税務相談

月刊不動産2005年6月号掲載

個人借地人の課税関係

代表社員 税理士 玉越 賢治(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

個人が土地を賃借(借地)した場合の、個人借地人の課税関係を教えてください。.

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 1. 貸主(地主)が個人の場合

     (1)土地の賃借に際して通常の借地権利金を支払った場合には、課税関係は生じません。

     (2)土地の賃借に際して通常の借地権利金の額に満たない借地権利金の支払があった場合で
       も、次の算式による相当の地代の支払があるときは、課税関係は生じません。
      (土地の自用地価額-借地権利金の額)×6%
      この場合において、土地の自用地価額とは、相続税評価額の過去3年間の平均額をいい
       ます。

     (3)土地の賃借に際して通常の借地権利金の額に満たない借地権利金の支払があった場合
      で、かつ、相当の地代に満たない地代の支払があるときは、次の算式で計算した金額
      を貸主(地主)から贈与により取得したものとみなされます。

     

     (4)土地の賃借に際して借地権利金を全く支払わない場合でも、土地の自用地価額の6%の
      相当の地代の支払があると、課税関係は生じません。
      この場合において、土地の自用地価額とは、相続税評価額の過去3年間の平均額をいい
      ます。

     (5)土地の賃借に際して借地権利金を全く支払わない場合で、かつ、相当の地代に満たない
      地代の支払があるときには、上記(3)の算式で計算した金額を貸主(地主)から贈与によ
      り取得したものとみなされます。

     (6)土地の賃借に際して借地権利金を全く支払わない場合で、地代も支払わないときには、
      使用貸借として課税関係は生じません。

    2. 貸主(地主)が法人の場合

     (1)土地の賃借に際して通常の借地権利金を支払った場合には、課税関係は生じません。

     (2)土地の賃借に際して通常の借地権利金の額に満たない借地権利金の支払があった場合
      でも、次の算式による相当の地代の支払があるときには、課税関係は生じません。
      (土地の更地価額-借地権利金の額)×6%

      この場合において、土地の更地価額とは、次のいずれかをいいます。
      ア. 土地の更地としての通常価額
      イ. 近傍類地の公示価格や標準価格から合理的に算定した価額
      ウ. 相続税評価額
      エ. 相続税評価額の過去3年間の平均額

     (3)土地の賃借に際して通常の借地権利金の額に満 たない借地権利金の支払があった場合
      で、かつ、相当の地代に満たない地代の支払があるときは、次の算式で計算した金額を
      貸主(地主)から贈与により取得したものとみなされます。

     

      なお、この算式の「相当の地代年額」とは、
      土地の更地価額(上記(2)ア~エのいずれか)×6%の水準をいいます。

     (4)土地の賃借に際して借地権利金を全く支払わない場合でも、土地の更地価額の6%の
      相当の地代の支払があるときには、課税関係は生じません。
       
       この場合において、土地の更地価額とは、上記(2)のア~エのいずれかをいいます。

     (5)土地の賃借に際して借地権利金を全く支払わない場合で、かつ、相当の地代に満たない
      地代の支払があるときであっても、土地の無償返還届出書を所轄税務署長に提出したと
      きは、課税関係は生じません。ただし、相当の地代と実際の地代との差額が貸主(地主
      )から贈与を受けたものとして取り扱われます。地代を支払わない使用貸借の場合も同
      様です。

     (6)土地の賃借に際して相当の地代の支払も土地の無償返還届出書の提出もしていない場合
      には、法人地主から借地権相当額の贈与があったものとされます。

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