税務相談

月刊不動産2006年6月号掲載

土地の使用貸借(2)

代表社員 税理士 玉越 賢治(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

(前回に引続き)土地等の使用貸借に関する税務上の取扱いを教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • (4)使用貸借に係る土地の上の建物等を相続又は贈与により取得した場合
     使用貸借に係る土地の上に建てられた建物等、又は使用貸借に係る借地権の対象となっている土地の上に建てられた建物等を、相続又は贈与により取得した場合における相続税又は贈与税の課税価格に算入すべき建物等の価額は、その建物等が自用の場合は自用建物としての価額、貸家の場合は借家権控除後の価額となります。
     このことは、前回の(3)において使用貸借に係る土地等を相続又は贈与により取得した場合に、その土地等が自用のものであるとした場合の価額(すなわち借地権がないものとした更地価額)で評価するとしたこととの関係上当然のことです。

    (5)借地権の対象土地を借地権者以外のものが取得し、以後地代の授受が行われなくなった場合
     (a) 借地権の目的となっている土地(底地)を借地権者以外の者が取得し、以後、その土地(底地)の取得者とその土地の借地権者との間で土地の使用対価としての地代の授受が行われないこととなった場合(すなわち賃貸借関係であったものが終了し、以後使用貸借関係になった場合)、その土地(底地)の取得者は、借地権者から借地権の贈与を受けたものとして取り扱われます。

     (b)ただし、土地(底地)の取得者と借地権者が連署した「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を所轄税務署長に提出したときは、賃貸借関係は終了しておらず、単に地代を将来にわたり免除しているだけであると考え、引き続き借地権者に借地権が存在するものとして取り扱われます。

     (c) (a)の取扱いにより、土地(底地)の取得者が借地権者から借地権の贈与を受けたものとして贈与税が課された場合、その土地について借地権者は存在しないこととなりますので、その後その土地は自用地として取り扱うことになります。

     (d) 一方、(b)の「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出している場合は、借地権者の地位に変更がないものとして贈与税の課税が行われておらず、その土地について借地権者は従来通り存在するということになりますので、その土地の評価は引き続き貸宅地として取り扱うことになります。

     (e) (b)の「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出している場合において、借地権者の建物を取り壊して、土地(底地)取得者が建物を新築したときは、前回(2)の「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出することで、借地権者から建物を新築した者に対して借地権の贈与があったという取扱いにはなりません。

    (6)借地権付建物を土地(底地)所有者以外の者が取得し、以後地代の授受が行われなくなった場合
     (a) 建物を土地(底地)所有者以外の者が取得し、以後、その建物の取得者とその土地(底地)所有者との間で土地の使用対価としての地代の授受が行われないこととなった場合(すなわち賃貸借関係であったものが終了し、以後使用貸借関係になった場合)、土地(底地)所有者、はその建物の取得者から借地権の贈与を受けたものとして取り扱われます。

     (b) ただし、建物の取得者と土地(底地)所有者が連署した「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を所轄税務署長に提出したときは、(b)の記述と同じに取り扱われます。

     (c) (a)の取扱いにより、土地(底地)の所有者が建物取得者から借地権の贈与を受けたものとして贈与税が課された場合、(c)の記述と同じに取り扱うことになります。

     (d) 一方、(b)の「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出している場合は、(d)の記述と同様で、その土地の評価は引き続き貸宅地として取り扱うことになります。

    (7)物納払下げ
     借地権の対象となっている土地(底地)が物納されて国有地となった場合、その土地は借地権者以外の者には払下げされません。したがって、国有地を借地している者(借地権者)の親族等がその土地(底地)の払下げを受けようとする場合、あらかじめ借地権者から建物及び借地権の贈与を受けて借地名義人を変更してからでないと払下げされないことになります。

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