4号特例が縮小へ|2025年4月から何が変わる?不動産・リフォーム実務への影響まとめ
2026年01月23日
2025年4月から、4号特例の一部が廃止されました。これにより、木造戸建ての大規模リフォームにおいても建築確認手続きが必要となり、建築士による設計および工事監理が求められます。
本記事では、4号特例の変更点や不動産業界への影響、そして今後の対応方法について詳しく解説します。
建築基準法の「4号特例」とは

4号特例とは、木造2階建て以下の一般的な住宅など、小規模な建築物について、建築確認審査の一部(構造耐力に関する審査など)を建築士が設計・監理を行う場合に省略できた制度を指します。
参考資料
2階建て以下の木造住宅等の小規模建築物については、都市計画区域等の区域内で建築確認の対象となる場合でも建築士が設計を行った場合、建築確認の際に構造耐力関係規定等の審査を省略することとなっていました。
また、それらの建築物について建築士である工事監理者が設計図書とおりに施工されたことを確認した場合は、検査を省略することとなってました。
この4号特例の一部廃止により、適用範囲と確認申請の際に提出する書類・図書が変更されます。
4号特例はどう変わるのか|変更の内容を解説
今回の制度改正では、これまで簡略化されていた「4号建物」の扱いが大きく見直され、建築確認手続きの運用が変わりました。
不動産業界や建築関係者にとっては、実務対応が問われる重要な転換点です。ここでは、具体的な変更点をわかりやすく整理してお伝えします。

4号特例の対象範囲

2025年4月からは、これまで「4号建物」として一括されていた建築物が、「新2号建物」と「新3号建物」に再分類されます。
このうち、新3号建物については従来通り審査が省略されますが、新2号建物に関しては、建築確認申請が必要となります。
確認申請の際に提出する書類・図書

新3号建物は現行制度と同様、一部図書の省略が認められます。一方、新2号建物では、構造および省エネに関する図書の提出が義務付けられます。
例えば、省エネ性能に関する計算書や構造計算書、断熱仕様書などが該当し、従来よりも専門的な知識が求められる場面が増えてくるでしょう。
特に実務上は、申請書類の作成業務が増えるため、スムーズな対応のためにも最新のガイドラインを把握しておく必要があります。
申請業務の効率化を図るため、社内での書類作成マニュアルの整備や外部設計士との連携強化も有効です。
4号特例が一部廃止される理由

なぜ長年続いてきた4号特例が一部廃止されることになったのでしょうか。その背景には、住宅の性能向上と社会的ニーズの変化が深く関わっています。ここでは制度見直しの理由について整理します。
参考情報:木造戸建の大規模なリフォームに関する 建築確認手続について|国土交通省
1.住宅の省エネ化推進
第一の目的は、省エネ住宅の普及です。カーボンニュートラルの実現を目指す国の方針のもと、住宅を含む建築物全体での省エネ化が求められています。
これにより、断熱性能の向上やエネルギー効率の改善が進み、光熱費削減や環境負荷軽減といったメリットが得られます。
2.建物の倒壊するリスク低減
第二の目的は、自然災害に強い建物を増やすことです。日本は地震・台風などのリスクが高いため、構造計算を義務化することで建物の安全性をより確実に担保できるようになります。
この施策は、住まい手の命と財産を守るという点でも重要です。
4号特例の縮小による不動産業界への影響

制度の変更は、不動産業界の実務にも幅広く波及することが予想されます。売買やリフォーム提案の現場でどのような変化が起こり得るのか、具体的な影響を見ていきましょう。
中古住宅のインスペクションとリフォーム需要
改正法施行後、既存建築物の中には「新2号建築物」の基準(省エネ基準や構造基準)を満たさないものが多く存在することになります。
既存不適格への対応については、基準を満たさない物件が直ちに違法となるわけではありませんが、「増改築」や「用途変更」を行う際には、現行基準への適合が義務付けられます。
トラブル防止のため、中古住宅の売買時において、将来的な増改築時のコスト増や制限について事前に説明(重要事項説明の補足など)し、インスペクションを推奨することが、契約後のトラブル回避においてこれまで以上に重要となります。
手続きの長期化
新2号建物に該当する物件では、構造審査や省エネ審査が追加されるため書類作成や確認申請にかかる時間が増加するため、物件の引き渡しスケジュールにも影響が及ぶ可能性があります。
古い建物で図面がない場合には、その対応により多くの時間と人手がかかることも想定されます。図面の再作成や実測調査、第三者機関への相談が必要になる場合もあり、工程全体に遅れが生じるリスクが高まります。
そのため、スケジュールには余裕を持たせるとともに、顧客への丁寧な説明が欠かせません。スタッフの業務分担の見直しや、新人教育体制の強化も視野に入れておきましょう。
4号特例の一部廃止による顧客(住宅リフォーム)への影響
この法改正は、不動産業者や建築関係者だけでなく、住宅リフォームを検討している一般顧客にも影響を及ぼします。どのような点に注意が必要なのか、主な影響を確認しておきましょう。

