法律・税務・賃貸Q&A

使用貸借している土地の相続税評価とその利用法

代表社員 税理士 玉越 賢治
税理士法人 タクトコンサルティング

質問

土地の使用貸借前に建物を賃貸している場合と、使用貸借後に建物を賃貸した場合とで、土地の相続税評価額が異なると聞きましたが、その違いを教えてください。

月刊不動産2004年05月号掲載
・閲覧された回数/ 7546回  ・参考になった人数 / 6人

回答


 借地権慣行のある地域であっても、建物又は構築物の所有を目的として使用貸借による土地の賃貸借があった場合におけるその土地の相続税評価は更地として評価し、土地の使用権の評価は零として取り扱います。この場合において使用貸借とは、「借主は借用物の通常の必要経費を負担す」(民法595条1項)とされているので、土地の公租公課(固定資産税・都市計画税)相当額以下の地代が支払われている土地の貸借についても使用貸借として取り扱います。また、土地の借受けに際して地代の授受がなされなくても、権利金その他地代に変わるべき経済的利益の授受があるものは、使用貸借ではなく賃貸借として取り扱います。
 ここで、使用貸借に係るケースを取り上げて、その土地の相続税評価を見てみましょう。

1.甲(例えば父)の土地を乙(例えば息子)が使用貸借で借り受け、その土地に建物を建てて第三者(丙)に賃貸した場合

 その建物は使用貸借契約に基づく土地の使用権を基礎として建築されたもので、建物が賃貸された時点では、その建物の敷地は使用貸借により使用されていたということになります。この場合、建物賃借人丙の敷地利用権は、建物所有者(土地使用貸借権者)乙の敷地利用権から独立したものではなく、乙の敷地利用権に従属し、その範囲内において行使されているにすぎません。
 したがって、乙の敷地利用権の価額を零として取り扱う以上、丙の敷地利用権についても零として取り扱い、また、甲の土地の相続税評価額は自用地(更地)としての評価額になります。

2.甲が丙に賃貸している建物を、乙が甲から贈与又は譲渡により取得し、そのまま丙に賃貸し続けている場合

 建物が乙に異動される前に、建物所有者甲と建物賃借人丙との間で締結された建物賃貸借契約は、その建物所有者が土地所有者でもあることから、建物賃借人丙は土地所有者甲の機能に属する土地の使用権も有していることになります。しかも、この建物賃借人丙の有する敷地利用権は、その建物が第三者乙に譲渡された場合においても侵害されません。
 このことから、賃貸している建物の所有者に異動があり、新たな建物所有者乙の敷地利用権が使用貸借に基づく使用借権となり、その機能が従来の建物所有者甲の敷地利用権の機能と異なるものになったとしても、それ以前に有していた建物賃借人丙の敷地利用権の機能まで変動することはありません。この建物貸借人丙の有する敷地利用権は「借家人の有する宅地等に対する権利」として評価されているところです。
 したがって、この場合における甲が所有する敷地の相続税評価額は、建物の所有者が乙に異動する前と同様に、貸家建付地として評価することになります。

3.2.において、乙が甲から建物を取得後、丙が退去し、新たに丁がその建物の賃借人となった場合

 この場合における建物賃借人丁の敷地利用権は1.の丙と同様に、建物所有者(土地使用貸借権者)乙の敷地利用権から独立したものではなく、乙の敷地利用権に従属し、その範囲内において行使されることになります。
 したがって、乙の敷地利用権の価額を零として取り扱う以上、丁の敷地利用権についても零として取り扱い、また、甲の土地の相続税評価額は自用地(更地)としての評価額になります。
 このことから、賃貸収入が甲の相続財産として積み上がることを防ぐために建物所有者を乙に異動させ、その後においてもその土地の相続税評価額を従前の貸家建付地としておきたいという場合には、建物所有者を異動させる前後における建物賃借人が変動しないようにする必要があります。このため、建物を異動させる前に同族会社が甲から建物を賃借して元々の建物賃借人丙に賃借し(すなわち同族会社がサブリースをして)賃借人を固定した上で、建物を乙に異動させれば、この手法を利用することが可能となります。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

このQ&Aは参考になりましたか?

ホーム 協会について 一般のお客様はコチラ 開業・入会をご検討の方へ