不動産売買|仕組みと流れを解説
2026年05月05日
不動産売買には、物件の募集・契約・引き渡し・登記・確定申告といった一連の流れがあります。本記事では、不動産売買の概要を知りたい方に向けて、基本的な仕組みと進め方を解説します。
「不動産売買」とは
不動産売買は取引価格が高額になるため、慎重な判断と適切な手続きが求められます。特に個人間の取引に起因するトラブルは、最も避けたいものの一つ。
売却・購入にかかる数ある選択肢の比較検討から契約手続き等、全てのフェーズにおいて宅地建物取引業者(宅建業者)の専門的かつ丁寧なサポートが欠かせません。
宅建業者は、権利関係や法令上の制限、建物の状態等を事前に調査し、売主・買主双方が内容を深く理解し、納得できる取引を目指しましょう。
「不動産売買」の流れ

不動産売買の基本的な流れを時系列に沿って解説します。
- 物件の募集
- 調査・査定
- 媒介契約締結
- 申し込み
- 資金計画(ローン審査)
- 売買契約締結
- 決済・引き渡し
- 不動産登記
物件の募集
物件の募集は新聞折り込みチラシやチラシのポスティング等のオフライン集客と、不動産会社の自社ホームページ・一括査定サイト等のオンライン集客の2つに大別できます。
売主・買主がアクセスしやすい導線を設計し、積極的に情報を発信しましょう。
調査・査定
物件の売主は一般的に一括査定サイト等を使い、複数の業者へ机上査定を依頼します。物件の査定は、2種類に大別されます。
机上査定
資料から立地・築年数・間取り等の情報を読み総合的に評価します。
<参考:一物四価(いちぶつよんか)>
1.実勢価格(時価)
実際の市場で売買が成立する価格で、需給バランスや交渉によって変動します。
2.公示価格
国土交通省が毎年発表する「標準地」の価格で、取引の指標や課税の参考に用いられます。
3.路線価(相続税評価額)
国税庁が相続税・贈与税の課税基準として定める道路ごとの土地価格で、公示価格の80%程度が目安とされます。
4.固定資産税評価額
市町村が固定資産税を課税するために算出する価格で、公示価格の70%程度とされています。
訪問査定
訪問査定では、担当者が現地へ赴き、詳しく確認し、より正確な査定価格を算出します。
物件の状態
- 構造上の問題、内装や外装の劣化状況、間取りなど
- 資料だけではわからない、周辺環境、 交通の利便性、騒音、学区、商業施設へのアクセスなど
- 日当たり・風通し等、実際に採光や通風の状態を確認
- 設備の劣化状況についても、キッチン、浴室、給湯器などの動作確認や老朽化の度合い
図面や登記簿といった資料だけでは判断が難しい部分を、現地で確認することで、より精度の高い価格決定が可能となります。
修繕費用の概算見積も考慮し、特に中古物件の査定では、以下の状況も確認することで、将来的な修繕費用の概算見積を算定することもお勧めします。
概算見積
①残置物の状況: 現状のままで引き渡す場合の処分費用や清掃費用
②設備(水道・浄化槽など)の状況: 設備の動作や交換が必要か否か、またその費用
これにより、買主の購入後の負担も想定し、説得力のある査定価格を提示する事ができます。
媒介契約締結
売主が宅建業者へ売却を依頼するときは、宅建業法第34条2に定められる媒介契約を結び、媒介契約書(34条書面)を交付します。下記の3種類の中から、希望に合った形態を提案しましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約は、売主が複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約形態です。各社は、それぞれのネットワークで物件を宣伝し、報酬は成約に至った業者のみに発生します。
契約期間中は売主が自由に契約解除や価格変更ができますが、業者からの活動報告義務が定められていません。売却活動を広い範囲で展開したい売主に適しています。
専任媒介契約
専任媒介契約は、売主が1社の不動産会社にのみ売却を依頼する契約形態です。
媒介期間は原則3か月以内で、その間は他社への依頼は禁止。ただし、売主が自ら買主を見つけることは可能です。
不動産会社は2週間に1回以上、書面または電子メールで活動報告を義務付けられます。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、売主が1社の不動産会社にのみ売却を依頼し、自ら買主を探すことができない契約形態です。
媒介期間は原則3か月以内で、業者は1週間に1回以上、書面または電子メールで活動報告を行わなければなりません。
迅速な対応が期待できる一方、買主にとっては自由度が制限されるとも言えるでしょう。
申し込み
買主が売主または仲介業者に対し、購入意思を正式に伝える手続きです。申込書に物件情報・希望価格・手付金額・融資条件・引渡し時期等を記入し、署名・捺印します。
売主が受理すると、売買契約に向けた具体的な交渉が可能に。申込金は契約締結時に手付金として充当されます。
資金計画(ローン審査)
物件の購入は、一般的に金融機関の融資を受けて行います。居住用物件を購入する際の住宅ローンも、賃貸アパートやマンションなどの投資用物件を購入するための投資ローンも、いずれも銀行の事前審査(仮審査)を受ける必要があります。
住宅ローンでは年収・勤続年数・借入状況等、投資ローンでは事業計画書等をもとに、金融機関が融資の可否や上限額を判断します。諸費用(税金・登記費用・仲介手数料等)も含め、返済しやすい総額を見積りましょう。
売買契約締結
資金の目途が立ち、売主と買主が物件の売買条件に合意したら、正式な売買契約を結びます。
重要事項説明書(35条書面)を交付し、宅建士による「重要事項説明」を実施した後、契約当事者の本人確認を行ったうえで売買契約を締結。
契約書(37条書面)には、物件の詳細・売買代金・支払い方法・引き渡し時期・手付金・違約時の対応等が明記されます。
また、相手方が契約の履行に着手する前であれば、買主は支払った手付金を放棄することで、売主は受け取った手付金の倍額を返還することで、契約の解除(手付解除)が可能です。
決済・引き渡し
決済・引き渡しは、不動産売買の最終段階であり、売買代金の残金を支払い、物件の所有権を正式に買主へ移転する重要な手続きです。
通常は金融機関で行われ、残代金の支払いと同時に、登記申請や鍵の受け渡しが行われます。司法書士が立ち会い、所有権移転登記の確認を行うことで、安全かつ確実に取引が完了します。
固定資産税や管理費等の精算も同時に行われます。媒介した宅建業者は、売主の口座へ入金があったことを確認するまでサポートしましょう。
不動産登記
売買契約締結後には、土地や建物の所有権移転や抵当権設定等をするための「不動産登記」が行われます。
手続きは司法書士が代行するのが一般的で、必要書類や登録免許税の支払いも発生します。2024年3月からは、登記を怠ると最大10万円の過料が課される場合がありますので、ご注意ください。
確定申告

