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法定相続情報証明制度

渡辺 晋
山下・渡辺法律事務所 弁護士

質問

 相続が発生したときに、誰が法定相続人かがわかる一覧図を、法務局が認証してくれるようになったと聞きました。どのような制度ができたのでしょうか。

月刊不動産2017年08月号掲載
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回答

1.一覧図の利用が可能

 平成29年5月に、法務局が法定相続人を示す法定相続情報一覧図(以下、「一覧図」)を認証する制度が開始されました。法定相続情報証明制度です。各種の相続手続きにおいて、法務局により認証を受けた一覧図の利用が可能となり、相続手続きにおける作業の利便性が高まりました。

 ただし、相続人にとっての利便性が高くなったのは、一部の作業にとどまります。法定相続情報証明制度は、法務局が戸籍を集めてくれる仕組みではありません。相続手続きを行う際に、誰が法定相続人なのかを説明するために、相続人(または代理人)が、自ら戸籍を集めなければならない点においては、従来と変わりはありません。

2.相続が発生したときの手続き

 相続が発生した場合には、相続人は、不動産登記の変更、預貯金の解約・払戻し、生命保険金の受取りなどに関し、相続の手続きを行う必要があります。賃貸住宅の賃料収納を管理会社に任せているときは、管理会社に対して、賃料の支払い先の口座を変更する申出などを行わなければなりません。相続税の申告手続きでも、法定相続人が誰なのかを示す資料が必要です。

 これらの作業においては、これまでは、被相続人の戸籍謄本等を取り寄せたうえで、その束を整理し、登記所、金融機関、保険会社などに提出しなければなりませんでした。

3.法定相続情報証明制度の創設

 法定相続情報証明制度は、登記所(法務局)に戸籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(一覧図:別紙1)を作成して提出すれば、登記官が一覧図に認証文を付した写し(別紙2)を交付する仕組みです。写しの交付は無料です。

 手続きの流れは、次のとおりです。

①相続人(または代理人)が、戸籍謄本等を収集する。

②相続人(または代理人)は、収集した戸籍謄本等をもとにして、法定相続人がわかる一覧図を作成し、法務局に提出する。

③法務局において、戸籍謄本等と一覧図を確認し、相続人に対して認証文付きの一覧図の写しを交付する。戸籍謄本等は還付され、一覧図は5年間法務局に保管される。

④一覧図が戸籍謄本等の代わりとなり、一覧図を用いて、相続人が各種の相続手続きを行うことができる(一覧図の利用が義務づけられるわけではない)。

4. まとめ

 最近は、土地や建物の相続が発生しても、相続登記が未了のまま放置されるケースが多くなっています。空き家問題の解決のためにも、誰が建物の所有者なのかを、明らかにする必要があります。法定相続情報証明制度は、これらの社会問題の解決のための方策という一面も有しています。

 相続人としては、相続手続きのために一度は戸籍謄本等を収集しなければならず、その煩わしさはなくなりませんが、官公庁や金融機関、保険会社などの手続きが従来よりも円滑に行われるようになる点において、利用者にとってもメリットがない制度ではありません。

Point
  • 法定相続情報証明制度は、誰が法定相続人かがわかる法定相続情報一覧図を、法務局に認証してもらう仕組みである。
  • 法務局の認証のある法定相続情報一覧図を利用すれば、官公庁、金融機関、保険会社などの手続きが、円滑に行えるようになる。
  • ただし、戸籍謄本等を収集しなければならないのは相続人(または代理人)であり、相続人(または代理人)にとって戸籍謄本等の収集の手間が省けるわけではない。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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