築古戸建の魅力再発見|営業戦略としての新たな可能性
2026年04月24日
住宅価格が上昇する昨今、価格が比較的安い「築古戸建」が注目されています。建物の老朽化が進んでいても、立地や土地の資産価値次第で需要が見込めるケースもあります。
本記事で、築古戸建を売買するときのポイントをわかりやすく解説します。
「築古戸建」とは

築古戸建とは一般的に建築後30年以上が経過し、外壁や屋根、設備等に劣化・老朽化が見られる住宅を指します。
耐震性能や断熱性が現行の基準を満たしていないことも多々あり、大規模リフォームや再建築が認められないケースも多々あります。
安心して暮らすためには、適切なリフォームや耐震補強等の対策が欠かせません。
法改正で築古戸建の仲介手数料上限が33万円に拡大

出典:<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ|国土交通省
2024年7月に施行された改正報酬規定により、売買価格800万円以下の物件に対し、従来の上限(売買価格×3%+6万円)を超えて最大33万円(税込)の仲介手数料を受領できるようになりました。
この改正により、取引を敬遠されていた安価な築古戸建も、一定の報酬を得やすくなりました。
買主はリーズナブルな価格でマイホームを購入でき、売主は物件を売却しやすくなります。「三方よし」の法改正を味方につけ、積極的に物件を紹介していきましょう。
築古戸建を売買仲介で紹介するメリット
築古戸建を顧客に紹介する際に強調できるメリットには、以下のような点が挙げられます。
周辺の物件相場と比べ安価
築古戸建は、周辺の新築や築浅物件に比べて価格が割安です。築年数が経過していても、立地や土地の広さによっては十分な価値が見込めることもあります。
購入時の初期費用を抑えつつ、比較的低コストで住宅を購入できる点は大きなメリットです。リフォームによる資産価値向上や賃貸運用等、さまざまな用途が期待できるでしょう。
ライフスタイルの変化に合わせて柔軟に用途転用できる
居住用途のほか、賃貸住宅や事務所としての活用も期待できます。長期保有による節税効果や、リフォームを通じた資産価値の向上も見込めるでしょう。
一方で、購入希望者や賃貸需要が見込めない場合には、解体して駐車場として活用する選択肢もあります。
築古戸建を売買仲介で紹介するデメリット

築古戸建ならではのデメリットもお伝えいたします。
住宅ローンが組みにくい
築古戸建には、自己資金での購入やリフォーム資金の確保が必要となるケースもあります。特に築年数が古く耐震性に不安がある物件では、金融機関の評価が厳しくなりがちです。
担保評価が低く設定された結果、融資額の制限や金利引き上げ、返済期間の短縮等の条件厳格化が起こりやすく、ローン審査の通過が難しくなることがあるでしょう。
購入を検討する顧客層が限られる
新築や築浅物件に比べて、設備や住環境の面で見劣りする築古物件は、購入希望者が限定される傾向にあります。
そのため販売期間が長期化しやすく、価格の見直しやリフォームの提案等、柔軟な対応が求められる点に注意が必要です。
建物の耐震性等性能面の懸念
築古戸建では、基礎や梁、柱といった建物の主要構造部に劣化や損傷が生じている可能性があります。これらの部分は建物全体の耐久性や安全性を左右する重要な要素であり、見た目では判断しづらいため、購入を検討する顧客にとっては大きな不安材料となります。
耐震性能への意識が高まる今日、「万が一のときに倒壊のリスクがあるのではないか」といった懸念から、契約をためらうケースも少なくありません。
専門家によるインスペクションの実施や、耐震補強工事(リフォーム)を合わせて提案するなどして、不安を払拭していきましょう。
築古戸建|内見前のチェックポイント

