法律・税務・賃貸Q&A

広告媒体(メディア)の相乗効果

今井 基次
オーナーズエージェント株式会社 コンサルティング事業部部長

質問

 管理物件の稼働率が低く、入居者募集に苦戦しています。反響数を増やそうとポータルサイトへの広告掲載を増やしていますが、コストばかりかかって一向に成果が上がる気配がありません。費用対効果を高めるためにはどのような方法があるのかを教えてください。

月刊不動産2019年07月号掲載
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回答

回答

 マーケティングにおいて、活用できる広告媒体(メディア)は、ポータルサイト以外にも様々な方法があります。独自に情報発信できるプラットフォームがたくさん存在しているので、それらをうまく活用すれば反響率を高め、総合的な費用対効果をも高めることにつながります。

1. 費用対効果を検証することが重要

 賃貸管理会社の使命は、物件の稼働率を高め、オーナーの資産(物件)価値を最大化することだ。賃貸住宅の稼働率(入居率)を高めるためには、募集戦略(マーケティングとリーシング)とその施策が重要となるが、現実的に管理会社主導で募集戦略が立てられているかといえば、できていないことがほとんどである。
 不動産会社が利用するマーケティングの媒体(メディア)は、店頭広告、ポータルサイトへの掲載、現地看板、ホームページなどがあるが、なかなか費用対効果の検証まではされていない。賃貸管理業をはじめ、不動産事業全般にいえることだが、マーケティングは売上向上だけでなく、募集・集客活動にも非常に重要な役割であるにもかかわらず、その活動があまり重視されているように感じない。

2. 3つのフレームを組み合わせて高い相乗効果を生む

 例えば、物件の募集チラシや図面を見ても、「この物件を見てみたい!」と思わせるようなデザインは少ない。もっと美意識を高めて、マーケティングやその費用対効果について考える必要があるのだ。
 媒体活用は、主に3つのフレームに体系立てて考えるとわかりやすい。これらを総称して「トリプルメディア・マーケティング」(図表1)というが、それぞれの特徴を知り、効率よく合わせることで高い相乗効果(図表2)が生まれる。
 まず1つ目は「ペイド( p a i d )メディア」で、費用を支払って広告掲載する、いわば従来型の媒体である。一般的には不動産広告といえば大手ポータルサイトが中心で、信頼度や訴求力は高い反面、情報の表現力(写真の数、情報)は乏しい。またコストがかかり、募集中は検索エンジンで物件名検索をすれば表示されるが、募集が終了すると掲載がアーカイブ(保管)され、該当物件の詳細を見ることができなくなってしまう。高いコストをかけて掲載をしても、情報がストックされていかないのは、情報資産として残らないため、もったいない。
 2つ目は「アーンド( e a r n e d )メディア」で、ユーザーの信頼や評判を得るための媒体である。インスタグラムやフェイスブックなどのS N Sをイメージしてもらうとわかりやすいが、「いいね!」や「クチコミ」という機能があるため、効率よく情報を消費者に届けられるのが特徴である。掲載した情報にユーザーが反応したものに対して、さらにユーザーが反応するため、拡散され、ユーザーの信頼度が厚くなる。これらは「無料」で利用でき、かつ情報の相互性があるのが特徴であり、使い方によっては費用対効果が非常に高くなる。情報発信力と相互性という点では、活用次第でたくさんのユーザーの目に触れさせることができるため、やり方次第で大きな効果が期待できる。
 例えば、物件の紹介動画を制作して、シリーズ化したものを動画サイト「YouTube」などで発信すれば、コンテンツ次第ではたくさんのファンを囲い込むことが可能だ。日本の賃貸市場では、アーンドメディアの活用事例が少ない。せっかく始めてみたもののすぐに止めてしまう企業も多い。ただ、消費者との信頼情報の構築が重要であることを考えると、浸透までに時間がかかっても、各メディアとの連動やSEO対策なども含めて相乗効果が出るため、継続する価値が非常に高い。
 3つ目が「オウンド( o w n e d )メディア」で、自社で運営するホームページやブログなどの媒体である。他の媒体と違い、プラットフォームなどによる制限がないため、情報や掲載するコンテンツなどを完全に自社でコントロールできるというメリットがある。ペイドメディアなどと違い、情報に制限がない。例えば、ポータルサイトであれば、写真や動画掲載などは数的制限があるが、自社でうまく構築できれば、極端な話、写真の数は1物件につき何百枚と掲載することだって可能だ。ペイドメディアと違い、お金をかけて構築したものをストックできるため、オウンドメディアは資産として残すことができる。
 このように利用できる媒体は様々なものがあり、入居希望者との接点はポータルサイトだけではない。現在の環境はたとえ集客が弱くても、情報発信にお金をかけずに、工夫ひとつでもっと他社と差別化することができるのである。

 

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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