法律・税務・賃貸Q&A

マンションでの民泊サービスの可否の説明

渡辺 晋
山下・渡辺法律事務所 弁護士

質問

 マンションの売却の仲介を依頼されたので、管理規約を調査したところ、最近、マンション内での民泊サービスを禁止する定めが新設されていたことが判明しました。民泊サービスを禁止する管理規約の条項を、重要事項として買主に説明すべきでしょうか。

月刊不動産2018年01月号掲載
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回答

1. 重要事項説明が必要

 民泊サービスを禁止する管理規約の条項は、重要事項に該当します。マンション売買の仲介を行うにあたっては、買主に対して、これを説明をしなければなりません。

2. マンション売買での重要事項説明

 さて、マンション売買では、宅建業法上「共用部分に関する規約の定めその他の一棟の建物又はその敷地に関する権利及びこれらの管理又は使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令・内閣府令で定めるもの」が重要事項になる(同法35条1項6号)と規定されたうえで、施行規則で「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容」を説明すべき事項とする旨が定められています(同法施行規則16条の2第3号)。

 この「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め」には、「例えば、居住用に限り事業用としての利用の禁止、フローリングへの貼替工事、ペット飼育、ピアノ使用等の禁止又は制限に関する規約上の定め」が該当します(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)。

3.住宅宿泊事業法の制定

 近年、世界各国で、民泊サービスが広まってきました。民泊サービスとは、住宅を活用し、宿泊サービスを提供するものです。わが国でも、急増する訪日外国人観光客のニーズや、大都市部での宿泊需給が逼迫しているという状況から普及が始まっており、社会的な需要があるとも考えられています。

 しかし、住宅に不特定の旅行者を宿泊させることは弊害を伴うものであり、無秩序な民泊サービスは公衆衛生を害し、地域住民とのトラブルを招きます。また、宿泊事業を行うためのルールとしては旅館業法があり、人を宿泊させる事業は旅館業に該当するものとして、規制(事業の許可制)を受けますが、多くの民泊サービスが許可を受けずに実施されているようです。

 このような状況のもとで、まず、平成25年12月に国家戦略特別区域法が可決成立し、区域を限って旅館業法の特例による民泊サービスが認められました(特区民泊)。

 さらに、平成29年6月には、旅館業法の特例としての宿泊事業を可能にする住宅宿泊事業法が可決成立し、公布されました(施行は平成30年6月15日)。この法律によって区域を限らずに住宅での宿泊事業が認められ、マンションでも民泊サービスが可能になりました。

4.マンション管理規約による民泊サービス可否の定め

 ところで、マンションの専有部分は所有権の対象であり、区分所有者にはこれを自由に使用する権利があります(区分所有法2条1項・1条)。他方で、区分所有法は「管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」を「規約で定めることができる」と定め(同法30条1項)、規約で専有部分の用途や用法を制限することを認めています。マンションは人々が生活を営む場であって、通常は平穏で静かな環境の中で暮らすことが望まれるために、多くのマンションでは、専有部分を住居専用で使用することが規約によって定められています。

 ところが、住宅宿泊事業法は住宅での宿泊事業を認めるものです。したがって、住居専用とされるマンションで住宅宿泊事業を行ったとしても、管理規約違反になるとは限りません。住居とは異なる目的に使うわけではなく、あくまでも住宅を利用する事業を行っているだけだからです。そこで、マンション内での住宅宿泊事業を禁止するには、管理規約で専有部分を住居専用に限定するだけではなく、住宅宿泊事業を禁止する旨を定めることが必要になります。平成29年8月には、マンション標準管理規約が改正され、専有部分における住宅宿泊事業について、これを許容するか禁止するかについて、それぞれのモデル条項が示されました。

 マンションでの住宅宿泊事業の禁止規定は「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め」ですから、マンション売買の仲介を行う際には、仲介業者は宅建業法上の義務として、これを説明する必要があります。

5.まとめ

 民泊サービスは、社会的に高い注目を集めており、これからは、民泊サービスの可否が買主の意思決定に影響を及ぼすことが予想されます。マンション売買の仲介を担当する場合には、そのマンションで民泊がどのように扱われているかを調査、確認し、管理規約に住宅宿泊事業の禁止の定めがあれば、これを買主に説明することが仲介業者の重要な業務になります。仲介業者は、民泊のルールを十分に理解したうえで、調査を行い、適切に対応しなければなりません。

Point
  • 民泊サービスとは、住宅を活用し、宿泊サービスを提供するものである。世界各国で広まっており、わが国でも普及が始まっている。
  • 平成29年6月に住宅宿泊事業法が可決成立し、公布された(施行は平成30年6月15日)。この法律によって、住宅における民泊サービスができるようになった。
  • マンションでは、民泊サービスが許容される場合と民泊サービスが禁止される場合がある。民泊サービスの禁止は管理規約によって定められる。
  • 民泊サービスについての管理規約による制限は、宅建業者がマンション売買に際して説明するべき重要事項となる。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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