売買仲介営業
月刊不動産2020年1月号掲載
相続案件の取扱いを増やす方法
小寺 伸幸(株式会社船井総合研究所 不動産支援部 グループマネージャー シニア経営コンサルタント)
Q
ここ数年、相続案件が少しずつ増えて買取りや媒介契約させてもらう機会が増えてきました。今後さらに相続案件を増やすためにはどうすればいいでしょうか?
A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。
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回答
法務局に登記変更情報の開示請求をして、空き家の住所と空き家所有者の住所が一致していない場合、空き家所有者に対して相続DMを送ることで相続案件を定期的に獲得できます。
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1. 相続DMを発送するまでの7ステップ
登記変更情報は毎月新規で取得できますので、定期的にSTEP1~7(図表1)を実行することで、案件化する可能性が高い相続案件に定期的にDMを送ることができます。STEP1~7はルーティン作業になり、以下のポイントとなる点があります。
まず、他社よりも早く郵送すること、そして相続人である物件所有者の目に留まる相続DMを送ることが必要です。相続DMを送る不動産所有者の住所と、相続物件の場所が一定以上の物理的な距離がある場合、相続物件の活用を検討していない所有者が多く、売却に踏み切る可能性が高い状況にあるといえます。相続名簿を精査するうえで、以上をポイントとして押さえておきましょう。このポイントを踏まえて行動をしないと、DM発送数からの案件化数を最大化できません。都心部を除き、相続DMの反響率は、4%を目安としましょう。
また、ルーティン作業になるため、社員(従業者)が行う作業としては人件費が割高になってしまい、ずっと同じ作業をさせ続けると社内が疲弊してしまう可能性が高くなります。
そこで継続的に相続案件の獲得を考えている場合、以上の内容を押さえ、STEP1~7を一貫して代行する外注先を活用することをおススメします。
加えて相続DMの郵送から買取り・媒介契約までのマーケティングフローで意識したい歩留まりは図表2のようになります。首都圏および大都市圏以外のエリアにおいては、およそ上記の数字を意識してみてください。 -
2. 相続案件を増やすために「買い取らない条件の明確化」と「リフォーム体制の整備」に取り組む
相続案件の獲得を進めるにあたり、準備しておきたいことは2つあります。1つ目は、買い取らない条件を決めること。多くの会社では不動産を買い取る際に社内稟議を通す場合が多いと思います。稟議書を作成するとなると、不動産の販売計画書や収支計画書などの作成に時間を要します。そのため、事前に買い取らない条件を明確に決めておけば無駄な時間がなくなり、さらには買取物件が薄利になることも少なくなると思います。
2つ目は、リフォーム体制を整えることです。買い取る際にリフォーム費用の見積りを、早期に正確に行えるようにすることです。買取り後すぐにリフォームに着工して販売できる状態にしなければ、不動産の回転率が上がりません。仕入れ決済から販売して入金に至るまでの期間が延びてしまうと、会社のキャッシュフローが悪化する可能性もあるため、リフォーム体制を整えておくことが必要となります。
上記の2点は相続案件を増やす際に取り組んでおきたい内容です。
相続案件は今後ますます増えていくことは必至だと思いますので、不動産仕入れの1つの案件獲得媒体としてしっかり強化しておきたいところです。普段、不動産会社から紹介してもらえる案件を買取りして薄利になってきたと感じている会社の方、また今後不動産の買取りを増やしていきたいと考えている会社の方はぜひ、上述した内容で相続案件の攻略を図ってみてはいかがでしょうか。