不動産業の営業スタッフを育成するには?教育で差をつける7つのポイント


2023年12月21日

不動産営業の教育、育成
不動産業において、営業スタッフの育成は経営を成功させる重要な鍵といえます。実力のある営業チームを構築するためには、体系的な教育制度(仕組み作り)が不可欠です。

本記事では、不動産営業のプロを育てるための7つのポイントをご紹介します。効果的なトレーニング手法から、モチベーションを高めるコミュニケーションスキルの磨き方まで、実践的なノウハウをお伝えします。優れた営業人材を育て、業績向上に直結させるためのコツを一緒に考えていきましょう。

不動産営業の成功は教育から

不動産営業の成功は教育から
不動産業界において、中心的な役割を担う営業。不動産市場は常に変化を続け、競争は激化しており、営業スタッフには専門知識と高度なコミュニケーションスキルが求められます。

こうした環境下で営業成績を向上させるためには、社内の「教育」が重要であることに異論はないでしょう。効果的な教育により、営業スタッフは不動産市場の動向を正確に把握し、顧客に対して適切なアドバイスを提供できるようになります。

教育によって営業戦略や交渉テクニックを磨くことも必要です。さらに営業スタッフが最新の市場情報や法規制の知識を持っていることは、信頼性を高め、結果的に売上増加につながります。

継続的な学び(インプット)と実践(アウトプット)を通じて、不動産営業のプロとして成長できるよう、社内の教育制度(仕組み作り)を整備していきましょう。

ポイント1:不動産知識の習得

不動産知識の習得
不動産業界で成功するためには、まず基本的な不動産知識の習得が欠かせません。物件の種類には住宅、商業施設、オフィスビルなど多岐にわたり、それぞれが持つ特徴や市場価値を理解することが重要です。また、不動産取引には法律や税制が深く関わっており、これらの知識は営業活動においても顧客への信頼を築くために不可欠です。

社内教育や研修を通じて、これらの知識を体系的に身につけることが、プロの営業スタッフとして活躍する土台となります。常に最新の情報をキャッチし、法律改正や税制の変更にも敏感であることが、不動産営業の質を高める上で必要です。

不動産関連の法律や税制の知識習得は必須

不動産取引には複雑な法律や税制が関わってきます。土地や建物の所有権移転には登記が必要であり、売買や賃貸に関わる契約書の内容も法的に適切でなければなりません。また、不動産の取得や保有、売却に際しては、固定資産税や不動産所得税などの税金が発生します。これらの法律や税制を理解しておくことは、不動産営業に携わる人々にとって不可欠です。

教育の面では、不動産に関する専門知識を学べる機会は多くあります。例えば、宅地建物取引士などの資格取得は、不動産業に携わる上で必須の知識を学べるのでおすすめです。不動産市場の動向分析や資産価値の評価方法など、実務に直結する知識を身につけることができます。

不動産の世界は奥が深く、成功するためには専門性の高い知識と経験が必要です。不動産の種類と特徴をしっかりと理解し、法律や税制について積極的に情報をキャッチアップしていきましょう。

ポイント2:コミュニケーション能力の向上

コミュニケーション能力の向上
コミュニケーション能力は、不動産業界での営業活動において大変重要な能力といえます。顧客との信頼関係を築き、ニーズを正確に把握するためには、効果的なコミュニケーションスキルの習得が不可欠です。

営業職では、聞き上手になることで顧客の本音を引き出し、適切な提案が可能となります。さらに説明上手であれば、複雑な不動産情報を顧客に分かりやすく伝えることが可能となります。一般的に営業職におけるコミュニケーションのスキル=話す技術と考えがち。しかし実際のところ、優れた営業スタッフほど、相手の話を理解し、共感を示す能力に優れています。

では、どうすれば営業スタッフのコミュニケーション能力を向上できるのでしょうか。コミュニケーション能力は属人的なスキルになりがちですが、ある一定の水準であれば、トレーニングによって体系的に能力を引き上げることが可能です。

