マンション管理士とは|業務内容と取得のメリットを解説


2026年08月07日

マンションの資産価値と住み心地を守り、管理組合や区分所有者のパートナーとして活躍する「マンション管理士」。

本記事では、マンション管理士の具体的な役割や業務内容から資格取得のメリット、試験制度、そして将来性までをわかりやすく解説します。

不動産業界でキャリアアップを目指す方はもちろん、資格取得を検討中の方もぜひ参考にしてください。

マンション管理士とは|専門家としてマンション管理組合を支える国家資格

マンション管理士の役割

マンション管理士は、平成13年に施行された「マンション管理適正化法」に基づき、管理組合や区分所有者を支援する国家資格です。

マンションの維持・管理には、建物の老朽化や区分所有者間のトラブル、修繕計画の策定など、さまざまな課題が伴います。

こうした場面で管理組合の運営をサポートし、住民が安心して暮らせる環境づくりを支えるのがマンション管理士の役割です。

マンション管理士の業務内容

マンション管理士の主な業務は、以下の通りです。

  • 管理規約・使用細則・長期修繕計画等、素案の策定
  • 大規模修繕工事の計画・実施
  • 区分所有者間トラブルの相談・解決支援
  • 居住者の義務違反・管理費の滞納等へのアドバイス

活躍の場と求められるスキル

マンション管理士は、以下のような場面で活躍しています。

  • 不動産管理会社の社員として管理組合を支援
  • 管理組合の顧問や外部管理者などに就任して、継続的にサポート
  • 一般社団法人などのコンサルタントとしてアドバイザリー業務に従事

法律・建築・会計の知識に加え、住民や管理会社との調整力、課題解決力、コミュニケーション能力などを活かし「調整役」「相談役」として、異なる立場の人々と信頼関係を築くことが求められます。

マンション管理士が必要とされる背景

国土交通省によると、2024年末時点のマンションストック総数は約713.1万戸です。

分譲マンション・高経年マンションの増加が進み、管理業務の複雑化や住民の高齢化など、管理組合を取り巻く課題は年々増え続けています。

管理組合の理事や役員は多くが一般住民であり、専門的な知識や経験を十分に持ち合わせていません。

こうした中、第三者の専門家であるマンション管理士は、管理組合の運営を円滑にし、トラブルを未然に防ぐうえで欠かせない存在となっています。

「管理業務主任者」との違い

マンション管理士と管理業務主任者は、どちらもマンション管理適正化法に基づく国家資格です。試験範囲も重複している部分が多いのですが、両社は、「どのような立場で仕事をするか」という根本的な部分が異なります。

マンション管理士は管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者側に立つコンサルタント的な役割を担い、住民間のトラブル相談、管理組合の運営、大規模修繕のアドバイスなどを行います。

一方、管理業務主任者はマンション管理会社に所属し、マンション管理のマネジメント業務を担うものであり、資格保有者だけが携われる重要事項の説明や管理事務の報告など、会社側の業務を担うのが特徴です。事務所ごとに、国土交通省令で定める人数の設置が義務付けられています。

管理業務主任者試験合格者は 、マンション管理士試験の5問が免除されるため、両資格の取得を目指す場合は、資格を取る順番も意識すると良いでしょう。(マンション管理士試験合格者は、管理業務主任者試験の5問が免除されます)

不動産業で働く人がマンション管理士資格を取得するメリット

不動産業で働く人が、マンション管理士資格を取得したときのメリットを具体的に紹介しましょう。

提案力の向上

マンションの管理に加えコンサルティング業務にも携われるため、顧客への提案力が向上します。

管理組合や区分所有者からの相談に応じる形で、仲介やリノベーション提案など関連事業へと展開しながらビジネスチャンスを拡大できるでしょう。

マンション管理組合からの信頼度向上

専門的な知識を備えていることで、修繕計画や管理規約の見直しなどに的確な助言ができ、信頼に基づく長期的なパートナーシップの構築につながります。

また、「管理の専門家」としての立場から提案できる点が評価され、管理組合との関係強化や契約更新にも良い影響を与えるでしょう。

他資格との相乗効果(宅建・管理業務主任者など)

宅地建物取引士や管理業務主任者などの資格とマンション管理士を併せ持つと、より効果的です。

管理に加え、売買・再生といった分野でも的確な提案が可能となり、顧客からの信頼や評価も一層高まるでしょう。

実務で活かせる具体的なシーン

  • 管理組合との契約交渉や管理委託契約の見直し
  • 大規模修繕工事や長期修繕計画の提案
  • 住民説明会やセミナーでの専門的なアドバイス
  • 管理規約の改正や運用ルールの整備
  • 住民間のトラブル調整や中立的な立場での助言

