不動産業界のおすすめ資格15選!収入アップ・転職・開業したい方必見
2025年12月26日

不動産業界には、宅地建物取引士や不動産鑑定士など、さまざまな関連資格が存在します。
種類が多すぎて「どれから取得すればいいのか分からない…」「今の仕事や将来やりたい事業に合う資格はどれ?」と迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで本記事では、不動産業界で働く方やこれから携わろうとしている方に向けて、厳選したおすすめ資格15選をご紹介します。
さらに、仕事で忙しい社会人が効率よく学ぶための勉強法のコツもあわせて解説。
スキルアップ・キャリアアップ、そして独立開業を目指す方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
不動産業界で働くには資格が必要なの?

実は不動産関連の資格がなくても、不動産業界で働くことは可能です。
物件の案内、販促キャンペーンの企画、イベント運営など、さまざまな業務に携われます。
とはいえ、不動産業界の仕事の中には、一定の資格がなければ対応できない業務も多数存在します。
さらに、資格の有無はお客様からの信頼度や、仕事の進めやすさ、資格手当の支給有無といった面にも大きく関わってくるのが現実です。
資格がなくても働くことはできますが、業界のプロとして活躍したいなら、資格の取得は大きなアドバンテージになるはずです。
不動産業界で独立・開業する際に必要な資格は?

自分で会社を設立し、不動産業界で独立・開業する場合は資格が必要なケースもあります。
事業内容によって資格が必要か否かが異なるので、独立前に確認しておきましょう。
主な事業内容ごとの資格の要否を、以下の表にまとめてみました。
| 事業内容 | 資格の要否 | 必要な資格 |
|---|---|---|
| 不動産仲介業 | 必要 | 宅地建物取引士 |
| 不動産賃貸業 | 不要 | – |
なお、不動産仲介業については、経営者本人が宅地建物取引士の資格を持っていなくても、従業員5人に対して1人以上の割合で有資格者がいれば開業可能です。
必要に応じて、資格保有者の採用を検討してみるのもひとつの方法です。
仕事に役立つ!不動産の資格おすすめ15選

