第50回 全国不動産会議 愛媛県大会 開催レポート


~成長社会の日本へ、今こそ不動産業の新時代~

第49回 全国不動産会議 鹿児島県大会

(公社)全日本不動産協会と(公社)不動産保証協会は、10月22日(水)、愛媛県松山市の愛媛県県民文化会館(ひめぎんホール)で「第50回全国不動産会議 愛媛県大会」を開催した。当日はあいにくの雨が降っていたにもかかわらず、会員ら約1,200人が参加した。
テーマは「成長社会の日本へ、今こそ不動産業の新時代」。大会では、スポーツジャーナリストの二宮清純氏による記念講演と俳人の夏井いつき氏の「句会ライブ」に続き、シンポジウム「不動産流通活性化に向けて」と建築家の南泰裕氏による基調講演「次世代環境共生型住宅と住環境」の2つの分科会が行われ、不動産業界を取り巻く現況や問題点、今後の課題など様々な意見が交換された。

【開会式】 13:30 ~ 14:00

田井仁 教育研修委員を総合司会、山辺桂子フリーアナウンサーを司会に迎え、愛媛県大会が厳かに始められた。小田原義征 全日・教育研修委員長の開会の挨拶後、古川實 愛媛県本部長は「愛媛には、瀬戸内の海の幸、山の幸など、おいしいものがたくさんあります。交流会ではその材料を使った料理を味わっていただき、参加者が1人も途中下車しないで、最後まで楽しんでいただきたい」と挨拶の言葉を述べた。

続いて壇上に上がった林直清 理事長は次のように語った。「今年は長年の夢であった宅地建物取引士への名称変更が正式に決定しました。それによりプロとしてコンプライアンスの徹底と信用失墜行為の禁止や知識および能力の向上の責務が一段と課されることになります。消費者からの期待と信頼に応えるには、私たちがしっかりと自己研鑚を積むことが大切です。ハワイにはリアルターが守るべき倫理憲章があります。弁護士や司法書士などと同じように『士業』になった以上、アメリカのリアルターと同じような厳格な倫理憲章を作って遵守することにより、不動産業界の更なる発展と社会的地位の向上につながると考えております」

次に来賓代表として、太田昭宏 国土交通大臣代理、中村時広 愛媛県知事、野志克仁 松山市長の挨拶の後、司会の山辺桂子 フリーアナウンサーが祝電を紹介。続いて古川實 愛媛県本部長から林直清理事長を通して、次回の開催県である沖縄県本部の迫幸治 本部長へ大会旗が引き渡され、会場は盛大な拍手で包まれた。

【記念講演】 14:10 ~15:20

愛媛県出身のスポーツジャーナリストの二宮清純氏は「勝者の思考法」と題して、記念講演を行った。32 年間のジャーナリストとしての経験から、取材したオリンピックのメダリストを例にとり、勝因・敗因は「準備力」の違いではないかと力説。

「成功者には共通の考え方がある。成功の理由を運や偶然だと考えず、成功は徹底した準備をすることの延長線上にある。これはアスリートだけでなく、ビジネスマンにも共通することではないか」と語った。

【句会ライブ】 15:20 ~ 15:40

次に、松山市在住で、最近はテレビのバラエティ番組などで全国的に知られるようになった俳人の夏井いつき氏が登場。簡単に楽しくできる俳句の作り方を伝授すると、大会参加者たちはその場で五・七・五と指を折って俳句づくりにとりかかった。閉会式後の交流会では、特選7句と優秀賞2句が選ばれる予定だ。

 

【シンポジウム(分科会B)】 15:55 ~17:15

続いて「不動産流通活性化に向けて」をテーマに、シンポジウムが行われた。コーディネーターは(株)エイビット代表取締役の千葉祐大氏、パネリストは(株)ブルースタジオ専務取締役の大島芳彦氏、明海大学教授の齊藤広子氏、キーパーズ(有)代表取締役の吉田太一氏の3名。

齊藤氏は最新の国や行政の空き家対策として、日本に空き家が多い理由を説明し、「空家等対策の推進に関する特別措置法案」の概要や千葉県流山市の取組みを紹介。流山市では、空き家の利用希望者の相談は行政が受け、リフォームプランの提示や契約は地元に限った宅建業者が行う。行政と宅建業者の連携により、「空き家を地域の再生ポイントにしている」と解説した。

大島氏は、不動産商品価値の再生には、建物の修繕というリフォームではなく、使い方を考えるリノベーションが必要だと説明。地域活性化の事業モデルとして、北九州市小倉で始まった「リノベーションスクール」、長野市善光寺周辺で行われている街歩きや新たなビジネスの展開、大森町(東京都大田区)にある築40 年の木造住宅の再生などの事例を紹介した。大島氏は、「地域と連携して町の使い方を考え、その活動を不動産業者がサポートしていくという感覚をもってほしい」と語った。

吉田氏は、本業である遺品整理の顧客から不動産売却の相談が増えてきたことにより、弁護士や司法書士などの「士業者」を集めたサイトの作成過程や無料査定の新聞折り込み広告の反響状況を伝えた。そして今後の不動産業について「業者として生き残るためには、今までの考え方とは逆転して、少し変わった立ち位置の人の意見も重要になるのではないか」と意見を述べた。

最後に千葉氏は、数年間で売上が倍増した北海道釧路市にある業者などの事例を紹介し、「現在の空き家の多くは時間経過とともに商品価値を落としていくことが現実。(それぞれの事例から)現在の皆さんの現場での業務内容を検証していただきたい」と締めくくった。

【基調講演(分科会C)】 17:20 ~ 18:00

続いて、建築家で国士舘大学教授の南泰裕氏が「次世代環境共生型住宅と住環境」をテーマに「スマート・ハウジング」の現状と提案について講演した。

 

【閉会式】 18:05 ~ 18:20

閉会式は、まず次期開催地方県を代表して迫幸治沖縄県本部長の挨拶から始まり、松永幸久 全日副理事長より大会宣言案の発表後、採択された。最後に、木ノ内諭 保証・教育研修委員長が閉会の挨拶をして、閉会式を締めくくった。

大会宣言
 
  一、高齢化、人口減少に対応するための諸施策の推進
  一、地方創生と経済活性化への取り組みの推進
  一、安心安全なまちづくりの推進及び居住環境の整備向上
  一、不動産流通市場活性化の推進及びそのための税制の実現

 

 

【交流会】 18:30 ~ 20:00

交流会は、京河一臣 実行委員長および林直清 理事長による挨拶の後、秋山誉志 四国地区協議会会長が乾杯の音頭をとり、始められた。アトラクションでは、「句会ライブ」で作成された俳句の中から夏井いつき氏が優秀句を発表。次に、松山市の無形民俗文化財に指定されている「伊予万歳」と、松山が発祥の地といわれている「野球拳」が披露され、歌と踊りで会場を盛り上げた。

最後に上谷進 愛媛県本部副本部長が閉会の辞を述べ、第50 回全国不動産会議 愛媛県大会が盛会のうちに終了した。

 

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