第55回 全国不動産会議 高知県大会 開催レポート


第55回 全国不動産会議 高知県大会

龍馬の夢、土佐から創まる物語

高知で心のせんたくを。

 

  公益社団法人全日本不動産協会と公益社団法人不動産保証協会は、10月3日(木)、高知市文化プラザかるぽーとで第55回全国不動産会議高知県大会を開催しました。大会テーマは、「龍馬の夢、土佐から創まる物語。高知で心のせんたくを」。当日は台風による記録的な大雨で飛行機の遅れが出たにもかかわらず、全国から会員ら約1,300人が参加しました。
 記念講演では、独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館学芸部上席研究員の宮川禎一氏が「坂本龍馬と大政奉還」について解説し、調査研究発表では、行政と不動産業による市街地活性化の取り組みについてパネルディスカッションしました。交流会では、よさこい踊りや玄蕃太鼓などが披露され、会員同士の交流を深めました。

 

 

□開会式

 第55回全国不動産会議高知県大会は、木ノ内諭全日・教育研修委員長の開会の挨拶から始まりました。最初に清水正博高知県本部長が次のように歓迎の言葉を述べました。「高知県は、桂浜や四万十川、仁淀川など自然が多く、食文化も豊かです。全国に広まった“よさこい踊り”など元気な土佐文化をたっぷりとご堪能ください」。続いて、原嶋和利理事長が登壇し「本会では時代の変化に対応し、国の基幹産業としての責務を担っていくための行動指針として、本年6月に『全日本不動産協会中期ビジョン』を策定しました。不動産業が直面する課題の解決に向け、未来を見据えた中で取り組んでまいります」と挨拶。その後、司会者が安倍晋三内閣総理大臣からのメッセージを代読しました。
 来賓においては、大雨の影響で欠席や出席者の変更がありました。赤羽一嘉国土交通大臣と井上信治全日本不動産政策推進議員連盟事務局長・衆議院議員は、飛行機が着陸できずに欠席、尾﨑正直高知県知事と岡﨑誠也高知市長は、災害対策会議のため開会式を欠席されました。最初に司会者が赤羽大臣と尾﨑知事の挨拶を代読し、高知市長代理の大野正貴総務部長が挨拶後、井上衆議院議員の挨拶を司会者が代読しました。そして、中谷元衆議院議員、山本有二衆議院議員、平山耕三南国市長の挨拶後、野田聖子全日本政策推進議員連盟会長の祝電を披露。最後に清水高知県本部長から原嶋理事長を通して、次回開催県である栃木県の稲川知法本部長に大会旗が引き渡されました。

 

□記念講演:坂本龍馬と大政奉還

<講師>宮川禎一氏
(独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館学芸部上席研究員)

 「坂本龍馬と大政奉還」について、東アジアの考古学と坂本龍馬を主とした幕末史を専門にしている宮川禎一京都国立博物館学芸部上席研究員が講演しました。
 龍馬暗殺前の最後の3カ月間(慶応3年9~11月)に焦点をあてて、龍馬の発言と行動から、大政奉還ではなく「徳川慶喜の将軍辞職」を選択肢の1つとして考えていたのではないかなど、龍馬が目指す新しい日本の姿の考察を示しました。

 

 

 

