税務相談
月刊不動産2014年9月号掲載
「個人が買取再販で扱われる住宅を取得した場合の登録免許税の特例」
情報企画室長 税理士 山崎 信義(税理士法人 タクトコンサルティング)
Q
個人が買取再販で扱われる住宅を取得した場合の登録免許税の特例について教えてください。
A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。
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1.住宅の所有権移転登記に係る登録免許税の概要
売買により家屋の所有権が移転した場合には、その移転登記をした者に対し、原則2%の税率により登録免許税が課税されます。ただし、個人が平成27年3月31日までの間に売買により所定の住宅用家屋を取得し、自己の居住の用に供した場合、その移転登記に係る登録免許税の税率は、0.3%とされます(租税特別措置法73条)。
2.買取再販で扱われる自己の居住用住宅を取得した場合の登録免許税の特例
(1)概要
平成26年度税制改正により、個人が平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に、次の(2)の要件を満たす中古住宅を取得した場合、その住宅の所有権移転登記に係る登録免許税の税率を、前述1にかかわらず、0.1%に軽減する特例(以下「本特例」といいます)が設けられました(租税特別措置法74条の3)。
(2)適用要件
本特例の適用を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
①その個人の居住の用に供される床面積50㎡以上の家屋であること
②耐震性に関して、以下のいずれかに該当する家屋であること
イ.築後25年(耐火建築物以外は20年)以内の家屋
ロ.次のいずれかの書類により、一定の耐震基準を満たしていることが証明されたものであること
・建築士、指定確認検査機関登録住宅性能評価機関または住宅瑕疵担保責任保険法人が証する書類
・住宅性能評価書の写し(ただし、耐震等級が1、2または3であるものに限ります)
・既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入していることを証する書類
③宅地建物取引業法2条3号に規定する宅地建物取引業者(以下「宅地建物取引業者」といいます)から当該家屋を取得したこと
④宅地建物取引業者が住宅を取得後、増改築工事後に再販売するまでの期間が2年以内であること
⑤取得の時において、新築された日から起算して10年を経過した家屋であること
⑥建物価格に占める増改築工事の総額の割合が20%(増改築工事の総額が300万円を超える場合には300万円)以上であること
⑦その家屋について、次のいずれかに該当する増改築工事が行われたこと
イ.次の(3)の①~⑥のいずれかに該当する増改築工事を行い、工事の合計額が100万円を超えること
ロ.50万円を超える、次の(3)の④、⑤または⑥のいずれかに該当する工事を行うこと
ハ.50万円を超える、次の(3)の⑦に該当する工事を行い、給水管、排水管または雨水の浸入を防止する部分の瑕疵を担保する既存住宅売買瑕疵
担保責任保険に加入すること(3)対象となる増改築工事の範囲
(2)の⑥に掲げる、本特例の対象となる増改築工事の範囲は次のとおりです。
①増築、改築、建築基準法上の大規模な修繕または模様替え②区分所有部分の床または階段・間仕切り壁・主要構造部である壁のいずれかのものの過半について行う修繕または模様替え
③居室・調理室・浴室・便所その他一定の室の床または壁の全部についての修繕・模様替え
④一定の耐震基準に適合させるための修繕または模様替え
⑤一定のバリアフリー改修工事
⑥省エネ改修工事のうち、改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となる工事のうち一定のもの
⑦給水管、排水管または雨水の浸入を防止する部分に係る工事
(4)手続
本特例の適用を受けようとする個人は、その取得した住宅家屋の所有権移転登記の申請書に、前述(2)の要件に該当する家屋であることについての市町村長等の証明書(「住宅用家屋証明書」といいます)を添付の上、その住宅用家屋の新築または取得後1年以内に登記を受けなければなりません。住宅用家屋証明書の発行を受けるためには、住宅用家屋証明申請書に、当該家屋の登記事項証明書、住民票の写しその他一定の書類を添付して市町村長等に提出する必要があります。