国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」|使い方を画像付きで解説!
2025年05月01日
国土交通省は2024年4月1日に、「不動産情報ライブラリ」を公開しました。不動産業界の関係者に加え一般の方からの注目度も高く、サービス開始初日から多くのユーザーがアクセスするなど好評を博しています。
本記事では、話題の不動産情報ライブラリの概要をわかりやすく解説します。具体的な活用方法も提案するので、ぜひ参考にしてください。
不動産情報ライブラリができた理由は何?制作背景を解説
不動産情報ライブラリは、円滑な不動産取引の促進に主眼を置いた不動産情報の検索サービスです。2024年3月まで使われた国土交通省による不動産取引の情報サイト「土地総合情報システム」の後継として、機能を強化して登場しました。
不動産情報ライブラリの目的は、不動産取引の透明性確保と意思決定のサポートです。省庁や自治体が発表しているデータを統合して国土交通省地価公示、取引価格情報などを調べやすくし、不動産の売買や賃貸物件の選定に役立つよう作られました。
◆関連情報:
不動産情報ライブラリ|国土交通省
不動産情報ライブラリの機能を紹介
不動産情報ライブラリは、省庁や自治体が発表したデータをまとめて掲載しているため、従来のように各機関のサイトで別々に調べる手間が省けます。検索できる情報も多岐にわたり、相場のリサーチや引っ越し先の情報収集などに便利です。不動産情報ライブラリで検索できる機能を4点、紹介しましょう。
1.地域の周辺施設・都市計画・防災情報の検索
価格情報・地形情報・防災情報などの、不動産の売買や引っ越し先の調査に役立つ情報を検索できます。具体的には、以下の情報を調査できます。
2.複数の検索結果を表示できる
複数の検索結果を地図上に重ね合わせて閲覧することも可能です。画像では、「東京都千代田区霞が関1丁目」の避難施設と学校の情報を表示しています。緑の丸が避難施設、紫の丸が学校です。複数の施設をまとめて検索でき、とても便利です。
3.官公庁や自治体の公式データを検索しやすい
各省庁や自治体が発表するデータを、わかりやすく検索できる点もポイントです。画像は洪水浸水想定区域の情報源の情報で、国土交通省と国土地理院が運営に携わる「ハザードマップポータルサイト」を参照しています。
4.スマホやタブレットからの操作も簡単
スマホやタブレットからの操作も容易です。それぞれの画面の大きさに合わせて見やすいように表示されます。
不動産情報ライブラリで検索できない情報
情報量の豊富さと操作の手軽さが魅力の不動産情報ライブラリですが、現時点では少し不便に感じるポイントもあります。
「路線価」のデータを調べられない
2024年6月24日現在、不動産情報ライブラリでは、その年の1月1日時点における、主要な道路に接した1平方メートルあたりの価格をあらわす「路線価」を調べられません。
路線価は、国税庁が公開する「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認しましょう。
最新の情報とは限らない
必ずしも最新の情報が表示されない点にも注意が必要です。上図の通り、東京都千代田霞が関1丁目の情報を調べてみると、国勢調査による人口の情報は2015年当時のものでした。
検索された情報の登録日時を調べるときは、トップページの下部にある「コンテンツの出典」ボタンをクリックしてください。参考資料の情報が一覧表で閲覧できます。価格情報をはじめとした一部のデータは、上の画像のように地図上のマーカーをクリックすると情報の取得日時を表示できます。
不動産情報ライブラリを一般の方が使う場合の活用方法
不動産情報ライブラリは使いやすく設計されており、引っ越し先の住環境の調査や、取引価格などを手軽に調べられます。ここでは一般の方が使うときの活用方法を紹介します。
不動産の相場を把握
不動産の売買には、相場のリサーチが欠かせません。取引価格や成約価格を調べる機能を使うと、過去の事例をもとにしたおおよその相場を把握できます。
学校・病院・幼稚園・保育園などのリサーチ
保育園・幼稚園・学校・福祉施設・医療機関などの情報を調べられる
機能も備わっています。進学や就職などで遠方へ引っ越す場合は、新しい居住地候補の周辺環境のリサーチに活用できるでしょう。実際に現地まで足を運ばなくても詳しいデータを集められるため、遠方への転居には特に便利です。
お子様がいる方は、公立の小学校・中学校の学区を調べられる機能も見逃せません。通いたい学校の通学エリアを調査するときにも役立ちます。
