ペット可物件|不動産賃貸業のトレンド解説
2026年01月23日
少子高齢化や単身世帯の増加、コロナ禍による在宅時間の長期化などを背景に、ペットを飼う人が年々増えています。
経済産業省のデータによると、2020~2022年に新たに飼育された犬・猫の数は毎年40万頭を超え、今後の需要も引き続き見込まれます。
こうした背景から本記事では、ペット可物件の選び方のポイントや、他の物件と差別化できる特徴を解説します。ぜひご一読ください。
ペット可物件|不動産業界が注目する理由

ペット可物件の具体的なメリットとして以下が挙げられます。
ペットと飼い主に快適な住環境を提供
ペット可物件とは、犬や猫などのペットと一緒に暮らすことが認められている賃貸物件です。
一般的な賃貸物件では動物の飼育が禁止されていますが、床や壁には傷や汚れが付きにくい素材が使われており、ペットとの共生を前提とした設備や環境が整えられているのが、ペット可物件の特徴です。
賃料を高めにできる
管理の手間がかかるペット可物件は、通常の賃貸物件に比べて供給が少なめです。
しかしペットと暮らせる住まいを求める人は一定数おり、その需要は安定しています。賃料を相場よりやや高めに設定しても入居が決まりやすく、収益性の高い物件として注目されています。
一方で、ペットによるにおいや傷、汚れなどが発生しやすいため、退去時の原状回復費用は一般的な物件より高くなる傾向があります。
こうしたリスクに備えるためにも、あらかじめ敷金を多めに設定するなどの工夫をしておくと安心です。
空室対策につながる
ペットと安心して暮らせる住まいを重視する人が増えています。
ペットを理由に引っ越し先を慎重に選ぶ人も多く、条件に合う物件は特に人気があります。
入居者の満足度が高くなることで、退去率の低下・空室期間の短縮も期待できます。
長期入居が見込める
ペットにとって住環境の変化は大きなストレスになるため、引っ越しをできるだけ避けようとする飼い主は少なくありません。
その結果、ペット可物件では入居者の定着率が高まり、大家さんにとっては長期的に安定した賃料収入が見込めるメリットがあります。
ペット可物件の3つのタイプ

一口に「ペット可」と言っても、その内容はさまざまです。ここでは大きく3つのタイプに分けて、それぞれの特徴を解説します。
ペット相談可物件
「ペット相談可物件」とは、ペットの種類や飼い方について事前に相談し、オーナーの了承があれば飼育が認められる賃貸物件のことです。
築年数の経った一般的な物件が、空室対策としてペット相談可に変更されるケースが多く見られます。
しかしその場合「ペット不可」だと思って入居していた既存の入居者から、鳴き声や臭いに対し苦情が出る場合があります。
また、管理が行き届いていないと、動物の臭いが建物全体に残ったり、共用部分が汚れたりして物件全体の評価が下がるおそれもあります。
条件を変更する際には、影響を十分に考慮し、慎重に判断することが大切です。
ペット可物件
「ペット可物件」とは、犬や猫などのペットと一緒に暮らすことが認められている賃貸物件です。
ペットとの生活を考慮した内装や仕様が取り入れられているケースもあり、防音性や床の滑り止め、掃除のしやすさなどに配慮されている点が特徴です。
一方で飼育できるペットの種類が猫や小型犬に限定されていたり、飼える頭数に制限が設けられていたりすることも一般的です。
ペット共生型賃貸住宅
「ペット共生型賃貸住宅」とは、ペットと一緒に暮らすことを前提に設計・建築された賃貸物件です。
傷や汚れに強い床材、防音対策、脱臭設備などが施されています。また、共用部分には足洗い場やドッグランなどの専用設備が備えられていることもあります。
ほとんどの入居者がペットを飼っているため鳴き声などにも理解が得られやすく、住民同士のコミュニケーションが生まれやすい点もメリットです。
一方で設備が充実している分、一般の物件よりも賃料が割高となる傾向があります。
ペット可物件に求められる要件