物件の内見時には、専門家の協力を得ることも大切です。瑕疵の可能性も適切に説明し、売買後のトラブル抑止につとめましょう。
専門家による事前のインスペクション実施
築古戸建には、経年劣化がつきものです。売買前には、建築士やリフォーム業者等の専門家に依頼し、劣化箇所や水濡れの痕跡、シロアリ被害の有無等を事前に調査してもらいましょう。
基礎・構造部・屋根・配管設備といった重要な部分まで詳細に点検することで、補修にかかる費用の見積もり精度が高まり、予期せぬトラブルのリスクを軽減できます。
「接道義務」の確認
接道義務(道路幅員が4m以上あり、敷地が2m以上その公道に接しているか)の確認も欠かせません。これを満たさない場合、新築はもちろん、大規模な改修や建て替えも制限されます。
2025年の建築基準法改正で、既存不適格建築物への安全性確保がより厳しく求められるようになりました。従来よりもリフォームが難しくなっている点にご留意ください。
また、自治体によってはリフォーム可能な範囲や構造変更の許可基準が異なるため、事前に都市計画や建築基準を把握しておくことも大切です。
床下換気口から基礎の状態をチェック
基礎コンクリートにクラック(ひび割れ)が生じていると、建物の傾きや構造の不安定さにつながる恐れがあります。建物下の地盤が外部より低くなっている場合は、雨水が溜まりやすく、床下への浸水や湿気の原因となり、シロアリの発生リスクにもつながります。
見落としや判断ミスを防ぐためにも、内見時には建築士や住宅診断士等の専門家の同行を推奨します。加えて、基礎表面のひび割れやシロアリ被害の痕跡の有無を、ご自身でも丁寧に確認しましょう。
排水状況を確認(キッチン)
長年使用された配管は、錆や詰まり、漏水のリスクが高く、見えないトラブルが潜んでいることもあります。水回りの使用感や床下の湿気状況にも注意を払いましょう。
特に古い物件では排水管の劣化が多いため、慎重な確認が求められます。
浄化槽のメンテナンス状況も確認
市街化調整区域等で浄化槽の設置が義務付けられているエリアでは、メンテナンス状況を調べてください。
自治体によっては定期検査の記録が義務付けられているため、売主には維持管理の履歴を確認してもらうといいでしょう。
定期的な清掃や点検がされていないと、悪臭や汚水の逆流、周囲環境への悪影響が発生するおそれがあります。さらに修繕費用も高額になるため、充分にご注意ください。
風呂場のリフォーム
浴室では、タイルや壁の見た目だけでなく、設備の動作状況も重要な確認ポイントです。
特に埋め込み式の浴槽は、交換の際に周囲の壁や床を解体する必要があり、想定以上に工事範囲が広がることも。信頼できる地域の業者に、概算見積を依頼して把握しておくといいでしょう。
庭木の剪定・伐採
庭がある場合は、草むしりや庭木の伐採等もポイントです。
現況で取引されるケースが多い築古物件ですが、売主の意向によっては地域の業者を紹介し、外観を整えてもいいでしょう。
築古戸建の契約で気をつけたいポイント

築古戸建の取引には、トラブル抑止のための対策が欠かせません。建物の状態や法的制限、必要な修繕の内容等をあらかじめ整理しておきましょう。ポイントは下記となります。
契約不適合責任の範囲
経年劣化による不具合(雨漏り・シロアリ・構造不良等)を「売主が負わない」とする特約が多く見られます。
しかし隠れた重大な不具合が後から判明した場合の責任の所在は、契約で明確にしてください。
再建築の可否に関する説明
接道義務を満たさない物件(再建築不可)であれば、契約書にその旨を明記しましょう。後のトラブルを防ぐため、役所からの証明書や調査報告書の添付も推奨します。
残置物・建物の状態に関する取り決め
古い家には家具・家電・廃材等が残されているケースも。引き渡し時点で「撤去して渡す」か「現状有姿(現在の状態のまま)」を明確にしましょう。
インスペクション(建物状況調査)の有無
売買前にインスペクションを実施している場合、その報告書の提出と説明を契約書に盛り込みましょう。顧客が安心して契約できる材料になります。
境界確定と土地面積の明記
「古家付き土地」である場合、隣地との境界が曖昧なこともあるのでご注意を。境界確認書の有無や測量実施の有無も確認しましょう。
築古戸建に関心を持つ顧客層と効果的な集客方法

顧客によって、訴求ポイントと集客手法を使い分けるのもおすすめです。
マイホームが欲しいファミリー層
費用を抑えてマイホームを持ちたい層には、リフォーム後の完成イメージ図の発信が効果的です。過去の事例を紹介して訴求しましょう。
大家さんになりたいリノベーション愛好層
リーズナブルな築古戸建は「大家さん」を目指す不動産投資家に人気があります。利回り重視の投資スタイルやDIYによる価値向上に魅力を感じる層には、情報発信の工夫が効果的。InstagramやYoutube等のアカウントを開設し、物件の見どころを発信するといいでしょう。
不動産投資を目的とする高利回り志向層
賃貸運用や民泊として活用したい層には、物件ごとのシミュレーションデータや運用プランを紹介するのがおすすめです。
実績のある周辺エリアの事例や収益モデルを提示することで、購入後のイメージを明確にできます。不動産マッチングサイトへの登録も効果的です。
築古戸建の魅力を伝える営業トークと提案のポイント