ハザードマップとして活用
津波浸水想定、土砂災害警戒区域、避難施設、地すべり防止地区など防災関連の情報も便利です。自宅から避難施設までのルート確認など、ハザードマップとして活用できるでしょう。
引っ越し先の候補地を探すときにも、リスクなどを調べられ安心です。
不動産情報ライブラリを不動産業界の関係者が使う場合の活用方法
不動産情報ライブラリを、不動産業界の関係者が使う場合の活用法を2つ紹介します。
1.過去の取引事例や地価をもとに査定額を算出
物件や土地の査定では現地調査に加え、公示地価や基準地価、過去の取引価格が欠かせません。
過去の取引事例と地価は、
- 地図上に表示させる方法
- 条件検索で絞り込む方法
の2種類が使えます。地図上に表示させる方法の場合、各標準地のマーカーから「詳細表示」をクリックすると、地価の推移も閲覧できます。
2.お客様へ周辺環境を説明する際に活用する
賃貸物件や購入する不動産を探している方に、周辺の環境を解説するシーンにも役立ちそうです。事前に「このエリアが良い」と聞いている場合は、街の雰囲気や施設情報を調べるときも活用できます。
お客様が、まだどこにするか迷っている場合は、不動産情報ライブラリを参照しながらエリアの紹介をしてみてはいかがでしょう。必要に応じて学校や病院の位置を地図上に表示すれば、分かりやすい説明とお客様に寄り添う接客が実現します。
【画像付き】不動産情報ライブラリの操作方法を場面別に解説
不動産情報ライブラリは、引っ越し先候補のリサーチやハザードマップとしての活用などさまざまな使い方が可能です。不動産の売買や引っ越しに加え、転居後の生活などさまざまなシーンで役立つでしょう。次に不動産情報ライブラリの操作方法を、場面別に5つ解説します。
1.引っ越し先候補がどのような場所なのかを調べる
トップページにアクセスし、「地図から探したい方へ」か「地域から探したい方へ」のどちらかを選びましょう。本記事では「地域から探したい方へ」を選択します。
続いて、調べたい場所の住所を入力します。本記事では「東京都千代田区霞が関1丁目」の情報を調べることにしました。入力を終えたら、「地図表示」ボタンをクリックします。
「地図表示」ボタンをクリックすると、指定したエリアの地図が表示されます。
引っ越し先候補がどのような場所なのか調べるときは、「周辺施設情報」が便利です。「周辺施設情報」をクリックし、地図上に表示したい項目のボックスにチェックマークを入れます。「保育園・幼稚園等」、「小学校区」、医療機関のうち「病院」と「診療所」を調べてみましょう。
「決定」ボタンをクリックすると、地図上に情報が表示されます。
青い枠線の「小学校区」、黄色い丸の「保育園」、黒いアイコンの「病院」「診療所」など、調べたい情報が表示されました。どのマークが何の情報を表しているのか知りたいときは、画面左上の「凡例」をクリックしてみましょう。丸やアイコンをクリックすると、それぞれの施設の詳細情報も閲覧できます。
2.災害対策のハザードマップとして使う
災害対策のハザードマップとして使う場合は、「防災情報」の項目です。前項1と同様に不動産情報ライブラリのトップページを表示して、調べたい地域の住所を入力しましょう。
地図が表示されたら、調べたい項目にチェックを入れます。今回は「洪水浸水想定区域」「避難施設」「災害危険区域」の情報を調べることにしました。「決定」ボタンをクリックすると地図上にデータが表示されます。
赤や黄色で表示されている部分が、洪水浸水想定区域です。浸水の規模によって色が分けられており、わかりやすいですね。緑色の丸は、避難施設の位置を示しています。
緑色の丸をクリックすると、避難施設の住所と対応している災害の種類が表示されます。不動産情報は避難施設が対応している災害の種類も絞り込めるので、避難先の検討にも役立てられるでしょう。
3.将来どのような街になるのか予想する
今住んでいる地域が成長するのか、停滞するのか等、今後が気になる方もいるでしょう。不動産情報ライブラリでは「将来人口推計」のデータも扱っており、人口予測を調べることも可能です。
不動産情報ライブラリのトップページから「地図表示」をクリックして、将来の人口を調べてみましょう。
まずは人口情報等から「将来推計人口500mメッシュ」を選択します。
「将来推計人口500mメッシュ」では条件設定ができるため、より詳しくデータを絞り込んでみても良いでしょう。今回は対象年を2050年、対象年代を15〜64歳で設定しました。
