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平成19年度税制改正・「住宅ローン控除の特例」の創設

情報企画室長 税理士 山崎 信義
税理士法人 タクトコンサルティング

質問

平成19年度の税制改正で、住宅ローン控除について特例が設けられるという話を聞きましたが、どのようなものでしょうか。

月刊不動産2007年04月号掲載
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回答


1.「住宅ローン控除の特例」の創設

 「平成19年度税制改正大綱」では、個人が住宅の取得等をして平成19年又は平成20年に居住の用に供した場合において対象となる「住宅ローン控除の特例」が盛り込まれました。

(1)創設された理由

 平成18年度の税制改正により、平成19年より所得税から個人住民税への税源移譲が行われます。この場合において、税源移譲に伴う所得税率の引下げにより、住宅ローン控除による減税額が小さくならないように、従来の住宅ローン控除に比べて控除期間を長くして控除率を小さくする「住宅ローン控除の特例」が設けられることになりました。

(2)制度の概要

(a) 控除期間

 控除期間は最長15年です。なお、住宅ローン控除の控除期間は最長10年です。

(b) 対象となる住宅ローン等の年末残高

 平成19年に居住した場合は、住宅ローン等の年末残高のうち2,500万円以下の部分が対象となります。平成20年の居住した場合は、住宅ローン等の年末残高のうち2,000万円以下の部分が対象となります。

(c) 住宅ローン等に乗じる控除率

 居住1年目から10年目までは、控除率は0.6%となります。居住11年目から15年目までは、控除率は0.4%となります。なお、住宅ローン控除における控除率は、居住1年目から6年目までは1%、居住7年目から10年目までは0.5%です。

(d) 控除額の最高額

 平成19年に居住した場合、居住1年目から10年目までは年15万円、居住11年目から15年目までは年10万円が最高額となります。住宅ローン控除における控除額は、居住1年目から6年目までは年25万円、居住7年目から10年目までは年12.5万円が最高額となります。

2.住宅ローン控除と「住宅ローン控除の特例」との選択

(1)選択適用

 「住宅ローン控除の特例」は、住宅ローン控除との選択適用となります。平成19年又は平成20年に住宅への居住を開始する人は、どちらの制度を選択するほうが税務上有利になるのか検討する必要があります。

(2)選択のポイント

 住宅ローン控除と「住宅ローン控除の特例」を選択する際には、居住年における所得や住宅ローン残高だけではなく、10年先、15年先の所得状況や住宅ローン残高を考慮する必要があります。

 選択時のポイントを挙げますと、次のようになります。

(a) 「住宅ローン控除の特例」の選択が有利な場合 

 まず、所得税額が住宅ローン控除の年最高額未満である場合は、「住宅ローン控除の特例」を選択したほうが有利になります。「住宅ローン控除の特例」は、ローン残高が控除の対象となる上限残高を超えていれば、控除の総額は住宅ローン控除と同じになります。しかし、「住宅ローン控除の特例」と住宅ローン控除は控除率が異なりますから、毎年控除できる金額に違いが生じます。そのため、住宅ローン控除では限度枠までフルに控除できない人にとっては、住宅ローン控除よりも「住宅ローン控除の特例」を選択するのが有利になります。例えば、所得税が15万円の人が住宅ローン控除を選択しますと、限度枠が25万円ある年であっても15万円しか控除を受けることができません。これに対して「住宅ローン控除の特例」を選択すれば、年15万円の限度枠をフル活用できます。

 また、控除期間の途中で家族全員が引っ越しする場合や、住宅の譲渡損失の損益通算・繰越控除を利用する場合には、住宅ローン控除の適用が中断します。このような事態が見込まれる場合には、控除期間が長い「住宅ローン控除の特例」の活用を検討すべきです。控除できなくなる金額と、住宅ローン控除と「住宅ローン控除の特例」の控除の差額のどちらが多くなるか検討して、有利な制度を選択することが可能です。

(b) 住宅ローン控除の選択が有利な場合

 住宅ローンの返済期間が短い(10年以下)場合や、所得税額が控除期間全般にわたって控除の年最高額以上であると見込まれるような場合は、住宅ローン控除のほうが「住宅ローン控除の特例」よりも有利になります。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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