土地家屋調査士|仕事内容と資格のポイント


2026年05月19日

土地家屋調査士は、測量と「表示に関する登記」の専門家です。土地の分筆・合筆や建物の新築・滅失登記などを正確に行い、不動産の「実態」と「登記内容」を一致させる重要な役割を担っています。

本記事では、境界トラブルの未然防止や、再建築・相続時のスムーズな手続きに欠かせない「土地家屋調査士」について、その業務内容や依頼するメリットをわかりやすく解説します。

「土地家屋調査士」とは

土地家屋調査士法に基づく国家資格

(土地家屋調査士の使命)
第一条 土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。

引用:日本土地家屋調査士連合会公式サイト

土地家屋調査士は、昭和25年に制定された「土地家屋調査士法」に基づく国家資格です。

不動産の表示に関する登記(表題登記や地積更正登記など)を扱う専門家であり、土地や建物の調査・測量・登記申請を通じて、不動産の現況を正確に登記記録へ反映させる役割を担います。

土地家屋調査士として業務を行うには、所定の試験に合格したうえで、日本土地家屋調査士会連合会に登録し、さらに各都道府県の土地家屋調査士会に入会する必要があります。

引用:全国の土地家屋調査士会|日本土地家屋調査士連合会公式サイト

土地家屋調査士の仕事|不動産登記簿と現況の相違を調査

不動産登記では、登記簿上の情報と現地の状態が一致しているのが基本です。

しかし実際は、土地の境界が不明確であったり、建物の増改築が未登記のままであったりするケースも少なくありません。

こうした場面で活躍するのが土地家屋調査士です。

専門的な測量技術と正確な法律の知識をもとに、土地の区画や建物の構造・面積を測定し、登記申請に必要な図面や資料を作成します。

土地家屋調査士は登記情報の信頼性を確保し、不動産取引の安全性向上に貢献する専門職なのです。

土地家屋調査士|業務内容

土地家屋調査士は、不動産登記の「表題部」に関する専門家です。土地や建物の形状・面積・位置などを正確に調査・測量し、登記簿へ反映させることで、権利関係の基礎になる情報を整理します。

土地の分筆や合筆、建物の新築・増築・取壊しなどをするときも、現地の測量から登記申請書類の作成・提出まで一貫して対応します。

調査、測量

登記所に備え付けられた地図、地積測量図等の資料、現況、隣接所有者の立会い等を得て公法上の筆界を確認し、測量を行います。

表示の登記の申請手続代理

不動産の物理的な状況を登記簿に反映するために、調査・測量の結果を踏まえ、建物を新築した場合における建物の表示の登記や、土地の分筆の登記等の登記申請手続きを行います。

筆界特定の手続代理

登記官が、外部の専門家の意見を踏まえて筆界を特定する「筆界特定の手続」を代理で行います。

筆界が明らかでないことを原因とする民間紛争解決手続の代理

特別研修を受講し、考査に合格すると、法務大臣が認定する「ADR認定土地家屋調査士」になります。「ADR認定土地家屋調査士」になると、弁護士との共同受任を条件とし、筆界が明らかでないときの民間紛争手続きを代理で行うことが可能です。

