インターネット上の情報が必ずしも正しいとは言い切れないことをよく知っており、情報の正確性を求める傾向にあります。

早いうちからインターネットを介してさまざまな情報に触れているため、人種差別や男女格差といった社会問題に関心を寄せる人も少なくありません。また、SNS上ではさまざまなインフルエンサーによる情報発信を目にしており、その人ならではの価値観や個性を重視するのも特徴です。

X世代(1960年代中頃~1980年頃生まれ)との違い

X世代の特徴は、高度経済成長期やバブル期、ITテクノロジーの普及といった時代の転換点をリアルタイムに経験しているところです。強い独立心を持っており、転職や起業への抵抗が少ないと言われています。マスマーケティングの影響を受け、物質的な豊かさや成功を重視する傾向にあるのもX世代の特徴です。

一方、Z世代はSNSの普及・気候変動・コロナ禍の経験など、前例のない事態やオンライン上でのコミュニケーションを実際に体験しています。Z世代が電話でのやり取りが他の世代より苦手と言われる理由の1つは、SNSやオンラインツールの普及(の影響)でしょう。またインターネット上で多様な考え方に触れており、自分が「いい」と感じたものに自分なりの価値を見出す傾向があります。

Y世代(1980年頃~1990年代中頃生まれ)との違い

Y世代は、リーマンショックや地球温暖化の加速など社会的な変動を経験している世代です。ただし幼少期に、バブル期のような景気の良い時代を一部体験した人もおり、X世代と共通してブランドや成功に重きを置いている人、夢・やりがいを求める人も一定数存在します。多くの人は社会に出る前からインターネットに触れており、対面・口頭だけでなく文章でのやり取りにも長けています。

一方、Z世代はY世代と比べると現実的な考えを持っており、就職・転職の際は安定性や成長性が期待できる会社を選んだり、無駄を省いて効率を重視したりするのが特徴です。またコミュニケーションの取り方もSNSの普及により、短文や動画・画像での対応を好む人が多い傾向にあります。

不動産ビジネスでZ世代の集客が重要である理由

不動産ビジネスでZ世代の集客が重要である理由

Z世代は2024年時点で10代〜20代前半の年代層が該当します。今後、進学・就職するにつれ経済活動が活発になり、不動産を売買したり賃貸借したりする人も増えるため、不動産業界にとっては次世代のターゲット層といえます。

ただし、Z世代はコミュニケーションの取り方や価値観など、他の世代と異なる点が多くあるので注意が必要です。Z世代の特徴をうまく掴めず、間違った方向で広告宣伝していては経営に影響を及ぼしかねません。Z世代が集客のメインターゲット層になったときスムーズに対応できるよう、早いうちから対策を進めることが重要です。

他の世代とは異なる!Z世代の部屋選び・探しの傾向は?

Z世代の部屋選び・探しの傾向は?

インターネット上でのコミュニケーションに慣れており、自分らしさや個性を重視するZ世代の価値観は、部屋選びにも反映されているようです。このセクションでは、不動産会社やマーケティング研究機関が実施したアンケート調査をもとに、Z世代の部屋選びの傾向や他の世代と異なるポイントを紹介します。

SNSやインターネットを使って部屋を探す人が多数

株式会社いえらぶGROUPは、不動産会社とZ世代を対象に、住まいの探し方に関するアンケートを実施しました。

不動産会社に「今後伸びると思う集客方法」、Z世代に「今後住まい探しで使いたい方法」を聞いた結果は、以下の表の通りです。

Z世代に「今後住まい探しで使いたい方法」を聞いた結果

不動産会社が考える集客方法として「紹介」「チラシ・タウン情報誌」がランクインしているのに対し、Z世代はすべてSNSやインターネットを経由して情報収集している点が興味深いところです。Z世代は不動産会社の想定以上にIT・デジタルツールを重視して部屋を探そうとしているのです。

部屋選びに動画を参考にしたいと考えている

ハウスコム株式会社が実施した部屋選びの価値観や動向に関するアンケート調査では、Z世代の50%以上が「物件紹介動画を参考にしたい」と考えていることが分かりました。Z世代が部屋選びで動画を視聴したいと思う主な理由は、物件の中身・広さがイメージしやすいからです。

動画を視聴することで「物件探しが楽しくなった」「引っ越しが楽しみになった」と感じる人もそれぞれ30%近くおり、Z世代の集客に物件紹介動画は欠かせなくなりつつあります。