業種に関わらず、「仕事に役立つ資格を取りたい」と考える方は少なくありません。
不動産業界も例外ではなく、資格を持っていることで業務範囲が広がったり、顧客からの信頼を得やすくなったりする場面が多くあります。
とはいえ、不動産系の資格は種類が豊富で、どれから手をつけるべきか迷ってしまう方も多いはず。
そこでこの章では、不動産業界で活躍するために役立つおすすめ資格を15種類ピックアップしました。
どんなシーンで活かせるのか、簡単な解説付きで紹介していきますので、自分に合う資格を探す参考にしてみてください。
1. 宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産仲介業に携わる人が多く取得している代表的な国家資格です。
宅地建物取引業法や民法、土地や建物の形質・構造などの基礎知識を総合的に学びます。
平均的な学習時間は200〜300時間ほどで、試験の半年以上前から準備を始める受験者も珍しくありません。
合格後は、重要事項の説明や重要事項説明書への記名といった独占業務に携わることが可能になります。
これにより、業務の幅が大きく広がるのが特徴です。
不動産仲介業であれば、資格を活かして自ら会社を立ち上げ、独立・開業することもできます。
全日本不動産協会をはじめ、各種団体が講座を実施しており、不動産業界でも特に人気の高い資格のひとつです。
2. 不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の「適正な価格」を評価・判定するための国家資格で、不動産系資格のなかでも最高難度といわれています。
試験では不動産に関する法律はもちろん、鑑定理論や評価手法についての深い知識が問われます。
学習時間の目安はおよそ2,000〜3,700時間とされており、取得までには相応の覚悟と継続的な努力が必要です。
しかし、資格を取得すれば、不動産鑑定評価という独占業務に従事できるようになり、専門家として高い評価を得ることができます。
建物の価値を専門的に査定できるスキルは、再開発や相続、企業の資産評価など幅広い分野で重宝されるため、将来性の高い資格と言えるでしょう。
3. 土地家屋調査士
土地家屋調査士は、不動産登記における「表示に関する登記」を代理できる国家資格です。
主に不動産登記法を中心に出題され、筆記試験と面接試験の両方が課されます。
平均的な勉強時間は約1,000時間とされており、計画的な学習がカギとなります。
登記手続きは本来、所有者本人が行うこともできますが、専門的で難解な内容であるため、専門家に依頼したいというニーズは根強く存在します。
この資格を取得することで、顧客満足度の向上や他社との差別化が図れる武器となるでしょう。
4. マンション管理士
マンション管理士は、マンションの管理や運営に関する専門的な知識を活かし、アドバイザーとして活躍できる国家資格です。
出題範囲は、法令、建物設備、会計など広範囲にわたり、合格に必要な学習時間は約500〜700時間とされています。
資格を取得すれば、マンションオーナーからの信頼性が高まり、管理業務全般における専門的な提案が可能に。
特にマンションが密集する都市部では、需要の高い資格といえるでしょう。
5. 管理業務主任者
管理業務主任者は、マンションの管理を行ううえで欠かせない国家資格です。
管理組合と業務委託契約を結ぶ場合、30組合につき1人以上の有資格者を配置することが法律で定められています。
試験では、法令、実務、会計などが問われ、必要な学習時間は約300時間。
取得後は管理委託契約の重要事項説明や、管理事務の報告などを担うことが可能です。
なかにはこの資格がなければ対応できない業務もあるため、マンション管理業を営む場合は重要なポジションとなります。
6. 賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士は、賃貸物件の管理・運営に関する知識を証明する国家資格です。
試験では、賃貸借契約、設備管理、入居者対応など幅広い項目が出題されます。
学習時間の目安は約100〜250時間です。
この資格を持っていれば、物件の維持管理だけでなく、入居者との対応やオーナーへの報告業務など、総合的な賃貸経営のサポートが可能になります。
賃貸物件を多く扱う会社では、とても重宝される存在です。
7. 建築士
建築士は、建物の設計や施工を行うための国家資格で、1級と2級に分かれています。
2級は比較的小規模な建物、1級は商業施設やマンションといった大規模建築物にも対応できるのが特徴です。
学習時間は2級で約700時間、1級では1,000〜1,500時間とされています。
建築士の資格があれば、新築物件の建設やリフォームなどを手掛ける不動産会社で活躍の場が広がります。
実務経験とスキルを重ねることで、デザイン性と機能性を兼ね備えた建築提案もできるようになるでしょう。
8. 競売不動産取扱主任者
競売不動産取扱主任者は、不動産の競売に関する専門的な知識を有することを証明する資格です。
宅建士の知識がある方であれば20〜25時間の学習でも合格が狙えますが、基礎知識のない方は300〜400時間の学習が推奨されています。
不動産業界では、住宅ローンの返済が滞り、競売に至るケースもあります。
この資格を持っていれば、手続きの円滑化だけでなく、所有者に対して適切なサポートを提供することも可能です。
9. インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターは、住宅や店舗などのインテリア設計に関する提案・アドバイスを行うための資格です。
試験ではインテリアの歴史、建築基準法、家具配置、人体寸法など幅広い知識が問われます。学習時間は約200〜350時間が目安です。
モデルルームの企画や住宅購入者へのアドバイスに加え、空間演出の専門家としてのブランディングにもつながるため、他社との差別化にも効果的です。
10. ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、資産運用・保険・相続・不動産など、生活に関わるお金の知識を総合的に学べる資格です。
1〜3級があり、不動産業での実務活用を考えるなら2級以上の取得が望ましいでしょう。勉強時間の目安は150〜300時間です。
媒介契約や税制特例に関する知識も学べるため、住宅購入を検討する顧客への提案力が高まります。
家計やライフプラン全体を見据えたアドバイスができるようになります。
11. 住宅ローンアドバイザー
住宅ローンアドバイザーは、住宅ローンに関する知識を持ち、公正な立場でアドバイスできることを示す民間資格です。
住宅金融普及協会の講座を受講すれば試験にチャレンジできます。出題内容は、ローンの仕組みや契約の流れ、リスク説明など多岐にわたります。
住宅購入時の資金計画をサポートできる力は、お客様との信頼関係構築にもつながります。
専門知識をもとに、無理のない返済計画を提案できることが強みです。
12. 相続アドバイザー
相続アドバイザーは、相続に関わる税務・不動産・保険・金融などの幅広い知識を習得するための資格です。
通常は各分野の専門家に個別相談する必要がありますが、相続アドバイザーがいれば、総合的な対応が可能になります。
親から相続した不動産の処分に悩む人も多いため、相続相談や弁護士紹介ができることは大きな差別化ポイントに。
相続案件を強みにしたい方にとって、有効な資格のひとつです。
13. 損害保険募集代理人
損害保険募集代理人は、保険会社の代理店として保険を販売するための資格です。
試験は「基礎単位」と「商品単位」に分かれており、住宅に関わる業務であれば「火災保険単位」の取得が特におすすめです。
住宅購入の際、火災保険の提案ができることでクロージング率の向上が見込めます。
「住宅+保険」のワンストップ提案を打ち出すことで、顧客満足度の向上にも貢献できるでしょう。
14. 社会保険労務士
社会保険労務士は、労働保険・社会保険・年金制度などに関する相談や手続きを行う国家資格です。
健康保険や労働基準法などが出題範囲で、学習時間の目安は500〜1,000時間とされています。
社労士資格を活かせば、住宅ローンのリスク説明時に「万が一のときはこういった制度があります」といった提案が可能に。
お客様の不安を払拭できる存在として、購入の後押しに繋がります。
15. 司法書士
司法書士は、不動産登記や商業登記など、登記業務のスペシャリストとして活躍できる国家資格です。
民法や不動産登記法を中心に出題され、学習時間はおよそ3,000時間、合格までに2年以上かかることもあります。
不動産売買では法務局での登記手続きが必要ですが、複雑なため専門家に依頼する方も少なくありません。
この資格を持っていれば、登記申請の代行が可能となり、提供できるサービスの幅が大きく広がります。
不動産関連の資格を取得することで得られるメリット

