法律・税務・賃貸Q&A

費用対効果から考える、賃貸管理料の根拠

今井 基次
株式会社ideaman 代表取締役

質問

 大家さんから「管理料が高い」と言われ、値下げを要求されています。当社の管理戸数はわずか800戸ほどなので、大手にはかないませんが、限られている人員体制で、できる限りのことをやっているつもりです。管理料はどれくらいが適正なのか、またどのように大家さんに管理料の根拠を説明したらよいのか、教えてください。

月刊不動産2020年09月号掲載
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回答

回答

 業務に対する管理料がいくらかかっているのかを分析してみましょう。1つひとつが決して安い仕事を請け負っているわけではないことがよくわかります。これをもとに大家さんに説明をして理解してもらいましょう。

1. 管理料について考える

 管理会社は毎月入居者から家賃を集金し、それをもとに明細書を作成してオーナーに送る。オーナー側からしてみれば、満室の状態なら管理料を支払っていても違和感を抱かないが、長期にわたり空室期間が続いてしまうと、どうしても支出に目がいく。「入居も決めてくれないのに、『管理料』として家賃の5%も引かれることに納得できない。実際には、入室している部屋のみに対して『管理料』として課金されていることが一般的だが、空きが増えてくるとなぜか目についてしまう」。これがオーナーの本音だ。全国的にオーナーから管理会社へ支払う管理料は「入居家賃の5%」というのが相場である。地方都市や家賃が低いエリアなどにおいては、「1戸あたり〇〇円」という定額制の場合もある。この管理料というのも、「どこまで」「何を」「いくら」で設定しているのかが明確になっている会社はよいのだが、何を行っているのかがはっきりしない会社も無数に存在する。管理料が安いからといって任せてみたものの、蓋を開けてみれば入居者対応や報告もいい加減。入居者から直接オーナーにクレームが来てしまうようでは、管理を任せている意味がない。そもそも管理とは、オーナーに代わり、管理会社が入居者に対して快適な住環境を提供・維持し、それにより「入居者の満足度を上げることで物件の収益性」を高め、「結果としてオーナーの経営を安定」させ「資産価値を上げる」のが大義である。しかし管理の仕方によっては、結果として入居者満足度を下げ、トータルでのオーナーの収入は減ってしまうこともある。

2. 管理戸数の量≠良い管理会社

 人は誰でも「ブランド」に捉われがちだ。賃貸管理でいう「ブランド」とは、「有名な会社」「フランチャイズ」「管理戸数が多い」、このあたりが想起される。ブランドがあるほうがオーナーからも安心感(信頼感)を得やすい。ただ、「管理戸数の多さ=サービスの質(オーナー満足度)が高い」ということにはならない。確かに管理戸数が多いということは、良いサービスを継続して行った結果として、顧客満足度が高いため経過とともに戸数が増えたのである。しかし、増えるたびに、身近だった管理会社の社長や担当者の存在がいつの間にかそっけなくなり、人が頻繁に入れ替わり、オーナーと管理会社の関係がぎくしゃくしてしまうこともある。反対に、新規の管理会社に任せた途端にうまくいったという話も耳にする。人が動く仕事である以上、「ブランドがすべて」ということでないのである。

3. 管理料の内訳と費用対効果

 管理料の費用対効果を考えたとき、安いほうと高いほうのどちらを選ぶべきなのか。実際に、管理料を賃料の3%・5%・7%と、3つのケースに分けて、オーナーがどこにいくらの費用を支払っているのかを分析してみた。通常5%を相場とした場合、3%の管理は「準管理」などと呼ばれ、募集と一部の管理を行う程度にとどまる(3%が相場のエリアもあるが)。3%の管理料が12,750円/月としたとき、その金額で管理会社はどこに人的資源をかけられるだろうか。募集と一部の管理の部分的な業務で物件や家主の全体像も見えにくいため、管理体制も中途半端となり、動きたくても動くことができないというのが管理会社の本音である。一方、7%の管理料(33,250円/月)を払った場合、人的資源をかけることができるため募集対策を家主と十分に行うことができ、自ずと入居率が高まることになる。入居率が高まれば、最も手のかかる募集業務から手が離れるため、入居者対応や、オーナーとのコミュニケーション(コンサルティング)に時間を注ぐことができる体制が取りやすくなる(図表)。
 オーナーからもらう管理料は、積み重なればそれなりの額になり、それがストックビジネスの源泉になる。管理契約書をもとに、業務内容と管理料についてオーナーに内容を説明し、費用対効果を認識してもらうことがよいのではないだろうか。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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