税務相談

月刊不動産2009年02月号掲載

同族会社・オーナー社長間の不動産取引に係る税務上の注意点について

情報企画室長 税理士 山崎 信義(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

同族会社とオーナー社長の間で不動産取引を行う場合の、税務上の注意点について教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 1.同族会社と役員間取引の注意点

     会社は、営利を目的として事業を行うことが求められます。このため、会社が社長やその親族に必要以上に給与を支給したり、個人的に負担すべき支出を負担したりする場合には、社長やその親族に利益を与えたものとして税務上取り扱われます。

     同族会社と社長やその親族間の取引は、税務上のトラブルが生じやすいので注意が必要です。

    2.社宅を社長に相場より安く賃貸した場合の留意点

    (1) 基本的な考え方
     会社が社宅に住む役員から通常の家賃を受け取らない場合は、通常の家賃と実際家賃との差額が役員に対する給与とみなされて課税されます。この場合の「通常の家賃」は、社宅の規模に応じ、次の(2)又は(3)の算式により計算した金額となります。

    (2) 一般住宅における通常の家賃(月額)

     ① その年度の家屋の固定資産税課税標準額× 12%  
      木造家屋以外の家屋は10%×1/12

     ② その年度の敷地の固定資産税課税標準額×6%×1/12

    (3) 小規模住宅等における通常の家賃(月額)

     この場合、「小規模住宅等」とは、家屋の床面積が132㎡(木造家屋は99㎡)以下であるものをいいます。

     ① その年度の家屋の固定資産税の課税標準額× 0.2% + 12円×家屋の総床面積(㎡)÷ 3.3(㎡)

     ② その年度の敷地の固定資産税の課税標準額× 0.22%

     ただし、床面積が240㎡を超える社宅や、240㎡以下であってもプールや茶室などの役員個人の嗜好を著しく反映した設備を有する社宅などについては、豪華役員社宅として(2)と(3)の算式によらず、「その住宅の利用について通常支払うべき使用料」が適正家賃とされます。

    3.会社・社長間の不動産売買に係る留意点

    (1) 会社不動産を社長に時価より安く売却した場合

     ① 基本的な考え方
      会社が不動産を時価よりも低額で譲渡した場合は、その不動産を時価で譲渡したものとみなされて課税されます。
      例えば、会社が時価2億円、帳簿価額7,000万円の不動産を、帳簿価額7,000万円で社長に売却した場合、税務上の取扱いは次のとおりになります。

     ② 会社側の税務
      社長が取得した土地建物の時価は2億円ですから、税務上は会社と社長が売価2億円の不動産売買を行ったものとみなされます。したがって、法人税の計算上は、2億円と7,000万円の差額1億3,000万円の売却益があったものとされます。

      この場合、社長は、2億円の価値のある不動産を会社から7,000万円で取得したので、差額の1億3,000万円は会社からの役員給与とみなされます。法人税の計算では、役員給与は損金不算入となるため、譲渡益とされた1億3,000万円分の所得が追加的に発生します。

      なお、役員給与とされた1億3,000万円については、会社側で所得税の源泉徴収が必要となります。

    ③社長側の税務
     社長側では、所得税の計算上、役員給与として認定された金額1億3,000万円が、給与所得として課税されます。

    (2) 社長所有不動産を時価より高く購入した場合

     ①会社側の税務
      会社が社長から不動産を時価よりも高く購入した場合、会社においては、時価で社長所有の不動産を買ったものとして法人税を計算します。その不動産の時価が取得価額となり、購入価額のうち時価を超える部分の金額は、不動産を譲渡した社長に対する役員給与とされます。

     なお、この役員給与とされた額については、会社側で所得税の源泉徴収が必要になります。

     ②社長側の税務
      不動産を譲渡した社長においては、譲渡代金と不動産の時価との差額が、会社から受けた役員給与として課税されます。

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