法律・税務・賃貸Q&A

平成29年度改正タワーマンションに係る固定資産税の取扱い

山崎 信義
税理士法人タクトコンサルティング 情報企画室室長 税理士

質問

 平成29年度税制改正により見直しがされた、タワーマンションに係る固定資産税の取扱いについて教えてください。

月刊不動産2017年10月号掲載
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回答

Answer

 固定資産税の計算上、タワーマンションは「居住用超高層建築物」(後述2.参照)と定義され、その区分所有者が納付すべき固定資産税額については、区分所有者の有する専有部分の床面積の割合に応じて按分計算する原則的な取扱いに代えて、実際の分譲価格を踏まえた按分方法により計算することとされました。

1.分譲マンションに係る固定資産税の計算(原則的な取扱い)

 マンションのような区分所有家屋に係る固定資産税は、区分所有家屋の各分を個別に評価することが困難であることから、次の算式のとおりに計算をします。なお、都市計画税についても、固定資産税と同様の方法により計算します(地方税法352条1項ほか)。

2.居住用超高層建築物に係る固定資産税の課税の見直し

(1)見直しの趣旨

区分所有家屋の各専有部分(住戸)に係る固定資産税は、上記1.のとおり、区分所有者の有する専有部分の床面積の割合が同じであれば、どの階層の住戸であるかに関係なく、各区分所有者の納付すべき固定資産税額は同額となります。しかし、区分所有家屋のなかでもタワーマンションにおいては、低層階の住戸の分譲価格に比べて高層階の住戸の分譲価格が高くなることが多く、かねてより各住戸部分の分譲価格差と各区分所有者の固定資産税額とのバランスがとれていないという問題点が指摘されていました。

今回の改正により、地方税法上、タワーマンションは(2)のとおり「居住用超高層建築物」の区分所有者が納付すべき固定資産税額については、実際の分譲価格を踏まえた按分方法により計算することとされました。なお、都市計画税についても同様の見直しがされます。

 

(2)居住用超高層建築物に係る固定資産税額の計算の見直し

高さが60mを超える建築物のうち、複数の階に住戸が所在しているものを「居住用超高層建築物」と定義し、その固定資産税の計算を次のようにしました(地方税法352条2項、法施行規則15条の3の2、7条の3の2)。

①居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額においては、各区分所有者に按分する際に用いる各区分所有者の専有部分の床面積に、住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率(これを「階層別専有床面積補正率」という)を反映して計算します。

②階層別専有床面積補正率は、最近の取引価格の傾向を踏まえ、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が1つ増えるごとに、これに10/39を加算した数値とされます。したがって、[N階の階層別専有床面積補正率=100+10/39×(N-1)]となります。

 見直し後の居住用超高層建築物の各住戸の固定資産税は、次の算式のとおりに計算することになります。

(例)1階に係る固定資産税が100の場合、40階の固定資産税は110となります。

 なお、マンション1棟の固定資産税額(総額)は、今回の改正の前後で増減はありません。

③居住用以外の専有部分を含む居住用超高層建築物においては、まず当該居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額を、床面積により居住用部分と非居住用部分に按分の上、居住用部分の税額を各区分所有者に按分する場合についてのみ、階層別専有床面積補正率を適用します。

④上記①から③までに加え、天井の高さ、附帯設備の程度等について著しい差違がある場合には、その差違に応じた補正を行います。

⑤上記①から④までにかかわらず、居住用超高層建築物の区分所有者全員による申出があった場合には、その申し出た割合により居住用超高層建築物に係る固定資産税額を按分することもできます。

3.適用時期

 上記2.の改正は、平成29年1月2日以後に新築された居住用超高層建築物(平成29年3月31日までに売買契約が締結された者の居住用の専有部分を含むものを除く)の平成30年度分以後の年度分の固定資産税について適用されます(改正法附則1条柱書、17条5項)。

Point
  • 平成29年度のタワーマンションに係る固定資産税の改正は、上記のとおり税額計算の見直しであり、その家屋部分の固定資産税評価について特に改正はありません。
  • タワーマンションの家屋部分に係る相続税法上の評価は固定資産税評価額とされており(財産評価基本通達89)、その固定資産税評価額は時価に比べて大幅に低い価額であることから、資産家の相続税対策として、金融資産をタワーマンションに組み換える“タワーマンション節税”を引き続き勧める向きもあるようです。しかし、このような節税策について国税庁は、既に平成27年10月29日の記者発表で、「当庁としては、実質的な租税負担の公平の観点から看過しがたい事態がある場合には、これまでも財産評価基本通達6項を活用してきたところですが、今後も、適正な課税の観点から財産評価基本通達6項の運用を行いたいと考えております(抜粋)」との見解を示しています。財産評価基本通達6項は、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と定めており、タワーマンションの取得・保有の状況や経緯によっては、その家屋部分につき通常の固定資産税評価によらない評価がされることがありえますので、注意が必要です。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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