税務相談
月刊不動産2013年2月号掲載
住宅ローン特別控除の計算におけるマイホームの取得等の対価の額
情報企画室長 税理士 山崎 信義(税理士法人 タクトコンサルティング)
Q
所得税の住宅ローン特別控除の計算における“マイホームの取得等の対価の額”の範囲について教えてください。
A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。
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1.住宅ローン特別控除の概要
住宅ローン特別控除とは、住宅ローン等を利用して自己の居住用家屋とその敷地(マイホーム)を新築、購入等をした場合において、一定の要件に該当すれば、一定額を居住年以後の各年分の所得税額から控除できる制度です。
所得税額から控除される住宅ローン特別控除額は、原則、家屋の新築、購入、増改築等と、これらとともにするその家屋の敷地の取得(以下「マイホームの取得等」をいいます)に係る借入金等の年末残高の合計額等を基に計算をします。ただし、その借入金等の額がマイホームの取得等の対価の額を超える場合は、マイホームの取得等の対価の額が限度とされます。住宅ローン特別控除額の計算にあたっては、“ マイホームの取得等の対価の額” に含まれる金額の把握が重要です。
2.具体例によるマイホームの取得等の対価の額の範囲
(1)家屋の取得等の対価の額の範囲
①共有で取得した家屋
家屋を共有で取得した場合は、その家屋全体の取得等の対価の額に、その者の持ち分を掛けて計算した金額が、住宅ローン特別控除の計算におけるマイホームの取得等の対価の額になります。
②家屋の電気設備等の付属設備
家屋の新築または取得に際し、その家屋と一体として取得したその家屋の電気設備、給排水設備、衛生設備及びガス設備等の附属設備の取得対価の額は、住宅ローン特別控除の計算におけるマイホームの取得等の対価の額に含まれます。
③門や塀等の取得対価の額
門や塀等の構築物や、家具セット等の器具、備品または車庫等の建物の取得対価の額については、原則、住宅ローン特別控除の計算におけるマイホームの取得等の対価の額には含まれません。ただし、家屋とあわせて同一の者から取得する資産について、実務上、区分計算が困難であり、また厳密に区分することが取引の実情に合わない場合も考えられます。
このため、家屋とあわせて同一の者から取得する門、塀や車庫などの資産の取得対価の額で、その額が僅少と認められるものは、住宅ローン特別控除の計算におけるマイホームの取得等の対価の額に含めることが認められています。なお、門や塀等における“僅少”の判定は、その対価の額が「(家屋の本体価額+門や塀等の対価の額)×10%」未満の場合、通常は僅少に該当すると考えられています。
(2)家屋の敷地の取得等の対価の額の範囲
①敷地の造成・改良等に要した費用の額
次の費用の額は、住宅ローン特別控除の計算におけるマイホームの取得等の対価の額に含まれます。
イ. 埋立て、土盛り、地ならし、切土、防壁工事その他の土地の造成または改良のために要した費用の額
ロ. 土地等と一括して取得した建物等を取り壊した場合の建物等の取壊し費用の額(ただし、土地等の取得後おおむね1 年以内に、その建物の取壊しに着手するなど、当初からその建物等を取得後に取り壊して家屋を新築することが明らかな場合に限る)。
②植木や芝生、花壇庭園等の取得対価の額
植木や芝生、花壇庭園等の取得対価の額は、原則、住宅ローン特別控除の計算におけるマイホームの取得等の対価の額には含まれません。ただし、家屋や敷地とあわせて同一の者から取得する資産については、実務上の区分計算が困難であり、また厳密に区分することが取引の実状にあわない場合も考えられます。このため、家屋とその敷地とあわせて同一の者から取得する植木や芝生、花壇庭園等で、その取得の対価の額が僅少と認められるものについては、その取得対価の額を住宅ローン特別控除の計算におけるマイホームの取得等の対価額に含めることが認められています。
(3)仲介手数料・登録免許税等の取扱い
マイホームの取得等に伴って支出した仲介手数料や登録免許税・不動産取得税等の額については、マイホームの取得等のために直接要した費用とはいえないので、住宅ローン特別控除の計算におけるマイホームの取得等の対価の額には含まれません。
(4)住宅エコポイント等の補助金を受けた場合
平成23 年6 月30 日以後にマイホームの取得等に係る契約を締結し、そのマイホームの取得等に関し補助金等の交付(住宅エコポイント等による経済的利益の付与も含む)を受ける場合は、その補助金等の額は、そのマイホームの取得等の対価の額から控除します。