税務相談

月刊不動産2005年3月号掲載

定期借地権設定時の一時金の取扱い

代表社員 税理士 玉越 賢治(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

定期借地権についての税務上の取扱いが変わったと聞きました。その内容を教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  •  定期借地権制度は平成4年に創設され、現在までに約45,000戸の定期借地権付住宅が供給されています。事業用としてもロードサイドの飲食店・物販店、湾岸部での大型商業施設、都心低未利用地の商業施設、郊外のアウトレットモール等様々な場面で活用されています。戸建定期借地権付住宅を例に取ると、現行、地価約3,500万円に対して、月額地代約3万円(年間約36万円、地代率約1%)、保証金約630万円(保証金割合約18%)、というのが全国平均の姿です(定期借地権普及促進協議会「全国定期借地権付住宅の供給実績調査報告書」(平成16年7月)より。)
     定期借地権設定時における一時金に対する課税上の取扱いについては、国土交通省の照会に対する国税庁の文書回答により明らかにされました。
     これにより、借地人が地主に対して定期借地権設定時に授受される一時金について、次の用件を満たせば、用途のいかんを問わず、その一時金は前払地代(地主にとっては前受地代)として処理することが認められることが明確になりました。

    ①授受される一時金が前払地代であり、一定期間にわたって地代に均等して充当することを定めた定期借地権設定契約書を作成すること

    ②①の契約書を契約期間にわたって保管すること

    ③取引実態が①の契約内容に沿っていること

     定期借地権設定時に授受される一時金については、従来、保証金方式、敷金方式(高額地代方式)、権利金方式が利用されてきましたが、新たに前払地代方式が加わったということです。
     上記文書回答では、定期借地権設定契約書の書式例が公表されており、そのポイントは次のとおりです。

    ①賃料(月額)-前払賃料月額換算額=賃料の残額月払い

    ②前払賃料月額換算額=前払賃料÷契約期間(ヶ月)

    ③賃料の改定条項も可

    ④契約満了時に借地権消滅の対価に相当する金銭授受は行わない

    ⑤中途解約の場合には返還義務あり

    ⑥中途解約の場合、前払賃料の未経過分の返還と別個に違約金等の取決めは可能

    ⑦前払賃料方式によらない場合の賃料水準を逸脱しないように、賃料を設定す

    (定期借地権設定時において授受される一時金の種類)
     

    (定期借地権設定時において授受される一時金の特徴)
     

    (定期借地権設定時の一時金が前払地代と認められる場合の税務上の取扱い)
     

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