そのためには、実際の営業現場に即したロールプレイを行いつつ、多くの営業経験を積むことが必要です。また、フィードバックを受け入れ、自己反省を行うことで、継続的なスキルアップが可能となります。

聞き上手を目指すトレーニング

コミュニケーション能力は、聞く力と話す力に大別できます。

聞き上手になるためには「アクティブリスニング」を心がけましょう。アクティブリスニングとは、相手の話をただ聞くだけでなく、相手の感情や考えを理解し、共感しながら聞くコミュニケーションスキルです。

アクティブリスニングの基本は、以下の3つです。

1.相手の話に注意を払う
相手の話に集中して、聞き漏らしがないようにします。また、相手の表情や仕草からも、話の意味や感情を読み取ります。

2.相手の話を繰り返す
相手の話を自分の言葉で繰り返します。これにより、相手の話したことを、聞き手が理解したことを示し、話に耳を傾けていることを暗黙に伝えることができます。

3.相手に質問をする
相手の話の理解度を確認したり、さらに深く理解するために、効果的な質問を投げかけます。質問は、オープンエンドな質問をすることで、相手の考えや感情を引き出すことができます。

アクティブリスニングの具体的な手法として、以下のような方法があります。

  • パラフレーズ:相手の話を自分の言葉で言い換える
  • 要約:相手の話を要約する
  • 感情の反映:相手の感情を言葉で伝える
  • オープンエンドな質問:尋問調な質問ではなく、相手の考えや感情を引き出す質問をする

これらの手法を組み合わせて、自分のスタイルに合ったアクティブリスニングを身につけましょう。

話し上手を目指すトレーニング

一方で、話し上手になるには、情報を簡潔かつ明確に伝える技術が求められます。具体的には以下の3つのポイントを押さえて、実践的に顧客と対話を重ねることが重要です。

1.相手のニーズを理解する
説明をする前に、まずは相手のニーズをしっかりと理解することが大切です(アクティブリスニング)。相手の抱えている課題や悩みは何なのか、その課題を解決するために何を求めているのかを理解することで、効果的な説明ができます。

相手のニーズを理解するためには、事前にヒアリングを行うなどして、相手の状況を把握することが重要です。また、商談の際には、相手の話をよく聞き、相手の視点に立って説明するようにしましょう。

2.分かりやすい言葉で話す
専門用語や難しい言葉は、相手に理解されづらく、逆効果になる可能性があります。説明をする際には、なるべく分かりやすい言葉に噛み砕いて話すようにしましょう。

また、相手の知識や経験に合わせて、説明のレベルを調整することも大切です。初心者向けと上級者向けで、説明の内容や表現を変えるようにします。

必要に応じて、営業台本をあらかじめ作成しておくのもいいでしょう。

3.具体的な例を挙げる
抽象的な説明では、相手にイメージが湧きづらく、理解しづらくなってしまいます。説明をする際には、具体的な例を挙げて、相手にイメージを喚起するようにしましょう。

説明をする時には、あわせて具体的な例を挙げると、相手は説明の内容をよりイメージしやすくなり、理解しやすくなります。また、相手に納得してもらいやすくなります。

具体的な例を挙げる際の重要なポイントは以下の通りです。

  • 相手の経験や知識に関連する例を挙げる
  • わかりやすい例を挙げる
  • 説得力のある例を挙げる

これらのポイントを押さえて、具体的な例を挙げるようにしましょう。

また、説明をする際には、相手の反応をよく見て、理解できているかを確認しながら話すことも必要です。相手の表情や仕草、質問などから、相手の理解度が判断できます。相手の理解度に合わせて、説明の内容や表現をケース・バイ・ケースで調整するようにしましょう。

