税務相談

月刊不動産2002年6月号掲載

親から住宅取得資金の贈与を受けた場合の特例について教えて下さい。

0 井出 真(井出真税理士事務所)


Q

親から住宅取得資金の贈与を受けた場合の特例について教えて下さい。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  •  父母または祖父母から金銭を贈与され、そのお金を自宅の購入または建設資金に充当する場合には、贈与税の特例があります。ただし、配偶者の父母(または祖父母)からの贈与は対象になりません。妻の父が住宅取得資金を援助するときは、娘である妻に贈与すればよく、義理の息子である夫に贈与したときは、特例が受けられません。この特例を受けるための要件は次のとおりです。

    ア)その贈与を受けた年の合計所得金額が1,200万円以下であること

    イ)取得する家屋の床面積は、50㎡以上であること

      ※床面積は、登記簿上表示される面積をいう

    ウ)取得する家屋の床面積の2分の1以上が自己居住用であること

    エ)中古住宅を取得する場合、築後経過年数が取得の日前20年(耐火建築物は25年)以内であること

    オ)その贈与を受けた年の翌年の3月15日までに新築または取得をして居住の用に供し、または供することが確実であること

    カ)贈与の日前5年以内に自己または配偶者の所有する住宅用家屋に居住している場合には、その贈与を受けた年の翌年の3月15日まで譲渡(または建物の滅失)をし、買換え(または建替え)をすること

      ※翌年12月31日までに譲渡(または建物の滅失)をする見込みのときは、他の要件を満たせば認められる

    キ)すでにこの特例の適用を受けたことがないこと

    ク)必要な書類を添付した申告書を提出すること

     次に、贈与の翌年3月15日までに取得等する住宅用家屋等は、次のように分類されます。

    (1)住宅用家屋の新築

     住宅取得資金の贈与を受けた者が、工事請負契約等により新築した場合、次の要件をいずれも満たすことが必要となります。

    ・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、新築に準ずる状態として屋根(その骨組みを含む)を有し、土地に定着した建造物として認められるとき(いわゆる棟上げの状態)以後の状態であること。

    ・受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までに(その日までに新築に準ずる状態にあるときは、完成後速やかに)居住すること。

    (2)新築分譲住宅(マンション)の購入

     建築後使用されたことのない住宅用家屋を取得する場合、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋の取得(=家屋の引渡し)を受けていなければなりません。

    (3)中古住宅(マンション)の購入

     築後経過年数が取得の日前20年(耐火建築物は25年)以内であることが要件となります。
     なお、以上いずれの場合でも、住宅用家屋の新築または取得とともにするその敷地の用に供する土地または借地権の取得も特例の対象に含まれます。ただし、住宅予定地のみの取得は対象に含まれません。

    (4)増改築費用

     工事費用が1,000万円以上または床面積の増加が50㎡以上の増改築をした場合も特例の対象に含まれます。
     この特例によれば、贈与された住宅取得資金のうち1,500万円までの部分について、5分5乗方式により贈与税の計算をすることができます。
    5分5乗方式とは、5年間にわたり贈与を受けたものとみなしてくれることです。贈与税の基礎控除は年間110万円なので、贈与金額がその5年分である550万(110万円×5)までであれば、この特例により贈与税はゼロとなります。


     

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