税務相談

月刊不動産2009年7月号掲載

認定長期優良住宅新築等特別税額控除

情報企画室長 税理士 山崎 信義(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

所得税の認定長期優良住宅新築等特別税額控除について教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 1.制度の内容

    (1) 概要

     居住者が認定長期優良住宅の新築等をし、平成21年6月4日から平成23年12月31日までの間に、その者の居住の用に供した場合には、一定の要件の下で、(2)の認定長期優良住宅新築等特別税額控除を居住年分の所得税額から控除することができます。

     居住年分の所得税の額から控除しきれない額は、居住年の翌年分の所得税の額から控除できます。

    (2) 認定長期優良住宅新築等特別税額控除額

     認定長期優良住宅新築等特別税額控除額は、認定長期優良住宅について講じられた構造及び設備に係る「標準的な費用の額(1,000万円を限度)」の10%相当額(百円未満切捨て)となります。

    (3) 「標準的な費用の額」の定義

     認定長期優良住宅について講じられた構造及び設備に係る「標準的な費用の額」とは、認定長期優良住宅の構造の区分ごとに、次のとおり1㎡当たりで定められた金額に認定長期優良住宅の床面積を乗じて計算した金額となります。

     なお、認定長期優良住宅とは「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に規定する認定長期優良住宅に認可する家屋で一定のものをいい、その構造とは、長期優良住宅建築等計画の認定通知書等において認定されます。

     ① 木造・鉄骨造は、3万3,000円

     ② 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造は、3万6,300 円

     ③ ①と②以外の構造は、3万3,000円

    2.適用要件

    (1) 対象家屋

     次の要件をすべて満たすことが必要です。

     ① 床面積が50㎡以上の家屋であること

     ② 床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供する家屋であること

     ③ 認定長期優良住宅であると証明がされたものであること

    (2) 居住要件

     対象住宅を新築の日又は取得の日から6か月以内に自己の居住の用に供することが必要です。

    (3) 適用を受けることができない場合

     次のいずれかに該当する場合には、認定長期優良住宅新築等特別税額控除は適用できません。

     ① 認定長期優良住宅の新築等をした家屋に居住した年分の合計所得金額が3,000万円を超える場合
      なお、居住年の翌年の所得税の額から居住年に控除しきれなかった額を控除する場合においては、居住年の翌年分の合計所得金額が3,000万円を超えるときは適用を受けることができません。

     ② 認定長期優良住宅の新築等をした家屋に居住した年分の所得税について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例又は居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用する場合

     ③ 認定長期優良住宅の新築等をした家屋に居住した年の前年分又は前々年分の所得税について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例又は居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用する場合

     ④ 居住年の翌年又は翌々年中に、認定長期優良住宅の新築等をした家屋又は敷地以外の一定の資産を譲渡したときにおいて、その資産の譲渡につき居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例又は居住用財産の譲渡所得の特別控除を適用する場合

    (4) 住宅借入金等特別控除との選択適用

     認定長期優良住宅の新築等について、住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合には、その認定長期優良住宅の新築等について、認定長期優良住宅新築等特別税額控除の適用を受けることはできません。

    3.申告要件

     認定長期優良住宅新築等特別税額控除の適用を受けるためには、居住年の所得税の確定申告書に、認定長期優良住宅新築等特別税額控除額の計算明細書、対象家屋に係る長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し等の一定の書類を添付することが必要です。

     なお、居住年の翌年の所得税の額から居住年に控除しきれなかった額を控除する場合においても、その年分の所得税の確定申告書に、認定長期優良住宅新築等特別税額控除額の計算明細書等の書類を添付することが必要です。

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