賃貸管理ビジネス

月刊不動産2021年04月号掲載

無駄のない研修で、アウトプット力を高める

今井 基次(株式会社ideaman 代表取締役)


Q

新年度になり、今年も新入社員が入社してきます。毎年この時期は繁忙期と重なり、入社しても満足に業務を教えることもできず、手持ち無沙汰にさせてしまっています。実務研修(OJT)だけではなく、まずは机上の学習(OFF-JT)も教えていきたいのですが、社内研修はなかなか時間的に余裕がありません。社外研修を積極的に活用するには、どのような方法がよいのか教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 回答

     コロナ禍の制限もあり、例年のようにリアルでの研修があまり開催されていないようです。「リアル」「e-ラーニング」「オンライン」と大きく分けて3種類の研修スタイルがありますが、それぞれの特徴を把握して、効率よくインプットしていきましょう。

  •  新型コロナウィルスの影響により、大手企業を初め中小企業においても、2021年度の新卒や中途採用の枠が減ると予測されています。しかし、新入社員が減ったからといって、先輩社員や上司が教えなくてもよいというわけではありません。従業員教育は、「会社の質の維持」という観点からも最重要です。とはいえ、目の前の売上や生産性を考えると、二の次となってしまいがちです。そこで、大手企業はさておき、中小企業、特にその中でも小規模企業(5名以下の企業)が中心の不動産業者では、なかなか社内での教育体制を維持することが難しいため、積極的に外部機関(協会主催の研修など)での研修を検討するとよいでしょう。
     上記のような種類の研修スタイルのうち1つは「リアル研修」です。実際に顔を合わせて、従業員同士または社外の人と共に研修をすることになりますが、前向きな姿勢を持った人にとっては、このリアル研修での内容をインプットして、会社に持ち帰ってアウトプット(実践)してくれるので、非常に費用対効果が高いといえます。しかし一方で、①長時間拘束される、②研修開催に予定を合わせなければならないため仕事の調整が難しい、③1日拘束されるためスキマ時間を使えない、④研修を受けることが目的になりやすく、受けっぱなしで終わる、⑤ 交通費などで余分な費用負担がかかるといった問題点もあることを認識する必要があります。
     2つめの、「視聴型e-ラーニング」はどうでしょうか。リアル研修とは違い、仕事の時間を最優先にすることができるため、「スキマ時間を活用」して「必要な情報だけインプット」することができます。日本がコロナ禍になって一気に普及したのが、この視聴型e-ラーニングですが、研修を受けるためにわざわざ何時間も飛行機に乗らなければならない欧米では以前から大いに活用されてきました。現在のコロナ禍の下では非常に有効ですし、YouTubeなどを通じて動画慣れしている若い世代には有効な手段なのかもしれません。しかしこの方法でも、①リアル感がなく細かなところまでインプットしにくい、② 受けっぱなしになりやすく、習熟度が測りづらい、③一方的に聞くことに終始するためマンネリになりがち、④ライブ感がなく机上の話になりがちで、研修に緊張感が生まれにくい、といった問題点があります。例えば、鍵シリンダー交換の方法は、動画の解説を見れば内容は理解することができるでしょう。しかし細かなイレギュラーの部分は相互的に聞くことができないため、結局は誰かにライブで教えてもらうことになり、そこにひと手間がかかります。経営者や上司からしてみれば、「研修を受けているから、内容を理解しているはずだ」と考えてしまいますが、現実はそうではないようです。
     「成果を期待する上層部」と、「研修を受講することが目的」の現場担当者の意識の乖離はこの辺りからすでに始まっているのかもしれません。
     そこで、これらを補うのに適しているのが「オンライン型ライブ研修」といえるでしょう。この方法は、Zoomのようなプラットフォームを用いてのリアル研修です。リアル研修の無駄を省き、e-ラーニングのように一方通行的な内容を補うことが可能となるのです。ディスカッションや質問を受け付けるには、「ブレイクアウトルーム(グループ分け)」のような相互的な対話の機能もあるため、教える側からも、受講者側からも都合がよいのがメリットです。
     社内でこのような「オンライン型ライブ研修」を行うのであれば、あらかじめ研修テーマ、目的、ゴール(どのようにアウトプットできるようになるか)、所用時間、参加人数などを、明確に決めておくことが望ましいでしょう。例えば「空室対策」をテーマとした場合、ただ空室対策について学ぶのではなく「どのオーナー」に対して行うのか、事前に想定しておきます。実在の課題がなければ、ただの研修で終わってしまうからです。その後、空室要因をさらに深めていき問題を探ります。空室を解決できる方法は、お金をかけるもの、かけないものなどに分かれますが、それぞれの特徴を捉えて問題解決ができるのかを管理して行く必要があります。そこで出た意見をマニュアル化して、研修プログラムやレジュメ・テキストなどを作ってしまえば、そのあとは追加していけばよいため、最初の仕組みを構築することが重要といえるでしょう。または外部機関に依頼をして、このようなプログラムを作ってもらうことも一つの方法でしょう。

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