築古戸建ならではの魅力を上手に伝え、不安点をカバーする提案を行います。
欠点を織り込み、良い点を訴求
築古物件は経年劣化がつきものです。リフォームや補修によって理想の住まいへと再生できる可能性がある点を強調しましょう。
前向きな表現を用いて、物件のポテンシャルに対する顧客の理解と関心を高めてください。
修繕・リフォーム提案でカバー
現状の不具合や古さを隠さず説明した上で、修理・リフォーム・再建築等複数のプランを提示するのもおすすめです。
各プランごとに概算費用を算出し、具体的な施工事例も併せて紹介すると、イメージがつきやすくなります。
他の物件にはない魅力を強調して差別化する
モダンな内装リフォーム等による差別化も効果的です。「庭付き」や「趣ある和風建築」といった物件固有の長所を訴求し、唯一無二の価値を訴求すると、成約につながりやすくなるでしょう。
賃貸物件の場合は収益シミュレーションを提示
築古戸建を投資物件として検討する顧客には、収支計画書の提示がおすすめです。
リフォーム費用や管理コストを含めた総投資額を算出し、賃貸時の想定家賃、利回り計算、返済シミュレーションを可視化するといいでしょう。
築古戸建の取り扱いを強化し、市場開拓と収益向上を目指そう!

住宅価格の上昇が続く近年こそ、手頃な価格で取得できる築古戸建の需要が高まっています。リフォームや用途変更によって新たな価値を創出できる点から、投資家だけでなく実需のニーズも高まっていくでしょう。
こうした市場の動きにいち早く対応するためには、物件の見極め方や法的制約、補修・運用コストの把握等が欠かせません。契約やリフォームの情報交換には、地域の信頼できる業者とのネットワーク作りがおすすめです。精度の高い情報を集め、顧客から信頼されるエキスパートを目指しましょう。
◆関連情報:
・全日本不動産協会|ホームページ
FAQ:「築古戸建」の売買に関するよくある質問
築古戸建は価格面や投資の魅力がある一方で、法的・技術的な注意点も多い物件です。
ここでは、実務でよくいただく質問をまとめました。取引や検討の際の参考にしてください。
Q.築古戸建をリフォームすれば住宅ローンは組みやすくなりますか?
A.リフォームを前提とした購入計画を立てることで、住宅ローンの審査が通りやすくなる場合があります。特に耐震補強や住宅性能向上リフォームを行う計画書を提出すると、金融機関から前向きに評価されることがあります。事前に金融機関へ相談し、必要書類を準備しましょう。
Q.インスペクション(建物状況調査)は必ず実施しなければなりませんか?
A.法的義務ではありませんが、築古戸建ではインスペクションを実施することを強くおすすめします。契約後のトラブル防止や修繕費用の把握、顧客への安心感の提供に大きく役立ちます。
Q.再建築不可の物件でもリフォームはできますか?
A.再建築不可物件でも、現存する建物の改修・リフォームは可能な場合が多いです。ただし、大規模修繕や用途変更は制限されることがあります。自治体ごとの条例や建築基準を確認し、どこまで工事できるか事前に調べましょう。
Q.築古戸建の売買契約ではどんな特約を結ぶのが一般的ですか?
A.経年劣化による不具合を売主が負わない「契約不適合責任免責特約」が多く見られます。また、残置物の処理や再建築の可否、インスペクション報告書の提出等も契約書に盛り込むケースが一般的です。トラブルを避けるため、重要事項説明書にも明記しましょう。
Q.リフォーム済みの築古戸建はどのように価値をアピールすればいいですか?
A.ビフォー・アフターの写真や施工事例、修繕内容の記録を整理し、顧客へ視覚的にわかりやすく伝えましょう。また、耐震補強の証明や設備の保証書があれば、購入判断の安心材料として非常に効果的です。
不動産開業は「全日本不動産協会」
「全日本不動産協会」は、1952年に設立した公益社団法人です。中小規模の不動産会社で構成されており、2026年3月末の正会員数は37,934社に上ります。
会員同士の交流や情報交換のほか、不動産に関する調査研究、不動産情報流通システム「ラビーネット」の運営、会員を対象とした研修等、さまざまな事業を展開しています。
相談事業では、会員からの不動産に関するお悩み相談や質問を受付中です。再建築不可物件の売買に関するご相談も、ぜひ「全日本不動産協会」までお寄せください。
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