法律・税務・賃貸Q&A

スキルコントロールで提案力アップ

今井 基次
株式会社ideaman 代表取締役

質問

これから管理戸数を増やしていきたいと考えているのですが、正直なところ自社の強みとなる部分が弱く、広告をしようとしても表現が難しく困っています。管理を増やすにあたって、どんなところを強化すればよいのかを教えてください。

月刊不動産2020年05月号掲載
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回答

回答

 管理戸数を増やしていくたびに従業員も増えていくのですが、それと同時にオーナーに対する組織全体の改善提案意識が欠如しやすくなります。従業員のスキルコントロール(能力統制)をして提案力が高い管理会社を目指しましょう。

1. 成約数減少のなか必要となる経営戦略

 繁忙期も終わってホッと一段落と言いたいところだが、全国的に賃貸仲介の取扱件数が減っているという声をよく聞く。首都圏の居住用賃貸物件成約数を見ると、前年対比での成約数が11.7%も減少していることがわかる(図表1)。仲介件数が減り始めると、決まって賃貸管理事業への方向転換の話となる。管理事業はストックビジネスのため、仲介とは違い、売上の見込みは立てやすい。ただ、「管理を増やす」と決めても、不動産への融資が厳しい現状では同時に売買仲介件数が減る。すると「管理替え」の機会も減るため、管理物件を増やしにくくなるのである。そのような背景のなかで、どのような経営戦略を立てるのかが課題となるのだが、明確な自社の優位性を作らなければ、近隣ライバル会社と競合しても負けてしまうことになる。

2. オーナーが要望する資産運用提案に向けた知識を備える

 そこで重要なのが従業員のスキルコントロール(能力統制)だ。不動産業者の従業員で宅地建物取引士資格さえも持っていない人がたくさんいるが、これでは後発参入しても勝ち目はない。賃貸管理や仲介を作業的にこなすだけなら、不動産に関連する知識がなくとも業務が成立してしまうため、一見宅建資格がなくてもよいという錯覚に陥る。
 ただ、資産家であるオーナーは不動産の素人がたくさんいる会社に大切な資産を預けるだろうか。管理戸数を増やすほど人手も足りなくなるため、宅建保有者以外の人を入れることになるが、増えれば増えるほど従業員のスキルをコントロールしにくくなる。不動産管理会社は資産運用提案までやりたいのだが、オーナー側からすると管理会社にはそのスキルがないと思っている。結局、オーナーが発信している合図に気づき、求められている情報を提案できる知識がないため、管理物件が離れ、同時に売買仲介の機会も得られないという事態となり、管理会社は機会損失を起こしてしまうのである(図表2)。このような事態に陥らないためにもスキルの強化をしなければならない。外部の税理士や弁護士とも連携を図ることはできるが、スピードを考えると自社内である程度の意味を理解できるような人材を育てていきたい。

3. 従業員が取得すべき資格

 取得するべき資格としては、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士は必須としたい。もちろん100%の人が保有しているというのは、人の入れ替わりがあるため厳しいと思うが、70%程度が保有者という不動産会社は存在する。
 それから次のステップではファイナンシャルプランナー(FP)を取得してほしい。不動産、税金、相続、保険、金融商品など、資産全体のことを網羅でき、不動産の位置付けを理解するのには非常に効果が高い。2級F P技能士でもよいが、できれば1級FP技能士やCFPⓇまで保有できれば、格段に知識レベルが上がる。
 さらに米国不動産経営管理士( C P M Ⓡ)にもチャレンジしてほしい。不動産管理全体のことがわかることはもちろん、金融商品としての不動産管理(アセットマネジメント)を理解することができるため、収益不動産売買の知識を格段に上げることができる。
 各団体から発行されているような相続に関する資格などもよいとは思うが、FPでもある程度は網羅されている。相続、売買、管理などの流れをつかむことができれば、より安定した収益源となるはずだ。
 資格保有者が増えれば、「宅地建物取引士:10人、ファイナンシャルプランナー:5人」などと、ホームページや広告にも記載することができ、さらに提案力強化で差別化を売り出すことができれば大きな優位性となる。従業員のスキルを高め、それを統制できることが勝ち組管理会社への一歩である。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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