以上、聞き上手、話し上手のトレーニングを継続することで、不動産営業における顧客との関係構築において大きな差別化を図ることができます。

ポイント3:営業戦略の構築と実践

営業戦略の構築と実践
営業戦略の構築と実践は、不動産業界において絶えず進化する市場に適応し成功を収めるために不可欠なものです。不動産仲介業などでは地域特性を理解し、それに基づいたアプローチを取ることは、顧客のニーズに合わせたサービス提供に直結します。たとえば、ファミリー層が多い郊外では広々とした住宅を、一方で、都心部ではアクセスの良さやコンパクトな間取りが重視される傾向にあります。

データ分析は、営業戦略を策定する上で重要なスキルです。顧客データや市場動向を分析することで、ターゲットとなる顧客層の特定や、どのような物件が求められているかについての数字的根拠を得られ、効率的な営業活動が可能になります。

不動産営業においては、地域の特性を把握し、データに基づいた戦略を立て、顧客との関係構築に努めることが成功への鍵です。これらをふまえた教育を実施することで、営業チームは市場の変化に対応し、成果を最大化できます。

地域特性を生かした営業戦略とは?

競合との差別化を図り、成功をおさめるためには、計画的な営業戦略を設計することが重要です。営業戦略というと難しく感じるかもしれません。自社のやるべきこと、訴求するべきことを一つひとつ分けて、整理していきましょう。
地域特性、地域に根ざした営業戦略を設計する手順は、以下の通りです。

1.自社の現状を把握する
まずは、自社の現状を把握しましょう。
具体的には、以下の項目を調査・分析します。

・売上・利益の計画(※過去のデータなどを参考に)
・集客施策の種類・効果
・顧客の属性・ニーズ

これらの分析結果を踏まえて、自社の強み・弱みを明確にしていきます。

2.ターゲット層を設定
次に、ターゲット層を設定しましょう。
具体的には、以下の項目を検討します。

・年齢
・性別
・家族構成
・職業
・年収
・居住地
・不動産の購入・賃貸の目的

ターゲット層を明確にすることで、効果的な集客・営業施策を打つことができます。現在の顧客の中で、理想の顧客をピックアップして、今後狙いたいターゲット層を明確にするのもよいでしょう。

3.地域特性を把握する
ターゲット層を設定したら、次に地域特性を把握しましょう。
具体的には、以下の項目を調査・分析します。

・人口
・世帯数
・平均年齢
・世帯年収
・就業状況
・教育環境
・交通アクセス
・商業施設/公共施設

地域特性を把握するためには、細かく項目を分けて考えるのがコツです。地域特性を把握することで、ターゲット層のニーズをより深く理解できます。

4.営業戦略を立てる
最後に、自社の現状・強み・弱み、ターゲット層、地域特性を踏まえて、営業戦略を立案します。具体的には、以下の項目を検討します。

・集客施策
・営業手法(顧客対応含む)
・ブランディング

つまり、

・どのようにお客様を集めるか
・どのように成約までアプローチ(接客)するか
・どのように強みを訴求するか

以上3点を明確にすることで、営業戦略を設計していきます。

データ分析を活用したターゲティングは必須

データ分析は、不動産業界における営業戦略の策定に不可欠なツールです。顧客のニーズを理解し、それに合わせた物件を提案するためには、地域特性を正確に把握することが求められます。

例えば、ファミリー層に人気の地域では、学校や公園の近くにある物件が注目されやすい傾向にあります。このような情報をデータとして集約し、分析することで、ターゲットとなる顧客層に合わせた効果的な営業戦略を立てることが可能となるのです。

営業活動においては、データ分析を通じて顧客の購買履歴や行動パターンを把握し、それに基づいたパーソナライズされた提案を行うようにしましょう。顧客が何を求めているのかをデータから読み解き、そのニーズに応えることで、信頼関係を築き、長期的な取引につなげることができます。

近年AIをはじめ、デジタル技術が進み、ますますデータをマーケティングに活用する機会が増えてきました。データをうまく活用することで、競合との差別化を図り、市場における自社のポジションを強化しましょう。

