法律・税務・賃貸Q&A

知識レベルを高めてオーナー満足度を高める

今井 基次
オーナーズエージェント株式会社 コンサルティング事業部部長

質問

最近、若い社員が入社してくれてとても助かっています。反面、不動産関係の知識が少なく、経験も足りないのですが、積極的に知ろうという姿勢をあまり見ることができません。どのようにしたら興味を持って知識を吸収してもらえるでしょうか。

月刊不動産2020年03月号掲載
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回答

回答

 仕事以外の知識を吸収してもらうためには、一方的に教えようとしても覚えてくれるものではありません。ただ、不動産オーナーと話をしても知識がないままではどんな提案も受け取ってもらえなくなります。知識をつけなければいけないと感じる動機付けと、自らが気づきを得る取組みが必要となります。

1. 不動産オーナーと社員の知識レベルの差

 今から1 0 年ほど前になるだろうか。全国から不動産オーナーが1,200人以上集まるイベントがあった。そこで司会者がステージ上で「不動産管理会社さんに満足していない人、どれくらいいらっしゃいますか?」というストレートな質問をしたところ、見渡すとほとんどのオーナーが手を挙げていたことが今でも印象に残っている。オーナーが満足していない理由は、「空室が決まらない」「対応が遅い」「言ったことが実行されない」などいろいろとあるようだが、その理由をさかのぼっていくと根本の原因は、オーナーと管理会社の社員との「知識レベルに圧倒的に差がある」ことではないだろうか。「オーナーが管理会社の担当者に改善策を伝えているのに伝わっていない」というような話をよく耳にする。オーナーは、賃貸経営を成功させるために、ものすごい量の情報をインプットしており、そのために時間もお金もかけている。一方、管理会社の社員は、宅建士資格さえも持っていないし、一般的なニュースにも無関心な人がいる。これらは不動産業界だけの問題ではないのかもしれないが、高額な資産を預かる専門職に、会社として必要な知識を学ばせることに責任を持たなければならない。


2. 知識不足を認識させ、理解度をチェック

 これらを解消するのには時間がかかるが、まずは「知識が足りていないことは大きな問題である」ことを、社員に認識させなければならない。マネージャーは、担当者とオーナーとの面談に積極的に同行をして、終了後のフィードバックを細かなところまで伝える必要がある。「知らないワードが出てこなかったか」「オーナーが何を求めていたのか」など、担当者の理解度を必ず確認したほうがよい。もし同行に時間が取れないようであれば、営業ロープレを通じてフィードバックをしてもらいたい。

3. 新聞記事の要約でプレゼン力を養う

 それから、日経新聞の1つの記事を抽出して「1分間プレゼン」をするのもよい。日経新聞に取り上げられているどんな記事でもいいので、毎日の朝礼で順番にプレゼンをする。人に聞かせて理解してもらうためには、しっかりとした理解と周辺知識も必要になる。また1分で伝えるためには、それなりの要約力も必要となるため、良いプレゼンテーションのトレーニングになる。どんなニュースを選ぶのかで、社員のトレンドを知ることができるし、そのニュースの結果「何を思ったのか」をしっかりとプレゼンできているかがポイントになる。そのときに、聞いている周りの社員からプレゼン者に質問をしていくと、回答力も強くなりさらに知識が深まる。また、大きな社会問題になるような不動産に関わるニュースなどは、テスト形式にして行ってみるとよい。2018年、2019年と不動産関連の大きなニュースが社会問題化していた。その辺りは私たちの業界では一般常識であり、それを知らずに自社オーナーと対話していることを想像するだけで恐ろしくなる。ちなみに私の経験上、私が感じているスタッフのレベル感とテストの結果はほとんどシンクロしていた。

4. 研究発表会の実施で不動産知識のレベルアップへ

 不動産業界にある事象や商品にテーマを絞って、「コンテンツ研究発表会」をやるのもよい。「賃貸業界フランチャイズ」「リノベーション商品と自社事例」「自社と近隣ライバルの管理サービス」「不動産テックの今」「賃貸管理ソフト比較」など、テーマをいくらでも広げることが可能だ。他社サービスやその周辺を研究することによって、客観的に自社を知ることにつながる。交代でプレゼンテーションをするのだが、それぞれが徹底的に調べたものについて、社員がそのまま見聞を広げることができるので、1人の研究が何倍もの知識効果を生むことになる。自社のどこが強みで、どこが劣っているのかに気付くことができなければ、オーナーに対して良い提案ができるはずもない。
 日常の業務の中でも、ちょっとした時間の使い方をするだけで、全体の知識を高められる機会がこんなにもある。賃貸管理のレベルアップのためには、社員の知識レベルの底上げは欠かすことができないのだ。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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