□調査研究発表:「生涯活躍のまち」構想の現状と課題 ~行政と不動産業による市街地活性化の取り組み~

「『生涯活躍のまち』構想の現状と課題」をテーマに「行政と不動産業による市街地活性化の取り組み」について、座長の南泰裕国士舘大学理工学部教授を含め、上記6名の方をパネリストに迎えて、調査研究発表が行われました。
 最初に南氏が、内閣府・内閣官房による「地方創生プラン」において、施策立案から現在に至るまでの「生涯活躍のまち」構想の流れ(図表1)や、人口約3,600人を擁する高知県梼原町を例に挙げて、町の移住推進課や移住コーディネーターが積極的に移住を推進している状況を説明しました。
 次に、今年8月31日と9月1日に高校生・大学生を対象に行われた「高知まちづくり学生ワークショップ」について姥浦氏と南氏が発表しました。内容は、高知市南に位置する御畳瀬地区で廃校になった小学校を、地域の強みや資源を生かして体験型キャンプ場に創り上げていく案や、はりまや橋から徒歩約5分の距離にある「菜園場商店街」の活性化策等。学生たちが実際にまちを歩いて地元の方々から話を聞き課題を見つけ、解決策を探りました。このワークショップは、今ある資源を有効活用することで地域復興や社会貢献、ビジネスの一助となることを目的としています。
 続いて、「日本版CCRC構想有識者会議」の委員を務めていた受田氏が、有識者会議の設立経緯や現在の状況を説明しました。「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」の推進エリアが減っているのは、「当初、アクティブシニアに対象を限定していたことが原因の1つであり、全世代を対象にしていくことが今後の発展につながるのではないか」と見解を示しました。
 次に、大原氏が「高知県における空き家対策」(図表2)として、高知県の人口減少と空き家増加率を示し、空き家活用促進事業の推進状況や空き家の再生事例を紹介。「高知市の移住・定住の取組概要」については、森田氏が、大都市からの移住に不安を抱えている希望者に対して、最初に高知市へ移住し、その後、県内市町村に移住する「高知市二段階移住推進事業」(図表3)や高知市版「生涯活躍のまち」構想・基本計画について説明しました。続いて、大島氏が「地域の日常に潜む潜在的な価値を発掘し再編集することによる地域価値の創出」について解説。その後、姥浦氏が「生涯活躍のまちと不動産業」をテーマに、まちづくりのチームの一員として非常に重要な役割を担っているのが不動産業であると強調しました。
 ディスカッションでは、「生涯活躍のまち」の推進には、行政との協働においてお互いが当事者意識を持って自立することの必要性や、空き家の掘りおこしなどソフト面での補助のあり方などに話が及び、最後に南氏が「自発的な当事者意識を持つことや、まちの活性化策等の情報発信が重要である」と締めくくりました。

 

 

□閉会式
 閉会式は、次回開催の栃木県のPR映像の上映後、稲川知法栃木県本部長が次のように挨拶しました。「栃木県は古代より下野国と呼ばれていました。私たちは大和朝廷時代に現在の1都6県である関八州を治める坂東武者の末裔です。武骨でたくましく情に厚い坂東武者の魂を引き継ぎ、新しいまちづくりに精魂を傾けていきたい。そして、過去を振り返り関八州が成長してきた歴史を顧みて、未来への橋渡しをしていきたいと思い、来年のテーマを『次なる未来へ飛躍する下野国』としました。2022年には宇都宮市で新交通システム(LRT)が開設される予定です。新しいまちづくりに邁進する栃木県へぜひお越しください」。
 そして、堀田健二全日・副理事長による大会宣言案の発表後、採択され、最後に疋田貞明保証・教育研修委員長の挨拶により、閉会となりました。

 

 

□交流会

 交流会においては会場が「ザ クラウンパレス新阪急高知」に移り、3階ロビーではオープニングアトラクションとして、玄蕃太鼓振興会が「玄蕃太鼓」の演奏で参加者を出迎えました。
 最初に、竹村俊彦高知県大会実行委員長が開会宣言をし、その後、原嶋和利理事長が次のように挨拶しました。「みなさんが会場に足をお運びになったときは、記録的な大雨でしたが、開会したときは青空がのぞき、すばらしい学びの1日を過ごすことができました。皆さん、交流会を存分にお楽しみください」。

 

 災害対策会議で開会式を欠席された尾﨑正直高知県知事と岡﨑誠也高知市長は、スケジュールを調整して出席し、挨拶をしていただきました。さらに、台湾最大の不動産流通団体で当会と平成6年から交流を図っている中華民國不動產仲介經紀商業同業公會全國聯合會理事長の林正雄氏や、桑名龍吾高知県議会議長、黒岩正好高知県議会議員、竹村邦夫高知市議会議員の来賓挨拶後、山下稔四国地区協議会長が乾杯の音頭をとり、和やかに交流会が始まりました。会場では会員同士の歓談のなか、土佐箸拳(箸による拳の勝負)や民謡「しばてん音頭」に合わせて「しばてん踊り」が披露され、会員の方々も舞台に上がり、共に土佐のお座敷遊びを楽しみました。
 最後に松岡勇一高知県前本部長が三本締めを行い、第55回全国不動産会議高知県大会が盛会裏に終わりました。

 

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