買主
住宅ローンを利用して物件を購入した場合、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けるために、翌年の確定申告が欠かせません。
登記事項証明書・売買契約書・住宅ローンの年末残高証明書・源泉徴収票等の書類を用意しておきましょう。
初年度に申告することで、年末のローン残高に応じた所得税の一部が還付されます。2年目以降は会社員であれば年末調整で対応可能です。
売主
不動産を売却して譲渡益が出た売主は、翌年の確定申告が必要です。
売却額から取得費・仲介手数料・改装費等を差し引いて譲渡所得を計算し、所有期間5年超なら税率が軽減されます。
売却前に設備等を修繕した場合、「修繕費」として必要費へ算入できるケースもある点をご留意ください。
・おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良等であるとき、または一つの修理、改良等の金額が20万円未満のとき。
・一つの修理、改良等の金額のうちに資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合で、その金額が60万円未満のときまたはその資産の前年末の取得価額のおおむね10パーセント相当額以下であるとき。
不動産の仲介手数料
宅建業者が受け取ることのできる報酬額(仲介手数料)には上限が定められています。売買の場合、取引額に応じて段階的に上限が設定されています。
※2024年7月より、売買価格が800万円以下の空き家等(低廉な空き家)については、一定の条件を満たせば、特例として上限33万円(税込)まで報酬を受け取ることが可能となりました。これは、通常の仲介手数料の上限では採算が合わない低額物件の流通を促すための特例措置です。
売買の仲介手数料(速算式)
| 名前取引価格(税抜) | 計算方法 |
|---|---|
| 200万円未満 | 取引額×5% |
| 200万円超400万円以下 | 取引額×4%+2万円 |
| 400万円超の部分 | 取引額×3%+6万円 |
不動産売買で気を付けたいポイント

権利関係
不動産の売買において、権利関係を事前にしっかり確認することは、契約後のトラブルを防ぐためにも非常に重要です。
チェックすべき主なポイント
所有者の確認と登記の状況
現在、物件の所有者が正しく登記されているかを確認します。
特に中古物件は、登記簿に記載されていない未登記の建物がある場合や、相続が発生しているのに相続登記が完了していないケースがあるため、注意が必要です。
第三者の権利の有無
物件に、抵当権(担保として設定された権利)や賃借権(物件を借りる権利)といった、売買後に影響を及ぼす第三者の権利が設定されていないかを事前に調査しましょう。
共有名義の場合の注意点
物件が複数の人による共有名義になっている場合は、所有者全員の同意がなければ、その物件を売買することはできません。
トラブル防止のために
契約を結んだ後に問題が発覚するのを避けるためにも、権利関係の調査や確認は、必ず司法書士などの専門家の助言を受けながら、慎重に進めることが大切です。
都市計画法
都市計画法による用途地域や建築制限を確認することが重要です。用途地域によって建てられる建物の種類や規模が異なり、将来の活用に大きく影響します。
また、市街化調整区域にある土地は原則として建築が制限されており、住宅や店舗の建築ができない場合もあります。
購入前には、建ぺい率・容積率、接道義務等も併せて確認し、計画している建築が可能かを確認しましょう。
建築基準法
建築基準法に基づく制限は、事前に確認が必要です。「接道義務」のほか、「防火地域」「高さ制限」等、地域ごとの規制にも注意しましょう。
不動産売買は信頼できる「宅建業者」へ相談しよう

不動産売買|信頼できる「宅建業者」とは!?
不動産取引では、専門知識を持つ宅建業者とお客様との間に、どうしても情報量の差が生まれてしまいます。
宅建業者には、次の3点を徹底する高い倫理観が求められます。
1. 誠実な情報提供
物件の魅力やメリットはもちろん、法的制限や将来的なリスクなどの不利な情報も、正確かつ丁寧に説明する必要があります。
2. お客様第一の姿勢
お客様の立場に立ち、最善の利益となるよう、きめ細やかなサポートを積み重ねます。
3. 長期的な信頼関係の構築
一つ一つの取引を丁寧に行うことで、お客様との間に信頼関係を築き上げます。
この信頼こそが、リピーターやご紹介という形で、長期的な評価と信用につながります。
宅建業開業のご相談は「全日本不動産協会」
「全日本不動産協会」は、1952年10月に創立された公益社団法人です。中小規模の不動産会社で構成されており、2026年3月末の正会員数は37,934社で年々増加しています。
不動産に関するさまざまな事業を展開し、調査研究や政策の提言、会員を対象とした研修等を行っています。47都道府県に本部を設置し、会員や消費者からの相談も受け付けています。
地域のネットワーク構築に、全日本不動産協会をご活用ください。
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