ポイント4:デジタルツールを駆使した効率的な営業方法

デジタルツールを駆使した効率的な営業方法
デジタルツールの導入は不動産営業の効率化に大きな役割を果たします。特にCRMシステムの活用は必須といえるでしょう。CRMとは、Customer Relationship Managementの略で、日本語では「顧客関係管理」と呼ばれます。顧客の情報を収集・管理し、顧客との良好な関係を構築・維持する手法です。

CRMシステムを活用することで、顧客データの一元管理が可能になり、過去のやり取りや顧客の好みを瞬時に把握できるようになります。これにより、タイムリーかつパーソナライズされたコミュニケーションが実現し、顧客満足度の向上につながります。

さらに、SNSやウェブサイトを駆使したWEB集客は、ターゲットとなる顧客層に直接アプローチする最適な手段です。これらのプラットフォームを用いて、不動産の魅力を伝えるコンテンツを配信することで、潜在顧客の関心を引き、新たなリード獲得に結びつけることができます。

デジタルツールを駆使することで、不動産営業はより迅速かつ効果的なものになります。CRMの徹底した活用による顧客管理の最適化、SNSやウェブサイトを通じた集客の強化、信頼関係の構築は、今日の不動産業界において不可欠な要素です。

CRMの活用で顧客ベースの営業を徹底する

前項の通り、CRMシステムは不動産業界において、顧客情報の一元管理や営業活動の最適化に不可欠なツールです。

不動産仲介業において、CRMを活用することで、以下のメリットが期待できます。

1.顧客のニーズを把握しやすくなる
顧客の情報を収集・管理することで、顧客のニーズや課題を把握しやすくなります。これにより、顧客のニーズに合った提案やサービスを提供できます。

2.営業活動の効率化を図れる
顧客の情報を活用することで、営業活動の効率化を図ることができます。例えば、過去の来店履歴や購入履歴を把握することで、顧客の興味や関心に合わせてアプローチできます。

3.顧客満足度の向上を図れる
顧客との良好な関係を構築・維持することで、顧客満足度は向上します。例えば、顧客の声を収集・分析することで、顧客のニーズをより深く理解し、サービスや営業活動の改善につなげることができます。

具体的な事例は、以下の通りです。

◆顧客の属性や興味・関心に合わせて、メールやDMを送信する
新築マンションの購入を検討している顧客には、新築マンションの情報をまとめたメールを送信するなど、顧客のニーズに合わせてアプローチできます。

◆顧客の購入履歴を分析して、リピート率を向上させる
過去に不動産を購入した顧客には、住まいに関するアンケートを実施し、顧客の満足度やニーズを把握するなどして、リピート率を向上させるための施策を検討できるようになります。

不動産仲介業において、CRMは欠かせないマーケティングツールです。CRMを活用して、顧客との良好な関係を構築・維持し、売上や利益の向上を目指しましょう。

SNSやウェブサイトを使った集客技術を学ぶ

SNSやウェブサイトは現在の集客技術において重要な役割を果たすツールです。顧客と直接交流できるようなコンテンツを通じて、会社の魅力を伝えることができます。さらに、ウェブサイトを最適化することで、検索エンジンからの訪問者を増やし、潜在顧客を獲得するチャンスは広がります。

あらゆる業界でデジタル化が進む今日、不動産業の教育においても、これらの技術を活かした集客方法を身につけることが、成功への鍵です。

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ポイント5:モチベーションを高めるインセンティブ制度

モチベーションを高めるインセンティブ制度
インセンティブ制度は、不動産業における営業スタッフの成果を正確に評価し、モチベーションを高める効果的な手段となります。この制度を導入する際には、個々の成績だけでなく、チーム全体の成果にも目を向けることが重要です。

成果を正しく評価するインセンティブ制度の設計では、具体的な目標達成に応じた報酬を設けることが一般的です。例えば、不動産営業の場合、売上目標を超えた際にボーナスが支給される、などです。このような明確な目標設定は、営業スタッフにとって明らかな動機付けとなり、積極的な営業活動につながります。

