法律・税務・賃貸Q&A

一般媒介契約について

渡辺晋
山下・渡辺法律事務所 弁護士

質問

以前居住していた一戸建てを売却しようと思っています。不動産業者のA社とB社の2社に媒介を依頼する予定なのですが、A社への依頼にあたっては、B社にも媒介を依頼することを、A社に伝えておかなければならないのでしょうか。

月刊不動産2015年08月号掲載
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回答


 A社に対して、B社に依頼することを伝える(明示する)かどうかは、A社との媒介契約において取り決める事項です。明示する方法(明示型)も明示しない方法(非明示型)も、どちらも可能です。ただし、国土交通省の定める一般媒介契約書を利用して媒介契約を締結する場合には、明示が原則となっていますから、非明示の方法を採用するならば、特約によって非明示とする旨の条項を、定める必要があります。

<媒介契約の種類について>

 依頼者が不動産業者に売買の媒介を依頼するには、①一般媒介契約、②専任媒介契約、③専属専任媒介契約という3種類の方式があります。いずれの方式によって媒介を依頼する場合でも、ほかの宅建業者に重ねて媒介を依頼することを認めるかどうかについては、媒介契約に関する書面(媒介書面)に記載しておく必要があります。また、ほかの宅建業者への依頼を認める方式を採用する場合(一般媒介契約による場合)には、ほかに依頼する宅建業者を明示するかどうかも、媒介書面に記載しなければなりません(宅建業法第34条の2第1項3号)。


①一般媒介契約について

 一般媒介契約は、依頼者がほかの宅建業者に重ねて依頼をしてもよい契約です。この方式を採用するときには、親戚や知人などと直接交渉し、宅建業者を通さずに取引を進めることも可能です。

 一般媒介契約には、明示型と非明示型があります。明示型では、依頼者には、宅建業者に対して、ほかにどの宅建業者に仲介を依頼しているのかを通知する義務があります。他方、非明示型であれば、ほかの宅建業者に重ねて仲介を依頼しているのか否か、あるいは、依頼しているならどの会社に依頼しているのかについて、通知をする必要はありません。

 なお、一般媒介契約では、有効期間についての法律上の制約はありません(国土交通省の定める標準媒介契約約款では、専任媒介契約と同じく3月以内で定めるものとしている)。

②③専任媒介契約と専属専任媒介契約について

 専任媒介契約は、依頼者がほかの宅建業者に重ねて依頼することが禁じられる契約(宅建業法34条の2第3項、同法34条の3)です。専任媒介契約には、(専属ではない)専任媒介契約と専属専任媒介契約があります。専属専任媒介契約は、ほかの宅建物業者への同時依頼禁止に加え、依頼者において、親戚や知人など、宅建業者が探索した相手方以外の者との契約をすることができないこととする特約を設ける契約です(同法第34条の2第1項7号、規則15条の7第2号、同法34条の3)。

 専任媒介契約(専属専任媒介契約を含む)では、有効期間は、3か月を超えることができません。これより長い期間を定めたときは、その期間は、3か月とされます(同法34条の2第3項)。また、業務処理の状況の報告義務についても、法令に定めがあり、専任媒介契約(専属以外)の場合には2週間に1回以上、専属専任媒介契約の場合には、1週間に1回以上とされています(同法34条の2第8項)。これらの定めと異なる特約を設けても、無効です(同法34条の2第9項)。

<指定流通機構への登録義務について>

 指定流通機構とは、宅建業法に基づき国土交通大臣が指定した不動産流通機構です。レインズ(Real Estate Information Network System=REINS)と呼ばれます。全国に4つの法人があり(東日本、中部圏、近畿圏、西日本)、それぞれの法人が、不動産物件情報交換のためのネットワークシステムを有し、各地域の不動産情報の交換業務等を行っています(指定流通機構による情報交換を通して、毎年10万件以上の売買が成立している)。

 宅建業者には、専任媒介契約(専属専任を含む)を締結したときは、契約の相手方を探索するため、所在、規模、形質、売買すべき価額等の物件に関する事項を、国土交通省令で定めるところにより、指定流通機構に登録する義務が課されます(同法第34条の2第5項)。 指定流通機構への登録は、専任媒介契約(専属以外)の場合には、契約から7日以内、専属専任媒介契約の場合には、契約から5日以内に行わなければなりません。

 宅建業者が一般媒介契約によって相手方の探索の依頼を受けた場合には、指定流通機構に登録する義務はありませんが、任意に指定流通機構に登録することによって、相手方を探索することも、可能です。

<依頼者と媒介契約を締結するにあたって>

 依頼者からみると、一般媒介契約を締結し、複数の宅建業者に依頼をすれば、宅建業者間の競争による業務の促進を図ることができ、また探索の範囲が広がるというメリットがあります。他方で、専任媒介契約(専属専任を含む)であれば、宅建業者にとってより安定的な依頼となるので、業務への取組みの密度が高くなる可能性もあります。宅建業者は、相手方探索の依頼を受けようとする際には、これらのメリットとデメリットを依頼者に理解してもらったうえで、媒介契約を締結しなければなりません。

媒介契約の種類と特徴

<Point>
  •  宅建業者に、売買の媒介を依頼するには、一般媒介契約、(専属ではない)専任媒介契約、専属専任媒介契約という3種類の方式があり、一般媒介契約には、明示型と非明示型がある。
  •  指定流通機構(レインズ)は、宅建業法に基づき国土交通大臣が指定した不動産流通機構であり、これを利用することによって、毎年10万件以上の売買が成立している。
  •  専任媒介契約(専属専任を含む)では指定流通機構への登録義務があるが、一般媒介契約では指定流通機構の利用は任意である。
  •  宅建業者は、依頼者にそれぞれの媒介方式のメリットを理解してもらったうえで、媒介契約を締結しなければならない。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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