不動産仲介業|仕組みと仕事内容
2026年05月05日
不動産仲介業は、売主・貸主と買主・借主の間に立ち、契約手続きから引き渡しまでを支援する仕事です。
業務内容は物件の紹介から条件交渉、契約書の作成までと幅広く、専門知識と高い倫理観が求められます。本記事では、不動産仲介業の概要と仕事内容をわかりやすく解説します。
不動産仲介業とは
不動産仲介業は、住宅や土地、テナントなどを「売りたい」「貸したい」という所有者(売主・貸主)と、「買いたい」「借りたい」という希望者(買主・借主)の取引をサポートする仕事です。契約手続きも行うため、宅建業法の知識と倫理観が欠かせません。
不動産仲介業の仕組みと役割
不動産仲介業は、宅建業法に基づき、売主・貸主と買主・借主の間に立って契約を成立させます。
- 物件情報の提供
- 価格交渉
- 重要事項説明書の交付・説明
- 契約書作成
など、全てのプロセスで周到な調査と準備が求められます。
不動産は顧客にとって、一生に一度の買い物であるケースも少なくありません。正確性とコンプライアンスを遵守し、倫理観に基づいた誠実な取引を心がけましょう。
売買仲介と賃貸仲介の違い
「売買仲介」と「賃貸仲介」、それぞれの特徴を解説します。
売買仲介
売買仲介では、住宅や土地などの不動産を「売りたい」人と「買いたい」人をつなぎ、売買契約を支援します。
取引金額が大きく、契約までの期間も賃貸仲介よりも長めです。売買契約に至るまで、数年かかるケースもあるでしょう。
権利関係の調査や取引価格の調整などの交渉力が求められますが、価額に応じ高額な仲介手数料を得られる分野です。
賃貸仲介
賃貸仲介では、物件オーナー(貸主)と入居希望者(借主)をつなぎ、賃貸借契約を支援します。売買に比較すると成約までのスピードが早い傾向にあります。
仲介手数料は家賃1ヶ月分が上限となることが多く、売買仲介に比べると1件あたりの報酬は低めですが、件数を重ねれば安定した収入を得られるでしょう。
媒介契約の種類

媒介契約は3種類あります。それぞれの特徴を解説します。
一般媒介契約
一般媒介契約は、売主・貸主が、複数の不動産会社に同時に売却・賃借を依頼できる契約形態です。
各社は、それぞれのネットワークで物件を宣伝し、報酬は成約に至った業者のみに発生します。
契約期間中は売主が自由に契約解除や価格変更ができ、業者からの活動報告義務は定められていません。
専任媒介契約
専任媒介契約は、売主が1社の不動産会社にのみ売却を依頼する契約形態です。
媒介期間は原則3ヶ月以内で、その間は他社への依頼は禁止されます。ただし、売主・貸主が自ら買主・借主を見つけることは可能です。
業者は2週間に1回以上、書面または電子メールでの活動報告を義務付けられます。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、売主・貸主が1社の不動産会社にのみ売却を依頼し、自ら買主・借主を探すことができない契約形態です。
媒介期間は原則3ヶ月以内で、業者は1週間に1回以上、書面または電子メールで活動報告を行わなければなりません。
不動産仲介業(売買)の流れ

不動産仲介業(売買)の一連の流れを解説します。
売却の相談
売却の相談では、物件の現況や希望条件をヒアリングし、市場動向をふまえた価格査定を行います。
売主の事情や優先事項(早期売却・高値売却・住み替えなど)に応じて、適切な売却方法(仲介・買取)を提案してください。
権利関係や引渡しなど、重要なポイントも説明しましょう。
販売方法の提案
不動産の販売方法には、不動産会社が買主を探す「仲介」に加え、不動産会社が直接買い取る「買取」があります。
それぞれの特徴を説明し、顧客が望む方法を採用してください。
販売活動
販売活動では、インターネットの不動産ポータルサイトや自社ホームページへの掲載に加え、チラシ配布や現地看板の設置、SNSを活用した発信など、多角的な手法で買主を募ります。
市場動向を常に把握し、必要に応じて価格や広告内容を見直すことも必要です。内覧時には丁寧な案内と説明を行い、購入を検討している人の購買意欲を高めましょう。
売買契約
物件の買主が見つかったら、売買契約を結びます。
契約時は、物件の権利関係や設備状況、引渡し条件などが明記された重要事項説明書の交付・説明が行われます。
契約後の解除には手付解除などのルールが適用される点も説明してください。
決済・引き渡し
決済・引き渡しは、売主が物件の所有権を買主へ正式に移転する手続きです。
通常は残代金の支払いと同時に行われ、司法書士立ち会いのもと所有権移転登記や鍵の引き渡しが行われます。
一般的には、固定資産税や管理費などの清算もこの時点で行われます。
不動産仲介業(賃貸)の流れ
不動産仲介業(賃貸)の流れも解説します。
借り手が入居申込書を提出
申込書には、入居希望者の氏名・年齢・勤務先・年収・連帯保証人の情報などを記入し、貸主や管理会社が入居審査を行います。
審査では支払い能力や信用情報、過去の滞納歴などが確認され、問題がなければ正式な契約手続きに進みます。
申込書の提出は、あくまで「契約予約」の段階であり、正式な契約ではない点に注意が必要です。
入居前審査
入居前審査は、借り手が提出した入居申込書をもとに、家賃の支払い能力や信用性を確認する重要なプロセスです。
入居希望者の勤務先・年収・家族構成・連帯保証人の有無などを総合的に判断し、物件オーナーや管理会社が審査を行います。
保証会社を利用する場合は、保証会社による信用調査も含まれます。審査に通過すれば、賃貸借契約の締結へと進みますが、審査結果によっては申込みが断られる場合もあります。
賃貸借契約
賃貸借契約とは、貸主が物件を貸し、借主が家賃を支払って使用する権利を得る契約です。
契約には契約書の取り交わしが必要で、物件の所在地・賃料・契約期間・更新条件・禁止事項などが明記されます。
入居前には敷金や礼金、仲介手数料などの費用が発生するのが一般的です。
借主には原状回復義務があり、退去時の修繕費をめぐるトラブル防止のためにも、契約内容をよく確認することが重要です。
申し込み金の支払い
「申し込み金(申込金)」は、入居希望者が物件を確保するために一時的に支払うお金で、法的な定義はありません。
申込書の提出と同時に支払うケースが多く、家賃の一部または数千円〜数万円程度が相場です。
正式に契約する前の預かり金であるため、契約に至らなかった場合は原則として全額返金されます。
ただし、取り扱いは不動産会社により異なるため、受領書の発行や返金条件などを事前にしっかり確認することが大切です。
引き渡し
引き渡しは、契約締結と初期費用の支払い、鍵の受け渡しが完了した時点で行われます。
通常は入居開始日(契約開始日)に鍵が貸主または管理会社から借主へ渡され、物件の使用が可能となります。
引き渡し時には、室内の設備や傷の有無をチェックし、入居前の状態を記録する「現況確認書」や写真を残しておくと、退去時の原状回復トラブルを防ぐのに役立ちます。
不動産仲介業の報酬

