税務相談

月刊不動産2007年3月号掲載

平成19年度税制改正・住宅のバリアフリー改修促進税制の創設

情報企画室長 税理士 山崎 信義(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

平成19年度の税制改正で、住宅のバリアフリー改修工事について新たに税制上の特典が設けられるという話を聞きましたが、どのようなものでしょうか。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 1.住宅のバリアフリー改修促進税制の創設

     「平成19年度税制改正大綱」では、一定の住宅のバリアフリー改修工事について、次のとおり所得税と固定資産税の減税措置が盛り込まれました。

    2.住宅のバリアフリー改修促進税制の概要

    (1)適用対象となる一定のバリアフリー改修工事の範囲

     この税制の適用対象となる「一定のバリアフリー改修工事」とは、次に該当する工事をいいます。
    (a)廊下幅の拡幅 (b)階段の勾配の緩和 (c)浴室改良(d)便所改良 (e)手すりの設置 (f)屋内の段差の解消(g)引き戸への取替え工事 (h)床表面の滑り止め化

    (2)バリアフリー改修工事等の所得税の特例

    (a)特例の概要
     一定の居住者が、その者の居住の用に供する家屋について一定のバリアフリー改修工事を含む増改築等で、その工事費用(補助金等をもって充てる部分を除く)が30万円を超えるものを行った場合において、その家屋を平成19年4月1日から平成20年12月31日までの間に、その者の居住の用に供したときは、一定の要件の下で、そのバリアフリー改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の一定割合が、最長5年間にわたり、所得税額から控除されます。なお、特例の適用にあたっては、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行するバリアフリー改修工事等の証明書が必要となります。

    (b)住宅借入金等の年末残高
     適用対象となる住宅借入金は、償還期間5年以上の一定の住宅借入金等及び死亡時一括償還に係る借入金等です。また、適用対象となる住宅借入金等の年末残高の限度額は1,000万円以下の部分(増改築等工事全体)です。

    (c)控除額の計算
     この特例に係る控除率は、一定のバリアフリー改修工事に係る工事費用相当分(200万円を限度)は2%、その他の工事費用相当分は1%となります。

    (d)一定の居住者
     適用対象となる「一定の居住者」とは、次のいずれかに該当する者をいいます。

      イ.50歳以上の者
      ロ.介護保険法の要介護又は要支援の認定を受けている者
      ハ.障害者である者
      ニ.上記ロ若しくはハに該当する者又は65歳以上の者のいずれかと同居している者

    (e)選択適用
     この特例は、次の(3)の「住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」との選択適用となります。

    3.住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の見直し

    (a)見直しの内容
    大規模の修繕又は模様替えに至らない工事のうち、(1)の「一定のバリアフリー改修工事」に該当するものが適用対象に追加されます。

    (b)適用時期
    (a)の改正は、増改築等をした居住用家屋を平成19年4月1日以後に自己の居住の用に供する場合について適用されます。

    (4)一定のバリアフリー改修工事に係る固定資産税の減額

    (a)適用対象となる住宅
     平成19年1月1日に存していた住宅のうち、65歳以上の者、介護保険法の要介護若しくは要支援の認定を受けている者又は障害者である者が居住するもの(賃貸住宅を除く)が適用対象となります。

    (b)固定資産税の減額措置
     (a)の住宅のうち、平成19年4月1日から平成22年3月31日までの間に、一定のバリアフリー改修工事で工事費用(補助金等をもって充てる部分を除く)が30万円以上のものが完了した場合において、工事内容等を確認することができる書類を添付して市町村に申告がされたときには、改修工事が完了した年の翌年度分に限り、その住宅に係る固定資産税の税額(1戸当たり100㎡相当分までに限る)が、3分の1相当額減額されます。

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