税務相談
月刊不動産2008年5月号掲載
マイホームを売却した場合の特別控除と軽減税率
情報企画室長 税理士 山崎 信義(税理士法人 タクトコンサルティング)
Q
マイホームを売却した場合の譲渡所得の3,000万円控除と軽減税率について教えてください。
A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。
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1. 対象となる居住用不動産
(1) 居住用不動産の範囲
自分が居住している家やその敷地を売却した場合には、譲渡所得の計算上、次の 2.や 3.の特例の適用があります。適用対象となる居住用不動産は、次のいずれかに該当する家屋や敷地をいいます。
① 現に自分が居住している家屋
② 居住用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却した家屋
③ ①又は② の家屋とその敷地
④ ① の家屋が災害により滅失した場合の敷地
⑤ 居住している家屋又は居住していた家屋を取り壊して敷地を売却した場合は、次の要件を満たすことイ その土地等の売却に関する契約が、その家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、その家屋を居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却したものであること
ロ その家屋を取り壊した後、譲渡に関する契約を締結した日まで、貸付けその他の用に供していない土地等の売却であること
(2) 適用が受けられない場合
次のような場合には、次の 2.3.ほかの居住用不動産売却にかかる譲渡所得の課税の特例は受けられません。
① 特例の適用を受ける目的で入居したと認められる家屋や仮住まいの家屋を売却した場合
② 配偶者、 直系血族 (父母、 子、 孫など) その他生計を一にする親族などや同族会社等に売却した場合2. 3,000万円特別控除
(1) 特例のあらまし
居住用不動産を売却した場合、長期譲渡所得又は短期譲渡所得のどちらに該当する場合であっても、譲渡所得から最高3,000万円の特別控除額を控除できます。
(2) 適用除外
居住用不動産の売却年の前年又は前々年において、この特例のほか、 「特定の居住用不動産を売却した場合の買換えの特例」 、「居住用不動産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」 、「特定居住用不動産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といった居住用不動産を売却した場合の特例の適用を受けている場合は、この特例の適用はありません。
(3) 適用を受けるための手続
この特例を受けるためには、所得税の確定申告をし、かつ、その申告書に居住用不動産の売却日から2か月を経過後に交付を受けた除票住民票の写し又は住民票の写しを添付する必要があります。
3. 軽減税率の特例
(1) 特例のあらまし
売却年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用不動産を売却した場合には、3,000万円の特別控除を差し引いた後の課税長期譲渡所得について、次のとおり軽減された税率で税額を計算できます。
① 課税長期譲渡所得の金額が6,000万円以下の部分税率は14% (所得税10%住民税4%) になります。
② 課税長期譲渡所得の金額が6,000万円超の部分税率は20% (所得税15%住民税5%) になります。(2) 適用除外
売却年の前年又は前々年において、2.(2) に記載した特例又はこの特例の適用を受けている場合は、特例の適用を受けることができません。
(3) 適用を受けるための手続
この特例を受けるためには、所得税の確定申告をし、かつ、その申告書に居住用不動産の登記事項証明書などのほか、居住用不動産を売却した日から2か月経過した後に交付を受けた除票住民票の写し又は住民票の写しを添付する必要があります。
4. 住宅借入金等特別控除等の不適用
居住用不動産を買い換えた場合、買換え不動産に居住した年とその前後2年ずつの5年間で、譲渡不動産について 上記 2.や 3.の適用を受けるときは、買換え不動産に係る住宅借入金等特別控除等は適用できません。