賃貸管理ビジネス

月刊不動産2022年7月号掲載

管理受託拡大戦略②~マーケティング~

今井 基次(みらいずコンサルティング株式会社 代表取締役)


Q

 以前から賃貸管理業務を行っていますが、賃貸仲介を基幹事業としてきたため、あまり管理戸数も増えず10年ほど700戸前後を横ばい状態です。ここのところ仲介事業の業績が思うように上がらないため、しっかりと管理事業をメインにできるように受託拡大をしていきたいと考えています。ただ、どこから着手をしたらよいのかわかりません。管理業務の内容も曖昧で、各スタッフごとにやるべき業務内容の認識に誤差が出ているように感じています。まずは、どこから着手をすればよいのかを教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 回答

     管理受託を拡大するためには、「管理内容の明確化とメニュー作り」「マーケティング」「知識の強化」の3つが大きなポイントになります。前回の「管理内容の明確化とメニュー作り」に引き続き、今回は「マーケティング」について解説します。

  • 1.提案営業ツールを作る

     管理内容を明確にし、管理メニュー(サービス内容)を明確にしたら、次は提案営業ツールを作成します。よく、口頭だけで提案をして、管理を受託する話を聞きます。しかしそれは、非常に危ういことをしているのです。いったんその時は双方が合意をして管理を受託することになるのですが、記憶はお互い曖昧なものです。「ここまでサービスでやると言ったはずだ!」「そこは有償で、無料ではできません!」などということに発展します。やがて、その担当者が退職などしてしまえば、問題はより複雑になってしまうのです。当事者がいなくなって、オーナーの言うことを全面的に飲まなければならなくなってしまうからです。
     そうならないためにも、予め提案営業ツールを作成して、オーナーと管理会社(もちろん社内的にも)が合意した上で、「どこから・どこまでを・いくらでやる」のかを理解して物件をお預かりしたいものです。
     管理受託の提案営業ツールは、わかりやすく言えば「営業パンフレット」です。会社案内と一緒になっているものでももちろんいいのですが、できるだけ専用の営業ツールがあった方がベターです。もちろん、パワーポイントなどで作ってもいいのですが、できればしっかりとしたプロに依頼したデザインで作りたいところです。たとえば、車を購入するときにパワーポイントで作られた資料でプレゼンされたら、皆さんはどう感じますか。購入しようと思うでしょうか。アパートやマンションは、車よりも高額な資産です。そのような大切なものをお預かりするのですから、できる限り、しっかりしたデザインで作り込んでほしいものです。まだ会社は小さいからパンフレットばかりよくしたら名前負けしてしまう、という発想は真逆です。会社はすぐには大きくできなくとも、パンフレットはしっかりしたものを今すぐ作れるのです。
     パンフレットに入れるべき内容は、「自社の強み」「管理メニュー」「業務全般」に加え、できれば会社としての管理をする「モットー」も明確にした方がよいでしょう。できれば社長など、トップの想いを文字化するとより信頼感が増します。

  • 2. 販路拡大のためのチャネル活用

     提案営業ツールが出来上がったら、様々な方法を使って「集客」を図ります。信頼度の高い媒体「新聞広告」に自社の管理のポイントを載せるのは一つの方法です。ただし、少しコスト高になります。それならば、自社の取り組みを記事にしてもらう「プレスリリース」を活用するのも一つの方法です。新聞の記者は常に記事を探しています。自社の取り組み等を無料で記事にしてもらえるように、常に新聞社とパイプを持っておくことが望ましいでしょう。
     それから「セミナー」の活用は大変有用です。できる限り継続的に行いたいものです。定期的にオーナーにとって価値のある情報を伝える場を提供することで、信頼度がグッと高くなります。できれば、本格的に受託を拡大する場合は隔月~毎月、安定期に入っても最低でも年1~2回程度は実施したいものです。
     また、ブログなどを活用するのも、価値があります。『オーナーは年配の人ばかりだから、ホームページやブログなんて見ないよ』と言われる人が多いのですが、オーナーは年々、世代交代をしていきます。ブログなどの情報は消えることなくどんどん積み重ねられますから、その情報やノウハウはGoogleなどのサーチエンジンから評価を受けることになります。すると、ブログが掲載されている自社のホームページが、検索順位でも上位に表示されることになるのです。
     最終的には、「広告」も「セミナー」も、情報を知った人は自社の「ホームページ」にたどり着くことになります。ほとんどの不動産会社で、あまりホームページ内で管理のことに触れていません。しかしそれは、大きな機会損失を招いていることになります。ここまで内容を明確化したら、ホームページを大きく更新していくことを強くお勧めします。

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