宅建業者が受け取ることのできる報酬額(仲介手数料)には上限が定められています。概要を説明します。
売買契約契約
売買の仲介手数料(速算式)
| 取引価格(税抜) | 計算方法 |
|---|---|
| 200万円未満 | 取引額×5% |
| 200万円以上400万円以下 | 取引額×4%+2万円 |
| 400万円超の部分 | 取引額×3%+6万円 |
※2024年7月より、800万円「低廉な空き家」は、一定の条件を満たせば上限33万円(税込)まで報酬を受け取ることが可能となりました。
賃貸借契約
賃貸借契約の仲介手数料
| 賃料(月額)×1.1(=税込)=仲介手数料(上限) |
|---|
| 田※原則、貸主・借主の合計で1ヶ月分(税込)まで |
| 【例】月額賃料80,000円の場合、80,000円×1.1=88,000円(税込) |
不動産仲介業で求められるスキルと資格
不動産仲介業に求められる資質
不動産仲介業には、コミュニケーション能力と誠実さ、法令知識、そして顧客の立場に立った提案力が求められます。取引は高額かつ複雑であるため、信頼関係の構築が欠かせません。
物件の魅力を的確に伝える営業力に加え、契約や権利関係に関する正確な知識も必要です。さらに、状況に応じて柔軟に対応する判断力や調整力も求められます。
常に学び続ける姿勢が、信頼されるプロフェッショナルへの第一歩です。
宅地建物取引士などの関連資格
不動産仲介業を行うには、宅地建物取引業の免許が欠かせません。契約締結時の重要事項説明には宅地建物取引士の資格が必須である等、資格保有者でないとできない業務があるからです。
- 賃貸不動産経営管理士
- ファイナンシャルプランナー
- マンション管理士
- 管理業務主任者
などの資格取得も、おすすめです。
長く活躍するためには、継続的なスキルアップと資格取得が重要です。実務経験と知識の両輪で、プロとしての価値を高めていきましょう。
不動産仲介業の今後

不動産仲介業は、顧客の人生の節目に立ち会う重要な仕事です。専門性と誠実さ、そして顧客視点を大切にできる方にとっては、大きなやりがいと成長の機会をもたらしてくれる業務です。
一方で、法改正のフォローや最新のテクノロジーへの理解など、勉強すべきことがたくさんあります。これから業界を目指す方も、すでに働いている方も、日々の学びと挑戦を重ねながら、自分らしいキャリアを築きましょう。
「売買仲介で開業したい」「賃貸仲介で開業したい」という方は、ぜひ全日本不動産協会へご相談ください!
宅建業開業のご相談は「全日本不動産協会」
「全日本不動産協会」は、1952年10月に創立された公益社団法人です。中小規模の不動産会社で構成されており、2026年2月末の正会員数は37,934社で年々増加しています。
不動産に関するさまざまな事業を展開し、調査研究や政策の提言、会員を対象とした研修などを行っています。47都道府県に本部を設置し、会員や消費者からの相談も受け付けています。
地域のネットワーク構築に、全日本不動産協会をご活用ください。
カテゴリー
タグ
最近よく読まれている記事
-
省エネ基準適合が住宅ローン減税の利用条件に!令和6年以降の【変更点】を解説
2024年02月19日
-
【2025年最新】不動産資格の完全ガイド|必須資格・おすすめ資格・選び方を徹底解説
2024年05月02日
-
競売物件とは?仕組み・メリット・リスク・購入の流れを徹底解説
2025年04月03日
-
【必読】不動産業の開業前に読んでおきたい!一人起業のトリセツ
2023年06月01日
-
外国人の不動産売買・購入に規制はある?|取引のポイントと注意点を解説
2025年03月13日