不動産関連の資格を取得すると、次のようなメリットが得られます。
- 信頼度の上昇
- 収入アップ
- 独立・開業
- サービスの充実化
- 競合他社との差別化
資格があることでお客様からの信頼を得やすくなり、契約の成立率も高まります。
企業によっては、資格手当として月に1〜3万円を支給しているケースもあり、収入面でもプラスに働くでしょう。
さらに、取得した資格を活かして、より待遇の良い会社へ転職するチャンスも広がります。
たとえば、宅地建物取引士の資格を持っていれば、不動産仲介業として独立・開業も可能です。
国土交通省の統計によると、令和6年度末(令和7年3月末)時点の宅地建物取引業者数は、132,291業者。
対前年度比では、全体では1,708業者増加しており(大臣免許が111業者、知事免許が1,597業者)11年連続の増加となりました。
つまり、資格を活かして経営にチャレンジする人も年々増えているということ。サービスの質を高め、他社との差別化を図るうえでも、資格の取得は大きな武器になるはずです。
不動産資格の「三冠」、そして「四冠」とは?

不動産資格を調べていると、よく目にする「三冠」「四冠」というワード。これは業界内でも特に重視されている以下の資格の組み合わせを指します。
不動産資格「三冠」
- 宅地建物取引士
- マンション管理士
- 管理業務主任者
不動産資格「四冠」
- 三冠に「賃貸不動産経営管理士」を加えたもの
いずれも不動産業界での活躍に直結する実践的な資格ばかり。どの資格から勉強を始めようか迷ったときは、まずこの“三冠・四冠”の中から選ぶのもひとつの手です。
何かと忙しい社会人|働きながら勉強するコツを紹介

社会人として働きながら資格取得を目指すのは簡単ではありませんが、工夫次第で効率的に学ぶことが可能です。
以下の3つのコツを意識して、無理なく勉強を続けていきましょう。
1. 隙間時間を有効活用する
通勤時間や昼休みなどを使って、用語の暗記や過去問の復習など“軽めの学習”を積み重ねていきましょう。
2. 余裕のある勉強スケジュールを立てる
繁忙期や急な残業など、社会人ならではのイレギュラーも見越して、無理のないスケジュール設計を心がけましょう。
3. 社会人向けの講座を活用する
独学が難しいと感じる場合は、資格スクールやオンライン講座の利用もおすすめです。夜間受講や振替対応など、柔軟に学べる環境も整っています。
思い立ったが吉日!気になる資格があったら勉強を始めてみよう

今回紹介した資格のなかには、取得するまでに半年以上かかるものもたくさんあります。
用語や法律を覚えて過去問を解き、合格が視野に入る状態になるまで勉強を進めるにはそれなりの時間が必要です。
不動産に関する資格の種類が多すぎてどれを受験するか迷うときは、三冠・四冠のなかから選んでみるのもおすすめです。
思い立ったが吉日。気になる資格がある方は、勉強を始めてみてはいかがでしょうか
不動産業開業のご相談は「全日本不動産協会」
「全日本不動産協会」は、1952年10月に創立された公益社団法人です。
中小規模の不動産会社で構成されており、2025年10月末の正会員数は37,923社で年々増加しています。
不動産に関するさまざまな事業を展開し、調査研究や政策の提言、会員を対象とした研修などを行っています。
47都道府県に本部を設置し、会員や消費者からの相談も受け付けています。
地域のネットワーク構築に、ぜひ全日本不動産協会をご活用ください。
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