税務相談

月刊不動産2003年11月号掲載

遺産分割による相続土地の評価減

代表社員 税理士 玉越 賢治(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

遺産分割の方法によって土地評価を下げられるでしょうか?(相続後対策編)

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  •  例えば相続人である甲と乙は父親の相続に伴い図1のような宅地を相続したとしましょう。この場合どのように分割すればよいでしょうか。分割の仕方によって、相続税額を少なく
    することは可能なのでしょうか。

    (図)
     

     土地の評価は分割後の土地を評価単位として評価しますので、分割の仕方次第では相続税額を少なくすることも可能です。
     相続税の宅地の価額は利用の単位となっている土地ごとに評価することとされています。また、相続、遺贈、贈与によって取得した土地は原則として、取得者別に評価することになっています。ですから上記土地を、分割して甲と乙とで相続する場合は分割後の土地を評価単位として評価します。
     しかし、上記土地を分割せず、共有で相続したら上記土地全体を評価単位として評価することになります。

    [共有にした場合の評価額]

     甲、乙で50%ずつ共有にした場合

     土地の評価額=路線価300千円×奥行価格補正率0.98×900㎡=264,600千円

     (甲の評価額=264,600千円÷2=132,300千円)

     (乙の評価額=132,300千円)

    (図)
     

     よって上記のように分割をすれば土地の評価額の合計は34,558千円(13%)下がることになります。
    しかし、分割にあたって注意しなければいけないことがあります。土地の評価額を下げるために一方の土地が無道路地になってしまう分割や、分割後の土地では有効活用が図れないような著しく不合理な分割をした場合、宅地の評価にあたっては取得者単位で評価するのではなく、分割前の土地を1単位として評価することになってしまいます。

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