一方で、チームワークを促進する報酬システムの導入も見逃せません。チーム全体の成果に基づくインセンティブは、メンバー間の協力を促し、共同での成果達成に向けた動機づけを提供します。

不動産業では、物件の成約にはチームプレーが重要であり、全員が協力して目標を達成した際にインセンティブが支給されるように設計するのが効果的です。

成果を正しく評価するためのインセンティブ設計

営業活動におけるインセンティブ制度の設計において、注意すべきポイントは以下のとおりです。

1.目的を明確にする
インセンティブ制度を導入する目的を明確にしましょう。売上や利益の向上、営業スタッフのモチベーションの向上など、目的によってインセンティブ制度の設計は変わってきます。

2.対象を明確にする
インセンティブ制度の対象を明確にしましょう。全営業スタッフに適用するのか、特定の営業スタッフに適用するのかなどによって、インセンティブ制度の設計は変える必要があります。

◆目的と対象を検討する際のチェックポイント
Q.自社の経営目標とインセンティブ制度の目的は一致しているか
Q.インセンティブ制度の対象となる営業スタッフは誰か

3.評価基準を明確にする
インセンティブ制度の評価基準を明確にしましょう。売上や利益、成約件数、顧客満足度など、評価基準もインセンティブ制度を設計する上で大切な要素となります。

4.公平性を担保する
インセンティブ制度は、公平性を担保することがとても重要です。評価基準が恣意的に設定されていないか、評価方法が適切か、などを確認しましょう。

◆評価基準と公平性を検討する際のチェックポイント
Q.インセンティブ制度の目的を達成するために必要な評価基準は何か
Q.評価基準は公平性を確保できるか

5.報酬額を決める
最後に、インセンティブ制度の報酬額を決めます。

◆報酬額を検討する際のチェックポイント
Q.インセンティブ制度の目的を達成するために必要な報酬額はいくらか
Q.報酬額は営業スタッフのモチベーションを向上させるのに十分か

インセンティブ制度を設計する上ので注意点

前項の内容を踏まえた上で、インセンティブ制度を設計する上での注意点を挙げておきます。

1.成約件数だけでなく、顧客満足度も評価基準に含める
不動産仲介業においては、成約件数だけでなく、顧客満足度も重要な指標です。成約件数を重視するあまり、顧客満足度を低下させるような営業活動をしてしまう可能性があるため、顧客満足度も評価基準に含めるようにしましょう。

2.営業スタッフのスキルや経験に合わせて、評価基準を調整する
営業スタッフのスキルや経験は、成果に差が出やすいものです。そのため、営業スタッフのスキルや経験に合わせて、評価基準を調整するようにしましょう。例えば、新人営業スタッフは、成約件数よりも顧客との信頼関係の構築や、提案力の向上を評価基準に含めるとよいでしょう。

3.インセンティブ制度を営業スタッフと共有する
インセンティブ制度を導入したら、営業スタッフと共有するようにしましょう。インセンティブ制度の目的や評価基準、報酬額などを営業スタッフに理解してもらうことで、モチベーションの向上につながります。

また、インセンティブ制度は、導入したから終わりではなく、定期的に運用を見直すことが大切です。業績や営業スタッフの状況に合わせて、評価基準や報酬額を調整するようにしましょう。

チームワークを促進する報酬システム

チームワークは不動産業の営業成果を左右する重要な要素です。そのため、単に個人の実績を評価するだけでなく、チーム全体の協力と成果を正しく評価し、報酬するシステムの設計が必要です。

営業チームが連携して業務に取り組むような仕組みを作ることで、全員が目標達成に向けて努力できます。例えば、チーム全体の目標達成度に応じてインセンティブを分配することで、メンバー間の協力を促進できるでしょう。同時に個々の貢献度にも目を向け、フェアな評価を行うことで、チーム内の健全な競争を保てるのでおすすめです。

