賃貸管理ビジネス

月刊不動産2021年05月号掲載

「攻撃型業務」でパフォーマンスアップを目指せ

今井 基次(株式会社ideaman 代表取締役)


Q

新型コロナによる自粛期間が長引き在宅ワークを取り入れていますが、従業員がどんな業務をやっているのかが明確に見えません。今後、管理戸数を拡大していく予定ですが、このままでは達成できるように思えません。どのように対処したらよいのか教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 回答

     まずは、業務分析をして、自社の人的リソースがどのような時間に割かれているのかを知ることから始めましょう。「攻撃型業務:提案/営業」「守備型業務:作業/移動」「頭脳型業務:分析/戦略」「補欠型業務:その他」とありますが、管理物件を拡大するには攻撃的なポジションにシフトする必要があります。

  • 1. 優先順位を考える

     在宅ワークが増えたことで、「何気なく仕事をしている人」と「しっかり仕事をしている人」との生産性が、明確にあぶり出されているのではないでしょうか。夏休みの宿題を期限ギリギリまでやらないように、人は与えられた時間を目一杯使いがちです。本来30分でできる仕事も、優先順位の付け方を間違えれば、いつまで経っても終わりません。緊急性が高いクレームやオーナー対応に追われてしまえば、本来やるべき優先順位の高い業務がついつい後回しになり、手つかずになってしまうのです。「空室対策提案」などは、「優先的コア業務」であるにもかかわらず、現場ではクレーム対応が入ったらそちらを優先せざるを得なくなります。この原因は組織の分業化が進んでいないか、内製化にこだわりすぎて、社員が重要度の低い仕事を抱え込んでいることが考えられます。その結果、オーナー満足度が上がらなくなります。

  • 2. 土台を整備する

     管理戸数を増やしたいというご相談は非常に多いのですが、「社内体制」と「人員配置」に問題があり先に進まないことがあります。いくら拡大のための技術的な話をしようとも、そもそも土台が整備されていなければ従業員は動けないのです。全体を通じて管理拡大期には「攻撃型」組織体制にしなければならないのですが、ほとんどの従業員の思考は「守備型」であり、「攻めたい経営者」と「守りたい従業員」との間でコンフリクトが発生してしまうのです。その結果、思うように管理も増えずに、ずっと踊り場から脱出できなくなるのです。
     このような問題を解決するためには、まずは従業員に対して、客観的に自らの仕事を知り「自己分析」してもらうことが重要となります。自己認識をした上で、攻撃的な業務に取り掛かれるよう、体制を敷く必要があります。普段仕事をしていても、毎日自分がどんなことに時間を使っているのかは振り返らないものです。一生懸命働いているつもりでも、ついつい目の前に入ってくる「L I N E 」や「Yahoo!ニュース」に気を取られて、あっという間に30分も経過している
    ものなのです。

  • 3. 業務分析をする

     まずは今日、各々が何に労働時間を割いているのかを、分析してみましょう。各自の分析結果を統合すると、全体のリソースがどのように使われているかがわかるようになります。業務は大きく4つに分かれます。提案や営業に分類される「攻撃型業務」、日常的な作業や事務のような「守備型業務」、分析や戦略のような「頭脳型業務」、そしていずれにも分類されないクレーム対応のような生産性が低下しがちな「補欠型業務」です。1カ月で1人当たり180~200時間働くとして、一体どこにどれくらい時間が割かれているでしょう。ほとんどのケースで、半数以上が「守備型」に時間を投じているため、有効に時間が活用されないのです。本来、マネージャークラスであれば「攻撃:30%」「守備:10%」「頭脳:60%」と、より全体の戦略構築をしながら指揮をとる役割が重要となります。しかし、マネージャーが率先して「守備」をしているケースが散見されます。確かに、管理業務は全体的に「守備」的な要素の仕事が強いため、ウェイトはそちらに置かれがちですが、それでは管理拡大はできません。自社の従業員にしかできない業務をよく考えるべきなのです。理想としては、全体のリソースを集約した時に「攻撃:30%」「守備:20%」「頭脳:30%」「補欠:1 0 % 」とし、残りはどんどんアウトソーシングやクラウドソーシングを活用しながら、さらに「攻撃」にリソースを置けるような体制にするとよいでしょう。
     管理業務は業務を近視眼的にこなすほど生産性が低くなります。オーナーの物件の収益性を高めることが管理会社のつとめですから、そこに特化するには「守備型」から「攻撃・頭脳型」への、思い切った体制の変化が重要なのです。

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