法律・税務・賃貸Q&A

成約率をアップさせる方法

宮下 一哉
株式会社船井総合研究所 不動産支援部 チーフ経営コンサルタント

質問

 2018年の繁忙期が始まりました。ここまでいろいろと準備をしてきて反響・来店は増えてきそうですが、「成約」にならなければ何の意味もありません。

 ズバリ、「成約率アップ」の方法について教えてください。

月刊不動産2018年11月号掲載
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回答

Answer

 賃貸仲介のモデル指標と自店の実績を知り、そのギャップに応じた対策をしましょう。成功事例に基づいた対策を講じることで、最短最速で、最大の成果を得ることができます。

「モデルとなるゴール」から入り、数値実績をもとに分析

 成約率は3つの要素に分かれます。まず「①案内」し、「②申込み」をもらって、「③契約」に至るという流れです。成約率を上げるためには、これらの1つひとつの率を上げていくことが重要です。モデルとなる数値指標は、「案内率90%」「申込率80%」「契約率70%」です。要するに、トップレベルの営業店では、新規来店客数の7割が成約に至ります。もし、皆さまの会社の営業店舗での実績がその数値に至っていない場合には「何か不足している取り組みがある」とお考えください。現在、船井総研のコンサルティングのなかで、数々の会社で実施していただいた「成功事例」と「数値データ」の分析により、課題と対策を「ゴール」から逆算して、事例に沿った対応策をお伝えいたします。

案内率が低いときの対策

 せっかく来店いただいたのに「案内」に至らない。このような場合は、「物件情報が頭に入っていない」ことが要因になっているケースが多いです。「新着物件情報から決め物を共有する」「紹介する物件を実際に現地に見に行く」ことを強化することが大事です。ベテラン営業担当者よりも新人営業担当者のほうが案内率や成約率が良いことがあります。先入観なく自分の目で見たことを「熱」をもって伝えることができれば、案内まで至らないということはなくなるはずです。最近では何でもインターネットで検索することが普通になっているため、「モノを覚えない」ことが当たり前になっています。日常でも電話番号、店の場所、曲の歌詞など、何でも検索できるので覚える習慣がなくなってきています。不動産業でも、物件を覚えること、道順を覚えることが「習慣」でなくなり、「仕事」でなくなってきています。営業担当者の仕事の半分は「物件仕入れ」と「物件確認」です。しかし、これは担当者だけに任せておくと進まない仕事ですので、「仕入れタイム」「確認タイム」などをしっかり決めて、店として、会社として実施していくことが非常に大事です。

申込率が低いときの対策

 案内はできるが申込みに至らない。こういう場合は「ヒアリング不足」が要因になっていることが多いです。そして、この症状は最も多くの会社に見られ、しかも最も“根深い問題”です。前述のとおり、お客さまも当然に部屋探しの際にインターネットを使います。引っ越さなくてはいけない事情や、引っ越したい理由はありますが、インターネット上で部屋探しを始めてたくさんの物件情報を目にしているうちに、何となくトーナメント方式や取捨選択方式で物件を絞り、特に「決め手」はないが、何となくこれが良さそうという「希望物件」にたどり着きます。そして、「この物件を見たい」ということで来店されるわけです。

 このようなプロセスで来店されたお客さまの場合、その物件で納得しているわけではなく、「もっといい物件はないか?」と考えていますから、最初の希望物件に案内してもなかなか納得せず、「幻の良い物件」に出会うかもしれない期待感を拭えなくて、「検討します」という答えになります。ただ、もっと厄介なのは、お客さまだけでなく、営業担当者も「幻の良い物件」を追ってしまっているケースが多いということです。駅から近くて、家賃が抑えめで、そこそこ広くて、設備が新しめで…という物件を脳内に描き、「そんな物件あるはずない」という思考になっている。

だから多くの営業担当者は「物件探しは何を妥協できるかがポイントです」と言うんです。これが大きな間違いです。すべてのお客さまは妥協して物件を選ぶのではなくて「満足」して物件を選びます。その感覚を理解できないうちは、申込率が60%を超えることはありません。新たに物件を探し出すこともできないですから、追客もできないし、再来も望めません。

 試しに営業担当者の方に「このお客さまはなぜこの希望条件なの?」と聞いてみてください。ほとんどの営業担当者が「お客さまがそう言ったからです」と答えるか、「わかりません」と答えるはずです。そんな状態の営業担当者に、お客さまを満足させることはできません。「満足」のポイントは、お客さまが自分で説明する希望条件ではなく、「今住んでいる部屋の内容と不便なこと」をしっかりとヒアリングして、それを「希望条件」のベースにして部屋探しをすることにあります。なぜなら、その希望条件に沿った物件が「本当の希望物件」だからです。ぜひ、そういうヒアリングや、物件紹介ができるようにしてください。その感覚を理解した営業担当者の申込率は80%を超えるはずです。

契約率が低いときの対応

 申込みまではもらえるけれど、そのまま契約にならない。その原因は、「納得性を重視したクロージングができていない」「申込み後の『報連相』が上手にできない」という2つが考えられます。前者の場合、案内した物件の中で最も気に入った物件について「何が気に入ったのか?」をしっかりヒアリングすることが大事です。気に入った部分は、お客さま本人に言葉にしてもらうのがよいですね。「部屋探しは妥協」と考えている営業担当者は、「何が気に入らないのか?」を重視して聞く傾向があり、その気に入らない部分を「(消去法で考えて)妥協するしかありません」と説得にかかり、強引に申込みをいただこうとします。だから結局逃げられてしまうのです。そうではなくて、「気に入った部分」をしっかり聞いて言葉にしてあげると、何となくこれが良さそうという「ふわふわした希望条件」が「明確な希望条件」に変わっていくため、納得する物件を見分けることができるようになるのです。これができると成約率が70%超となります。

 成約に至らない後者の理由の場合、店長が毎日・毎週の確認でしっかりサポートしてあげることが必要です。ポイントは、「実行まで見届けること」。「連絡した、相談した、段取りした」ということを実際に自分の目で確かめて確認することが重要です。

 以上、3つの項目でお伝えしました。ぜひしっかりと実行していただければ、必ず成果につながると思います!

Point
  • 成約率を3つに分けて、それぞれのモデル指標を知る。
  • 自店の実績を日次で把握し、モデル指標とのギャップを分析し、対策を練る。
  • 案内率が低いときには、「新着物件情報から決め物を共有する」「紹介する物件を実際に現地に見に行く」。
  • 申込率が低いときには、「今住んでいる部屋の内容と不便なこと」をヒアリングして「希望条件」のベースにする。
  • 契約率が低いときには、「気に入った部分」を聞いて言葉にする。「申込み後の段取りを店長がサポート」する。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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