不動産営業におけるチームワークの促進は、物件の情報共有や顧客への迅速な対応にもつながります。チームメンバーが互いの強みを活かし合い、助け合うような社内文化を築ければ、顧客満足度の向上にも寄与します。その結果、リピート顧客の獲得や口コミによる新規顧客の獲得にも結びつくでしょう。

ポイント6:営業力はロールプレイでスキルアップ

営業力はロールプレイでスキルアップ
不動産営業のプロを目指すには、より現場に近い、実戦的な教育が不可欠です。その中でもロールプレイ研修は、営業スタッフが顧客とのやり取りを想定し、実際の商談に備えるための有効な手法です。

このアプローチにより、臨場感のあるトレーニングを行い、顧客の質問や懸念に対する迅速かつ適切な対応を身につけることができます。ロールプレイを定期的に行うことで、不動産営業のスキルは着実に向上し、最終的には成約率の向上につながります。

ロールプレイで臨場感のあるトレーニングを

ロールプレイを活用した営業研修を行う際には、以下の手順で進めるとよいでしょう。

1.目的と対象を決める(企画の枠組みを決める)
まず、研修の目的と対象を決めます。対象は、新人営業スタッフ、ベテラン営業スタッフ、など分けてもよいでしょう。

2.シナリオを作成する
次に営業シナリオを作成します。シナリオは、研修の目的や対象に合わせて作成します。

◆シナリオを作成する際のチェックポイント
Q.研修の目的を達成するために必要なシナリオは何か
Q.対象となる営業スタッフのスキルや経験に合わせて、シナリオの難易度は適切か

3.ロールプレイを行う
研修当日は、ロールプレイを行います。ロールプレイでは、営業スタッフが実際に顧客役と対面で応対することで、営業スキルを身につけることができます。

4.フィードバックを行う
ロールプレイが終わったら、フィードバックを行います。フィードバックでは、営業スタッフの良い点と改善点を伝えることで、営業スキルの向上を図ります。

ロールプレイする上で大切な具体的なアプローチ

実際にロールプレイする上で、重要なポイントは以下の通りです。

1.顧客のニーズを把握する
ロールプレイでは、顧客のニーズを把握することが大切です。顧客のニーズを把握することで、効果的な提案や対応を行うことができます。

2.顧客の感情を理解する
ロールプレイでは、顧客の感情を理解することも大切です。顧客の感情を理解することで、顧客との信頼関係を構築しやすくなります。

3.わかりやすい説明を行う
ロールプレイでは、わかりやすい説明を行うことが大切です。専門用語や難しい言葉は避け、顧客が理解しやすい言葉で説明するようにしましょう。

4.相手の意見に耳を傾ける
ロールプレイでは、相手の意見に耳を傾けることも大切です。相手の意見に耳を傾けることで、顧客のニーズをより深く理解できます。

5.質問を活用する
ロールプレイでは、質問を活用することも大切です。質問を活用することで、顧客の考えや感情を引き出せます。ロールプレイを活用した営業研修は、営業スタッフのスキルアップに効果的な研修です。上記のポイントを押さえて、効果的な研修を実施しましょう。

また、研修の成果を定量的に評価することも大切です。例えば、研修前後の成約件数や顧客満足度を比較することで、研修の効果は測定できます。

ポイント7:メンター制度で一人ひとりの成長をサポートする

メンター制度で一人ひとりの成長をサポート
メンター制度とは、経験豊富な社員(メンター)が、新入社員や若手社員の成長をサポートする制度です。不動産営業の教育においては、メンター制度を活用することで、以下のメリットが期待できます。

1.営業スタッフの早期戦力化
メンターは、経験豊富な営業スタッフであり、ノウハウやスキルを豊富に持っています。メンターの指導を受けることで、新人営業スタッフは効率的に営業スキルを身につけることができます。