ペットと快適に暮らすためには、設備や環境、管理体制などが整っていることも重要です。ペット可物件に求められる要件を解説いたします。
メンテナンスが容易な内装
ペットと暮らす住まいでは、掃除やメンテナンスのしやすさが大切です。
ペットの毛やフケ、足跡、トイレ周りの汚れなどは、放置すると臭いや衛生面のトラブルにつながるため、掃除のしやすい床材や壁材を採用することがポイントになります。
具体的には床材にはビニール系フローリング、壁材にはタイルやペット対応の特殊加工が施されたものなどがおすすめです。
壁材にはコーティングや傷に強い素材を採用することで、ひっかき傷や汚れの蓄積を防ぎ、原状回復コストの軽減にもつながります。
ペットの安全確保
ペットが安心して暮らせる住まいづくりには、安全面への配慮が欠かせません。
特に小型犬や猫の場合、窓やベランダからの転落事故が実際に起こるケースもあるため、転落防止の柵やフェンスが必須です。
また、室内の段差や滑りやすい床は、ペットの関節や足腰に負担をかける原因になります。クッション性のある床材を使用するなどの工夫が求められます。
キッチンや玄関など、ペットにとって危険な場所への侵入を防ぐためのゲートや仕切りの設置も有効です。
こうした細やかな配慮が、ペットとの快適で安全な暮らしにつながります。
入居可能なペットの種類
「猫または小型犬のみ可」「大型犬も入居可能」「飼える頭数制限」など、入居できるペットの種類にルールを設けることも大切です。
大型犬は鳴き声や足音が響きやすく、運動量も多いため、建物の構造や周辺環境によっては受け入れが難しい場合があります。
飼い主とペットが安心して暮らせるよう、事前に飼育可能なペットの種類や頭数を決めておきましょう。
さらに、熱帯魚や昆虫、爬虫類など、「これはペットに含まれるのか?」と判断に迷う動物を飼っているケースもあるかと思います。
そうした場合に備えて、物件案内時や申込時には「何か動物を飼っていますか?」と丁寧に確認し、飼育環境や種類を詳しくヒアリングする姿勢が大切です。
※ペット可物件の多くは犬・猫を想定していますが、鳥やハムスターなどの小動物については「相談可」扱いとなることもあります。飼育を希望する場合は、事前に許可条件を確認しておきましょう。
物件周辺の「散歩コース」

物件周辺に安全で快適な散歩コースがあるかどうかもポイントです。交通量の少ない道や、公園・緑地など自然の多いエリアが近くにあると毎日の散歩がしやすくなります。
ペット同伴可能な施設や他の飼い主との交流の場がある地域は、ペットにとっても飼い主にとっても暮らしやすい環境といえるでしょう。
ペットへの理解
「ペットがいる人のための物件を作りたい」「自分もペットを飼っており、動物が好き」といった想いを持つ大家さんは、飼い主とペット双方に快適な住環境を提供するという価値観を大切にしています。
一方で「入居者数を増やしたい」「空室を埋めたい」といった経営的な理由からペット可物件にしているケースもあります。
どちらの考え方にも一理あるため、契約前に「ペットの飼育条件」や「トラブル時の対応方針」などをしっかり確認しておくことが大切です。
ペット可物件を探しているお客様への対応ポイント

ペット可物件を希望するお客様は、ペットとの暮らしに具体的な要望を持っています。ここでは接客時に押さえておきたい対応のポイントを紹介します。
ペット情報のヒアリング
ペット可物件では、契約時に入居者が飼育するペットの情報をヒアリングすることが一般的です。
犬や猫の種類、大きさ、年齢、頭数などの基本情報に加え、しつけの状態や予防接種などの有無についても確認する場合があります。
これにより、物件の環境に適した飼育かどうかを判断し、他の入居者とのトラブルや施設の損傷リスクを減らし、より安心・快適な住環境の維持につながります。
設備へのこだわり
一口に「ペット可物件」と言っても、設備やルールは物件によってさまざまです。
予算とのバランスもあるため、すべての希望を満たす物件を見つけるのは難しい場合もあります。
希望条件に優先順位をつけていただくことが、納得できる住まい選びの鍵となります。
ペット可物件の賃貸経営をするときのポイント