賃貸サイト・アプリに情報の豊富さを求める傾向

Z世代に関する研究・調査を行っているZ総研がまとめたデータによると、Z世代は賃貸アプリや賃貸サイトに対して「情報の豊富さ」を強く求めているようです。「賃貸アプリ(サイト)に求めることはなんですか?」という質問には、以下のような項目に注目が集まりました。

  • 内装の写真が豊富(75.4%)
  • 掲載物件が多い(62.1%)
  • 細かく条件設定できる(51.5%)
  • 物件情報の正確さ(41.5%)
  • 口コミ情報(41.5%)

Z世代は賃貸サイトやアプリを閲覧している段階で、ある程度具体的に物件のイメージを掴んでおきたいと考えており、正確な情報や口コミを入手して物件選びの失敗を避けようとする傾向があるようです。

部屋選びでは家賃を重視!間取り・交通の利便性を気にする意見も

Z総研の調査では、Z世代が部屋選びの際に重視する条件を聞いています。重視したい条件を3つ選ぶ形式の設問によると、Z世代は部屋選びにおいて圧倒的に家賃を重視していることが判明しました。トップ10にランクインした条件は以下の通りです。

  1. 家賃(82.4%)
  2. 最寄り駅からの距離(32.6%)
  3. 間取り(28.6%)
  4. バストイレ別(27.2%)
  5. 部屋の内装(26.2%)
  6. 治安(24.9%)
  7. セキュリティー(23.6%)
  8. 通勤・通学時間(20.9%)
  9. 周辺環境(11.6%)
  10. 立地(9.0%)

Z世代を対象に広告・宣伝活動をする際は、上記の項目はなるべく網羅して物件を紹介するとよいでしょう。

「一人暮らしをしてみたい!」と考える人は8割

Z総研の調査では「一人暮らしをしてみたいと思いますか?」という質問に対して、Z世代の80.4%の人が「してみたい」と回答しました。2024年時点でZ世代は10代〜20代前半と学生が多く、進学や就職のタイミングで一人暮らしをしたいと考える人が、一定数いるのが分かります。

一人暮らしを始めるタイミングについては、社会人になって1~2年経過し余裕が出てきてからが良い、あるいは高校卒業後すぐにしたい等、人それぞれです。ほとんどのZ世代が社会人になるまであと10年ほどの時間があります。不動産会社にとって、今後はZ世代に向けた一人暮らし用の物件の準備や宣伝が必要になるでしょう。

インテリアはシンプル系が人気

Z総研の調査では、Z世代にとって一人暮らしの理想のインテリアはシンプル系(36.5%)が最も人気でした。ほかにもホワイト基調の内装やギンガムチェックの家具などを取り入れた韓国風(26.9%)、ぬくもりを感じられるナチュラルウッド(12.3%)にも人気が集まっています。

またSHIBUYA109 lab.のリサーチでは、Z世代は日頃からSNSで日常を発信したり、インフルエンサーの魅力的な部屋を目にしたりしていることから、インテリアには「映え」を意識する声も見られます。Z世代を対象に物件を紹介する際は、おしゃれなポイントや家具の配置の例に触れるのもよいでしょう。

【事例解説】Z世代の興味を引く集客方法とは?

Z世代の興味を引く集客方法とは?

不動産会社やマーケティング研究機関の調査結果を見ると、Z世代はインターネットをよく利用し、多くはSNSで人に見られることを意識しながら部屋を探していることが分かりました。

また部屋探しの方法として、不動産会社が考える方法とZ世代の認識に若干のズレがあるのも分かります。今後はより意識的に、Z世代の行動様式にピントを合わせた集客方法が重要です。

ここでは、Z世代の興味を引く集客方法について具体例を挙げながら解説します。

SNSを積極的に活用した情報発信を!