土地家屋調査士会が運営する境界問題相談センター(ADRセンター)は、全都道府県50か所に設置されています。詳しくは下記をご参照ください。

ADR境界問題相談センター|日本土地家屋調査士連合会公式サイト

土地家屋調査士への相談シーン|不動産売買・建物の増築や改築など

土地や建物の売買

不動産の売買では、登記簿上の内容と現況が一致していることが前提とされます。

しかし長年手を加えていない土地や古い建物では、境界が不明確であったり、登記簿に誤差が生じたりしているケースも少なくありません。

このような場合、土地家屋調査士に依頼することで、正確な測量と現況確認を行い、登記の内容を最新の状態に整えることができます。

建物を増築したとき

建物を増築した場合、その内容を登記簿に反映させるために「建物表題変更登記」を行う必要があります。

登記が現況と一致していないと、将来の売買や相続の際に手続きが遅れたり、融資審査で不備を指摘されたりすることも。

土地家屋調査士は、増築部分の構造や面積を正確に測量し、図面を作成したうえで登記申請を代行します。

建物の一部を改築した場合や、増築部分が複雑な形状をしている場合は、専門的な判断が求められます。

建物を建て替えたとき

建物を建て替えた場合、旧建物を登記簿から抹消し、新しい建物の情報を登録する「建物滅失登記」と「建物表題登記」を行わなければなりません。

これらの登記を怠ると、実際には存在しない建物が登記簿上に残ったままになり、売買・相続・融資の際に手続きが滞るおそれがあります。

解体後の滅失登記から新築後の表題登記まで、一括して対応できる土地家屋調査士へ相談しましょう。

相続登記

令和6年4月1日から、不動産を相続したことを知った日から3年以内に、相続登記の申請を行うことが義務化されました。

正当な理由なく申請を怠った場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。

登記を放置せず、土地家屋調査士に早めに相談することが、トラブルの防止につながります。

土地家屋調査士|試験について

土地家屋調査士の試験は、例年10月第3週の日曜日に実施されます。筆記試験の合格者は、1月に実施される口述試験に進みます。

土地家屋調査士試験の概要

受験資格 制限なし(どなたでも受験できます)
試験科目 筆記
午前の部:平面測量10問/作図1問
午後の部:
[択一]不動産登記法・民法他から20問
[書式]土地・建物から各1問
口述
1人15分程度の面接方式による試験
願書配布・受付 7月下旬~8月中旬 各都道府県(地方)法務局で配布・受付
試験日 筆記
10月第3週の日曜日
口述
1月中旬(筆記試験合格者のみ)
受験地 東京、大阪、名古屋、広島、福岡、那覇、仙台、札幌、高松の全国9会場

引用:日本土地家屋調査士連合会公式サイト

「午前の部」免除

測量士、測量士補、一級・二級建築士の資格保有者は、筆記試験の「午前の部」の試験が免除されます。

午前試験では主に測量や法規に関する基礎知識が問われますが、免除により実務に直結する午後の専門問題に集中できるため、効率的に合格を目指せます。

ただし、免除資格を持っていても申請を忘れると通常通り全科目受験となるため、出願手続きのときはご注意ください。

土地家屋調査士の試験科目

土地家屋調査士試験は「筆記試験」と「口述試験」の2段階で構成されています。

筆記試験はさらに「午前の部」と「午後の部」に分かれ、午前の部では主に測量に関する知識が、午後の部では登記手続や不動産登記法・民法などの法律知識が問われます。

合格するには、計算力と法的な思考力の両方が必要です。筆記試験を通過すると、面接形式の口述試験に進みます。

不動産登記法

土地家屋調査士としての基礎力を養ううえで、「不動産登記法」は最も重要な分野です。

登記の種類や手続きの流れ、登記簿の構成、登記官の権限など、実務に直結する知識が問われます。

最新の法改正に対応した「詳細 登記六法」を参考に学習を進めましょう。

民法

「民法」では、所有権や賃借権といった物権、契約や相続などの規定を理解することで、土地や建物の権利関係を正しく判断できるようになります。

登記や境界に関するトラブルの多くは、民法上の権利関係に基づくため、実務に直結する知識は欠かせません。

土地・建物

「土地・建物」は、測量や建物構造に関する実務的な知識を問う科目です。土地では、地形・地目・境界標識・測量方法など、現地調査に必要な基礎技術を学びます。

建物では、構造区分や登記対象となる要件、建物図面の作成方法などを理解することが求められます。

試験では、図面を作成するときに用いる関数電卓や三角定規、全円分度器などの道具の使用が認められています。

口述試験

「口述試験」は、筆記試験に合格した人を対象に行われる最終試験です。面接形式で実施され、土地家屋調査士としての実務知識や倫理観、応対姿勢などが問われます。

内容は、測量・登記・法律に関する基礎的な事項や、業務上の対応判断などが中心で、専門的な知識を有しているだけでなく、冷静に説明できるかどうかも評価の対象となります。

試験時間は10〜15分程度で、口頭でのやり取りを通じて総合的な理解力と実務適性を確認します。身なりや態度も評価の対象となるため、スーツを着用し、落ち着いた立ち居振る舞いを心がけましょう。

その他、よくある質問は法務省の公式サイトをご確認ください。

土地家屋調査士試験|法務省

不動産業開業|「土地家屋調査士」でキャリアアップしよう

土地家屋調査士は、登記の専門家として土地や建物の現況を正確に測り、法務局への登記申請を代行できる国家資格です。

測量技術や法的知識を兼ね備えた専門職として、不動産取引の安心を支える存在です。

近年は相続登記の義務化や空き家対策、境界トラブルなどにより、さらなる活躍が期待されます。

資格取得後は、司法書士や行政書士との連携で業務の幅を広げたり、地域に密着した“街の登記・測量の相談役”として長く活躍したりできます。

土地家屋調査士を目指し、不動産業界で新たな可能性を切り拓いてみませんか?

宅建業開業のご相談は「全日本不動産協会」へ

「全日本不動産協会」は、1952年10月に創立された公益社団法人です。中小規模の不動産会社で構成されており、2026年4月末の正会員数は38,126社で年々増加しています。

不動産に関するさまざまな事業を展開し、調査研究や政策の提言、会員を対象とした研修等を行っています。47都道府県に本部を設置し、会員や消費者からの相談も受け付けています。

宅建業の開業や不動産業界でのキャリアアップをお考えの方は、全日本不動産協会のサポートをぜひご活用ください。健全な不動産流通と安心の取引環境づくりを、私たちと一緒に実現していきましょう。

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