賃貸経営では入居者ニーズを満たすだけでなく、トラブルを防ぎながら安定した運用を図る工夫が求められます。
ペット可物件の経営を軌道に乗せるポイントを解説しましょう。
飼育ルールの明確化
- 入居できるペットの種類・大きさ・頭数
- 予防接種・登録の義務化
- 共用部の使い方・マナー
- 騒音・臭いの対策
- 定期的な室内清掃について
- 損傷・近隣トラブル発生時の対処法
- 原状回復費用について
住民同士や近隣住民とのトラブル、物件の破損や汚損を防ぐためには、飼育ルールを明文化した「飼育規則」の有無が重要です。
すでに飼育規則がある場合は、入居時に内容を丁寧に説明するとともに、エントランス等へ注意書きを設置し、継続的な注意喚起を行いましょう。
明確な飼育規則が整備されていない場合は、トラブル予防の観点から新たに規則を作成・見直すことが有効です。
ペットの種類や頭数、原状回復の考え方まで整理しておくことで、管理の負担軽減と住環境の維持につながります。
ペットに対応した共用施設
ペット可物件では、共用施設の充実が入居者満足度の向上につながります。
足洗い場やペット用ゴミ箱、リードフック付きのエントランス、ペット用エレベーター操作ボタンなどがあると満足度が高まり、飼い主同士のコミュニティ形成にも寄与します。
こうした設備があることで、ペットとの暮らしにともなう日常的なストレスが軽減され、入居者の満足度向上や長期入居の促進にもつながります。
近隣住民とのトラブル抑止策
ペットを飼っていると、臭いや鳴き声などが原因で近隣住民とトラブルになるケースがあります。
大家さんによる定期的な巡回や、専門業者による共用部分の定期的な清掃・整備などで対策しましょう。
また、こうした対応は大家さんだけでなく、管理会社や管理組合と連携して行うことが一般的です。
入居者へのマナー啓発としてチラシを配布したり、定期的にコミュニケーションを取ったりすることで、トラブルを未然に防ぎ、良好な住環境を維持しやすくなります。
ペット可物件の注意点|トラブル防止の工夫

ペット可物件には事前のルール設定や設備面での配慮が欠かせません。トラブルを未然に防ぐために知っておきたい注意点と、その対策について紹介します。
共有部のメンテナンス
ペット可物件では、共有部の清潔さが物件全体の印象を左右し、不満やトラブルの原因にもなりかねません。
定期的な清掃に加え、におい対策として換気や消臭設備の設置も有効です。
飼い主にはルールやマナーをしっかりと伝え、快適な住環境を維持できるよう促すことが大切です。
契約時の費用負担の明確化
一般的な物件よりも、原状回復費用が高くなる点もご留意ください。
契約時の取り決めで敷金を通常より多めに設定したり、汚れや損傷があった場合の費用負担を明確にしておくといいでしょう。
入居者同士・近隣住民とのトラブル
契約書に「ペット飼育に関するマナーやルール」を明記し、トラブルが起きた際の対応方法や連絡体制も定めておくことが大切です。
共有部での抱っこ・リード着用の徹底なども契約内容に盛り込み、住民全体で快適な住環境を保つための意識づけを図りましょう。
小さな配慮や取り決めが、長期的なトラブル回避と住民満足度の向上につながります。
ペット可物件の需要は増加中|契約でトラブルを未然に防ごう

ペット可物件は他の賃貸物件と差別化できる魅力があり、今後も需要の拡大が見込まれる分野です。
入居者にとって「安心して長く暮らせる環境」であることが、退去率の低下や収益の安定化につながります。
ペット可物件には共有部分の衛生管理や鳴き声・臭いなどの近隣トラブルを防ぐためのルール整備、契約内容における原状回復や敷金条件の明確化など、きめ細やかな配慮が欠かせません。
これらの課題を一人で抱え込まず、知識や経験が豊富な専門機関のサポートを活用することで、賃貸経営や物件管理を安心して進められます。
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「全日本不動産協会」は、1952年10月に設立された公益社団法人です。2025年12月末の正会員数は38,101社にのぼり、年々増加しています。
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