法律相談

月刊不動産2015年2月号掲載

都市計画法と建築基準法の関係

弁護士 渡辺 晋(山下・渡辺法律事務所)


Q

日常業務を行う上で法令上の制限の理解が必要だと考え、行政法規の勉強を始めましたが、都市計画法と建築基準法の関係がよく分かりません。この2つの法律は、どのような関係にあるのでしょうか。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 1. 回答

    都市計画法は、都市を計画的につくっていくための法律であり、全国の土地を都市計画区域と都市計画区域以外とに分けています。建築基準法は、建築物について、安全や衛生を確保し、かつ、計画的な都市づくりと調和したものとするための法律です。建築基準法のうち、計画的な都市づくりのための規定(集団規定)は、都市計画区域および準都市計画区域に限って適用され、それ以外の規定(単体規定)は、原則として、全国一律に適用されます。また、都市計画による定めに従って、建築基準法による用途制限や容積率・建ぺい率の制限が課されます。

    2. 都市計画法

    現代の人々の快適で住みやすい暮らしのためには、計画的に都市づくりを進めなければなりません。都市計画法は、計画的に都市づくりを進めるエリアを都市計画区域と定め、都市計画区域内で、都市計画を定めることとしました(都市計画区域以外で、秩序のある土地利用が必要な区域が、準都市計画区域)。都市計画の内容としては、①市街化区域および市街化調整区域の区分(区域区分)、②地域地区、③都市施設などがあります。

    ①市街化区域および市街化調整区域の区分:

    市街化区域は、(i)すでに市街地を形成している区域、および、(ii)おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域であり、市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。

    ②地域地区:

    用途などの都市整備の目的に応じ、地区・街区が指定されます。地域地区には多くの種類がありますが、土地利用に深く関係するのが、用途地域です。用途地域には、住居系7種類(第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域)、商業系2種類(近隣商業地域、商業地域)、工業系3種類(準工業地域、工業地域、工業専用地域)の合計12種類あります。

    ③都市施設:

    都市の骨格となるべき施設を適正に配置するための都市計画です。道路、公園、水道・電気供給施設、河川・運河、学校・図書館・研究施設、病院、市場などが、都市施設です。

    3. 建築基準法

    (1)規定の分類

    建築基準法の定めには、集団規定と単体規定があります。集団規定は、良好な集団的建築環境の確保を目的とする規定です。都市計画と相まって、計画的な都市づくりの実現に資するものであり、単体規定は、個別の建築物の構造上、防火上、衛生上等に関する規定です。個別の部位のありかたを規律し、人々の安全性の確保を図るものです。

    (2)集団規定

    集団規定としては、道路関係の制限、用途制限、容積率・建ぺい率の制限が、特に重要です。すなわちまず、建築物の敷地は、建築基準法上の道路(原則的に幅員が4m以上のもの)に、2m以上接しなければなりません。

    都市計画によって決められた用途地域内の土地については、建築できる建築物の用途地域による制限が課されます。また、建築物の延べ面積・建築面積は、都市計画によってそれぞれ決められた容積率(建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合)・建ぺい率(建築物の建築面積の敷地面積に対する割合)を超えることはできないことになっています。集団規定[同法41条の2ないし68条の9(第3章)の規定]は、都市計画区域および準都市計画区域内に限って、適用されます。

    (3)単体規定

    単体規定としては、防火・防災の観点から、屋根、外壁、防火壁、廊下、階段、出入口などに関する規定があり、衛生の観点から、採光、換気、石綿に関する事項などについて、規定があります。単体規定は、全国一律の規定です。

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