2.営業スタッフのモチベーションアップ
メンターは、営業スタッフの相談相手であり、理解者です。メンターから指導やアドバイスを受けることで、経験が浅い営業スタッフは安心して仕事に取り組めて、モチベーションアップが期待できます。

3.営業チームの結束力アップ
メンター制度は、営業チームの結束力を高める効果も期待できます。メンターと指導を受ける営業スタッフとの間で、信頼関係や連携が生まれることで、営業チーム全体のパフォーマンスの向上が期待できます。

このように不動産営業の教育において効果があるメンター制度ですが、以下の点には注意が必要です。

◆メンターの選定
メンターは、経験豊富で、指導力やコミュニケーション能力に優れた人材を選ぶようにしましょう。

◆メンターと営業スタッフのペアリング
メンターと指導を受ける営業スタッフの性格や考え方、スキルなどが適切にマッチしているかを検討して、ペアリングを行うことが大切です。

◆メンター制度の運用
メンター制度を効果的に運用するためには、定期的にメンターと営業スタッフの面談を行うなど、適切なタイミングのフォローアップが重要です。

具体的なメンター制度の活用方法について

最後にメンター制度の具体的な活用方法を紹介します。

1.営業活動の同行
メンターが新人営業スタッフの商談に同行することで、具体的で、現場に即した実戦的なアドバイスができます。ある不動産会社では、新人営業スタッフの商談に、経験豊富な営業担当者が必ず同行する制度を導入。同行する営業スタッフは、商談の進め方や、顧客の反応の読み方などについて、新人営業スタッフにアドバイスを行います。

2.研修やトレーニングによる具体的な指導
メンターが営業スキルの研修やトレーニングを行うことで、新人営業スタッフのスキルアップを図ることができます。具体的には、営業スタッフが抱える課題について、解決できるようなテーマを研修の場で実施します。研修やトレーニングを通して、彼らが抱える営業課題を一つずつ解決すれば、営業スタッフは確実にスキルUPができるでしょう。

3.仕事の悩みや相談にのる
メンターが新人営業スタッフの仕事の悩みや相談にのることで、営業スタッフのモチベーションアップが期待できます。

最後に、メンター制度を効果的に運用するための注意点についても見ておきましょう。

◆メンターとのコミュニケーションを密にする
メンターと営業スタッフが、密にコミュニケーションをとることで、営業スタッフは心理的安全が確保でき、メンターの指導やアドバイスをしっかりと受けることができます。

◆メンター制度を継続的に運用する
メンター制度を継続的に運用することで、営業スタッフのスキルアップやモチベーションアップに効果を発揮します。

不動産営業の教育において、メンター制度は欠かせない制度です。上記のポイントをおさえた上で、効果的なメンター制度を運用していきましょう。

まとめ:営業教育には体系的な仕組み作りが重要

営業教育には体系的な仕組み作りが重要
今回は不動産業の営業スタッフを育成するための「教育」をテーマに、7つのポイントにしぼって解説しました。

不動産業における営業の成功は教育に大きく依存しています。営業担当者が常に最新の市場情報や法規制、顧客心理を把握していることは、激しい競争の中で生き残るために必須といえるでしょう。教育への投資は、営業担当者のスキル向上と収益性の拡大に大きく貢献します。効果は即時に現れるものではありませんが、長期にわたって組織に大きな価値をもたらします。

ぜひ本記事を参考に、社内教育の体制を整備してみてはいかがでしょうか。

不動産に関するご相談は「全日本不動産協会」へ

「全日本不動産協会」は、中小規模の不動産会社で構成されている公益社団法人です。法人のマークにウサギが描かれていることから、「ウサギ」「ウサギマーク」の愛称で親しまれています。

「全日本不動産協会」では、不動産会社を経営している方・不動産業に携わっている方に向けた相談窓口を設けております。不動産実務をはじめ、不動産業に関わることなら何でも相談可能です。

地方本部でも、会員の方からの相談に定期または不定期にて応じております。不動産会社の経営に関する相談は「全日本不動産協会」にお声がけください。


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