Z世代はSNSをよく利用します。不動産会社の集客方法も、Z世代の目に触れるよう、積極的にInstagramやX(旧Twitter)などを活用し情報発信しましょう。自社で取り扱っている物件情報のほか、部屋選びのノウハウのようなお役立ち情報、生活の知恵などもあわせて発信するのがおすすめです。

例えば東急リバブルのInstagramでは生活のお役立ち情報、京都ライフのInstagramでは自社が取り扱っている物件を投稿しています。少ない投稿回数はユーザー離れにつながるため、定期的かつこまめに情報発信することが大切です。

物件の写真はなるべくたくさん登録する

Z世代は部屋を探す際に、内装や雰囲気を具体的にイメージできることを重視しています。自社の取り扱い物件をホームページ等に掲載するときは、部屋の全体像だけでなく、クローゼットの中・靴箱・キッチン・バスタブ・トイレ・洗濯機置き場など、細かいところまで撮影し掲載しましょう。

SUUMOに掲載してある物件情報を見てみると、6帖のワンルームでも室内だけで10枚以上写真を登録しているところもあります。写真で伝えきれないところは360°ビューを活用し、部屋をぐるりと見渡せるようにするのもよいでしょう。

1分以内の動画コンテンツを投稿する

Z世代は効率を重視し、時間を無駄にしないよう行動する傾向があります。また、YouTubeのショート動画やTikTokなどで短尺動画(尺が1分以内の動画)に触れているため、動画コンテンツは1分以内に収めるのがポイントです。

物件紹介動画では部屋全体を映し、家賃や間取りといった必要な情報をコンパクトにまとめます。YouTubeやSNSに動画投稿する際は、BGM・ナレーション・字幕を付け、まるで短いテレビ番組のような演出にするのがおすすめです。

自社で動画作成するのが難しいときは、外注するのも良いでしょう。YouTube動画では札幌賃貸情報RoomPaが視聴しやすい動画コンテンツを投稿しており参考になります。

物件の検索画面は絞り込み検索ができるようにしておく

Z世代は自分らしさや個性を大切にする人が多く、部屋選びでも家賃・間取り・内装などを重視する傾向があります。自社サイトに取り扱い物件を掲載している場合は、彼らの好みの部屋がすぐに見つかるよう、細かいところまで絞り込み検索できるようにしましょう。

その他、SUUMOホームズといった不動産ポータルサイトに物件情報を登録するのもひとつの手段です。不動産ポータルサイトには、家賃・専有面積・築年数・キッチン・セキュリティなど細部まで絞り込める機能が備わっているため、自社サイトを整備しなくても絞り込み検索の需要に対応できます。

オンライン内覧会に対応できるよう準備する

オンライン内覧会は、遠方に住んでいて物件を見に行く余裕がない人に加え、「現地に行くほどではないけれど少し興味がある」という比較的近場の見込み顧客も取り込むのに有効な集客施策です。

コロナ禍を経験し、学校の授業をオンラインで受講したことがある多くのZ世代にとって、オンライン上のコミュニケーションは大変身近なもの。その点、オンライン参加できる内覧会は参加する際の心理的なハードルも低くなるため、Z世代の集客施策としても有効です。

賃貸物件の情報サイトであるホームメイトでもオンライン内覧会に対応する体制を整え、入居サポートを行っています。リアルタイムでお客様とやり取りし、その場で不明点や不安を解消させられるのがオンライン内覧会のメリット。集客施策の1つとしてオンライン内覧会を試してみるのもよいでしょう。

集客にZ世代の攻略は不可欠!今から少しずつ準備を始めよう

集客にZ世代の攻略は不可欠!今から少しずつ準備を始めよう

インターネットやSNSに慣れ親しみ、自分らしさや個性を重視するZ世代。2024年時点では学生が大半を占めています。いずれは進学・就職・結婚などのタイミングで賃貸物件を借りたり戸建住宅を購入したりする可能性が高く、将来的にはZ世代が主な消費者層の一角を担うようになるでしょう。

部屋を選ぶ際はITやテクノロジーを活用する人が他の世代よりも多い傾向にあるため、集客対策の一環としてZ世代への対応は欠かせません。今から少しずつ準備に取り掛かり、Z世代が集客のメインターゲットになったとき、しっかりと対応できる体制を整えていきましょう。

不動産に関するご相談は「全日本不動産協会」へ

「全日本不動産協会」は、中小規模の不動産会社で構成されている公益社団法人です。法人のマークにウサギが描かれていることから、「ウサギ」「ウサギマーク」の愛称で親しまれています。

「全日本不動産協会」では、不動産会社を経営している方・不動産業に携わっている方に向けた相談窓口を設けております。不動産実務をはじめ、不動産業に関わることなら何でも相談可能です。

地方本部でも、会員の方からの相談に定期または不定期にて応じております。不動産会社の経営に関する相談は「全日本不動産協会」にお声がけください。

 

 



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