各種コストの上昇
新2号建物に関する申請では、構造計算や設計変更にかかる追加費用が発生します。適用可能な補助金制度や支援策を事前に調べ、顧客にわかりやすく案内できる体制を整えることが求められます。
たとえば、書類作成に伴う人件費や構造安全性確保のための設計費用など、これまでになかった項目がコストに加わります。
具体的には、これまでは工事費用で済んでいた費目に下記が加わります。
- 書類作成の工数増加に伴う人件費
- 安全性を確保する構造計算の費用
利用可能な補助金制度の情報などを収集しましょう。
「再建築不可物件」の取り扱い
接道義務を満たさず再建築不可となっている物件については、今後ますます小規模なリフォームしか選択肢が残らない可能性があります。
そのため、取引時には現状と今後の活用可能性を丁寧に説明することが大切です。
工事の長期化
新2号建物は、確認申請時に省エネ・構造関連図書が必要となるため、全体の工期が延びる可能性があります。
たとえば、確認済証の交付に時間がかかれば、着工時期が後ろ倒しになるケースも想定されます。また、補強工事や設計変更により施工内容が複雑化し、人員や資材の再手配が必要となることもあります。急ぎの工事や短納期の案件では、特に事前の調整と説明が重要となるでしょう。
改正建築基準法・改正建築物省エネ法の講習会・説明会

業界関係者向けに国土交通省などが各種講習会を開催しています。制度を正しく理解し、実務に活かすためにも、こうした情報のキャッチアップは欠かせません。
現場での対応力を高めるためにも、積極的に参加しましょう。
どのような講習会が開催されているのか?
主に設計者・工事監理者・施工者を対象に、改正内容に関する具体的な実務対応が解説される講習会が全国で開催されています。オンライン配信を含む形式で実施されており、忙しい現場担当者でも参加しやすい設計になっています。
講習会の主な内容
講習会の主な内容は以下の通りです。
- 構造・省エネに関する新たな確認申請のルール
- 新2号建物と新3号建物の違いと実務での扱い方
- 提出書類の書き方と審査ポイント
- 施工現場で求められる監理・報告の注意点
こうした内容が中心となっており、実際の業務にすぐに活かせる知識が得られます。参加する際の目安としてください。
受講によるメリットとは?
講習会に参加することで、社内の実務体制の見直しや顧客説明の質向上につながるだけでなく、トラブル回避や法令違反リスクの低減にも役立ちます。新人教育の教材としても活用可能です。
特に新制度下では、ちょっとした認識のズレが確認申請の遅れや追加工事の発生につながることもあるため、講習会の受講は対策のひとつとして非常に効果的です。
参考情報:住宅・建築物の設計・施工等に携わる皆さまに向けて講習会等を開催します!~改正建築基準法・改正建築物省エネ法の円滑な施行に向けて~|国土交通省
「4号特例見直し」などの法改正情報は、「月刊不動産」がおすすめ!

2025年4月に行われた建築基準法の改正により、4号特例の内容は大きく変わりました。
このような法改正の情報収集には、「月刊不動産」をはじめとする信頼できる情報源を活用しましょう。
よくある質問|4号特例の改正に関する疑問を解消しよう
Q1. 「新2号建物」と「新3号建物」の違いは何ですか?
【回答】
2025年4月から、従来の「4号建物」は「新2号建物」と「新3号建物」に分類されました。「新2号建物」は一定規模以上の木造住宅などで、構造や省エネに関する審査が必要です。一方、「新3号建物」は従来通り審査の一部省略が認められます。
Q2. 確認申請に必要な図書はどこで確認できますか?
【回答】
最新の提出図書の内容は、国土交通省や各自治体の建築指導課が公開しているガイドラインやリーフレットで確認可能です。また、「月刊不動産」など業界誌でも随時情報が特集されるため、併せて活用するとよいでしょう。
Q3. 既存の住宅はすぐに適合させないといけないのですか?
【回答】
いいえ。すでに建築されている住宅については「既存不適格建築物」として、直ちに改修や適合を求められることはありません。ただし、増築や用途変更の際には新基準に従う必要があります。
Q4. 売買時にインスペクションは義務になりますか?
【回答】
現時点でインスペクション(住宅診断)は義務ではありませんが、制度変更によりリフォームの必要性が高まるケースもあるため、売主・買主間の信頼構築の一環として実施が推奨されます。不動産会社からの説明責任も重要になります。
Q5. 工事費用が高騰する場合、補助制度などはありますか?
【回答】
自治体によっては、省エネ改修や耐震補強などの工事に対する補助金・減税措置を設けていることがあります。着工前に「地域型住宅グリーン化事業」や「こどもエコすまい支援事業」などの活用可能性を確認することをおすすめします。
不動産業開業のご相談は「全日本不動産協会」
「全日本不動産協会」は、1952年10月に創立された公益社団法人です。中小規模の不動産会社で構成されており、2025年12月末の正会員数は38,101社で年々増加しています。
不動産に関するさまざまな事業を展開し、調査研究や政策の提言、会員を対象とした研修などを行っています。47都道府県に本部を設置し、会員や消費者からの相談も受け付けています。
地域のネットワーク構築に、ぜひ全日本不動産協会をご活用ください。
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