日本地図を拡大すると、将来推計人口に応じて色分けされた地図が表示されます。
色が付いているところをクリックすると、そのエリアごとの人口の推移がフキダシに表示されます。
人口が多い地域は一般的に税収が安定するため、インフラやライフラインが整備され老後も便利に暮らせる可能性が高まります。数十年後を予測し行動の方針を決めるときにも便利です。
4.不動産を売買するときの情報収集
地価公示や過去の取引事例の確認も可能です。二通りの使い方があります。1つ目は、地図上に情報を表示させる方法です。
調べたい情報を選択し、表示させます。
地図上に反映されたアイコンをクリックすると、取引や価格の概要がフキダシの中に表示されます。吹き出しの下にある「詳細表示」をクリックすると、具体的な不動産の特徴や過去の価格の推移などより詳しいデータを見ることが可能です。
もう1つは、トップページからデータのみを検索する方法です。
地価の情報を知りたいときは、「地価の情報をご覧になりたい方へ」の「データの検索」をクリックします。
続いて区分・用途・調査年などを選択し、画面右下の「一覧表示」をクリックします。
調査基準日や価格などが、一覧表で表示されました。詳しいデータをまとめて検索したいときは、「データ検索」の機能を使うのもひとつの手段です。
5.新築で住宅を建てる土地を決める
家を新築するときは、土地選びが重要です。住宅の建築を認めていない場所や、制限がかかるケースもあるため、事前にしっかりリサーチしておきましょう。洪水や土砂災害が心配なエリアの調べ方もお伝えします。
不動産情報ライブラリでは、新築物件を建てるときに気になる情報をまとめて検索できます。まずは前項1のときと同様に調べたい場所の住所を入力し、地図を表示します。
次に気になる項目を選択し、地図上に表示させましょう。今回は初めに「洪水浸水警戒区域」と「避難所(洪水に対応可)」を選びました。
続いて防災情報を表示したまま都市計画情報の「用途地域」も選択し、「決定ボタン」をクリックします。
防災情報の上に都市計画情報が重ねられ、両方の情報を一度に見られるようになりました。赤いエリアは「商業地域」に区分されるため、一般的な住宅の建造には適さないという見方もできます。新築の住宅を建てるなら」「第一種低層住居専用地域」「第二種低層専用地域」で避難所が近い場所を選ぶといいでしょう。
6.中古マンション等を探すときの情報収集
「神奈川県茅ヶ崎市で中古マンションを探したい」というケースで解説しましょう。地域検索で「神奈川県」「茅ケ崎市」を選択し、表示させます。
価格情報から「不動産価格情報」「成約価格情報」へチェックを入れ、「条件設定」をクリックします。物件の種類を選択するウィンドウが表示されるので、プルダウンメニューから「中古マンション等」を選択し、任意の時期を選んだ上、決定ボタンをクリックしてください。
表示された青い丸をクリックすると、「不動産取引価格情報 & 成約価格情報
茅ケ崎駅周辺のマンション等」の情報が表示されます。
ウィンドウの右下にある「詳細情報」をクリックすると、検索結果一覧が表示されます。
指定した時期に売買された中古マンションの取引総額や間取りなどの情報が表示されました。条件設定のプルダウンメニューには、「中古マンション等」の他に下記の選択肢があります。目的に応じて使い分けてください。
- 宅地
- 土地
- 土地と建物
- 農地
- 林地
- すべて
不動産情報ライブラリは初心者でも簡単に利用できる!
不動産情報ライブラリは、多くの人が使いやすい不動産情報検索サービスです。地価情報や防災情報、周辺施設情報などさまざまなデータを閲覧でき、地図上に複数のデータを表示させることも可能です。
パソコンはもちろん、スマホやタブレットで簡単に操作できるのもうれしいポイントです。今後も情報の追加を予定しているので、査定額や引っ越し先のリサーチなどに、ぜひ不動産情報ライブラリを活用してください。
不動産業開業のご相談は「全日本不動産協会」
「全日本不動産協会」は、1952年10月に創立された公益社団法人です。中小規模の不動産会社で構成されており、2025年2月末の正会員数は37,054社で年々増加しています。
不動産に関するさまざまな事業を展開し、調査研究や政策の提言、会員を対象とした研修などを行っています。47都道府県に本部を設置し、会員や消費者からの相談も受け付けています。
地域のネットワーク構築に、ぜひ全日本不動産協会をご活用ください。
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