マンション管理士の将来性

マンション管理士へのニーズは、今後ますます高まると予測されています。

国土交通省によると、築40年以上の分譲マンションは2024年末時点で約148万戸に上り、10年後には約2倍、20年後には約3.3倍に増加すると予想されています。

建物の老朽化や管理組合の担い手不足、2021年の法改正による管理戸数200戸以上の事業者に対する登録の義務化なども、専門家の必要性を後押しする要因の1つです。

年齢を重ねても経験が活きる資格であり、定年後の独立・副業としても注目されています。

参照:国土交通省「築40年以上のマンションストック数の推移」

マンション管理士試験のポイント

マンション管理士試験の概要

マンション管理士試験は、国土交通省が主管し、公益財団法人マンション管理センターが実施する国家資格試験です。毎年11月下旬に全国主要都市で実施されます。

試験は四肢択一式(マークシート方式)で、全50問・120分で行われます。出題範囲は法律、管理実務、建築・設備、会計など多岐にわたります。

受験資格

年齢・学歴・実務経験などの制限はなく、誰でも受験可能です。

申込方法

申込はインターネットまたは郵送で行えます。例年の受付期間は郵送が8月上旬から8月末まで、インターネットが8月上旬から9月末までです。

試験日程・会場・受験料

  • 試験日:毎年11月下旬の日曜日(例:2025年は11月30日)
  • 試験会場:全国8地域(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇及びその周辺地域、会場は受験票に記載される)
  • 合格発表:翌年1月上旬
  • 受験料:9,400円(非課税)

マンション管理士の合格点・合格率

公益財団法人マンション管理センターの発表によると、令和7年度のマンション管理士試験は、合格点が42問以上正解(試験の一部免除者は37問以上正解)、合格率が11.0%でした。

管理業務主任者試験の合格者は、試験の一部の免除(5問免除)が可能なので、積極的に受験してみましょう。

マンション管理士|試験科目

引用:公益財団法人マンション管理センター「令和8年度マンション管理士試験受験案内」

主な出題分野は「民法・その他法令」「区分所有法等」「標準管理規約」「マンション管理適正化法」「標準管理委託契約書等・会計」「建築・設備」などで構成されており、実務に直結する内容が中心です。

区分所有法

試験の中心は区分所有法です。管理組合の運営・共用部分の扱い・議決権など、実務に直結する内容が多く、条文の理解と事例への応用力が問われます。

標準管理規約

国土交通省が定める標準管理規約は、管理組合の運営指針。管理組合の運営や住民間のトラブル対応など、現場で役立つ規定の理解が求められます。実務での判断基準となるため、事例問題も多く、実践力が試されます。

マンション管理適正化法

マンション管理士や管理業務主任者の資格制度、管理組合の運営ルールなどを定めたマンション管理適正化法からは、資格制度や業務範囲、管理組合の義務などが出題されます。

標準管理委託契約書等・会計

標準管理委託契約書等や会計に関する科目では、管理会社との契約内容や管理費・修繕積立金の運用、会計処理の基礎などが問われます。

収支報告書の読み方や予算編成、会計基準の理解など、すぐに業務へ活かせるでしょう。

民法・その他法令

民法や関連法令は、マンション管理における権利関係や契約、トラブル解決の基礎となる重要な分野です。

所有権や債権、契約の成立・解除など、実際の管理運営で必要となる基本的な知識が問われます。

建築・設備

給排水・電気・防災設備などの仕組みや、修繕・点検に関する実務的な理解が求められ、マンションの安全・快適性を支える内容が中心です。図面や設備仕様書を参照して理解を深めましょう。

マンション管理士の活用と不動産業界での可能性|協会のサポートで安心のキャリア形成を

マンション管理士は、マンションの管理や運営に関する専門知識を活かして、管理組合や区分所有者の課題解決をサポートする国家資格です。

管理会社や不動産会社、建築士事務所などで専門性を発揮できることに加え、管理組合の理事や役員として地域コミュニティへの貢献も期待できます。

今後ますます社会的なニーズが高まる中、不動産業界で働く方やマンション管理に関心のある方にとって、大きな武器となる資格です。

資格取得を目指す方は、計画的な学習と最新情報のキャッチアップを心がけましょう。

宅建業開業のご相談は「全日本不動産協会」へ

「全日本不動産協会」は、1952年10月に創立された公益社団法人です。

不動産に関するさまざまな事業を展開し、調査研究や政策の提言、会員を対象とした研修等を行っています。

全国すべての都道府県に本部をおき、2026年6月末の正会員数は38,318社と、年々増加しています。

宅建業の開業や不動産業界でのキャリアアップをお考えの方は、全日本不動産協会のサポートをぜひご活用ください。

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