法律・税務・賃貸Q&A

不動産広告のルール

弁護士 渡辺 晋
山下・渡辺法律事務所

質問

不動産広告を行う場合、どのようなルールに従わなければならないのでしょうか。

月刊不動産2009年10月号掲載
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回答


1. 不動産広告を行う場合には、宅建業法、及び、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)の2つのルールに従わなければなりません。

2. 宅建業法

 宅建業法における広告に関する主な定めは、誇大広告の禁止、広告開始時期の制限、取引態様の明示の3つです。

(1) 誇大広告の禁止

 宅建業者が広告をするときは、宅地・建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境・交通その他の利便、代金・借賃等の対価の額若しくはその支払方法、代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示をしてはなりません。又、実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示も禁止されます。これらの規制が、誇大広告の禁止です(宅建業法32条)。

(2) 広告開始時期の制限

 宅建業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、工事に関し必要とされる開発許可や建築確認があった後でなければ、工事に係る宅地・建物の売買その他の業務に関する広告をしてはなりません(同法33条)。未完成物件の売買は青田売りといわれますが、青田売りにおける広告は、広告開始時期の制限を受けるわけです。

(3) 取引態様の明示

 宅建業者の取引への関与については、自らが契約当事者となる場合と、他人が当事者になる契約についての代理・媒介を行う場合があります。そこで、宅建業法では、宅建業者が宅地・建物の売買・交換・貸借に関する広告を行うには、自己が契約の当事者となって売買・交換を成立させるか、代理人として売買・交換・貸借を成立させるか、又は媒介して売買、交換若しくは貸借を成立させるかの別(取引態様の別)を明示しなければならないものとされています(同法34条1項)。

3. 表示規約

(1) 自主規制

 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、事業者又は事業者団体は業種ごとに公正競争規約を設定し、それぞれ自主規制を行うことができると定めています(同法12条)。表示規約はこの規定に基づき不動産業界が自主的に定めた、ルールです。昭和38年に制定され、時代の変化に対応して改正がなされてきました。

(2) 表示の基準

 宅建業法が、不動産広告に関する基本的な禁止事項を定めているのに対し、表示規約では、正しい広告は、ただ嘘(うそ)をつかないだけではなく、消費者が不動産を選ぶ場合に必要と考えられる事項を表示することだという立場から、物件の種類と媒体別に必ず表示すべき事項を定めるなど、不動産広告について、きめ細かいルールが決められています。例えば、物件と各種施設までの距離・所要時間を表示するについては、徒歩時間は80メートルにつき1分として表示しなければなりません。又、広告における文字の大きさは、原則として7ポイント以上でなければならないという制約もあります。

(3) 用語の使用

 不動産広告において、抽象的な用語を使用することによって、消費者に誤認を与える場合があります。そこで、消費者を誤認させる可能性のあるような一定の用語については、原則として、その使用が禁止されています。使用が禁止される用語は、① 完全、完ぺき、絶対、② 日本一、抜群、当社だけ、③ 特選、厳選、④ 最高、最高級など最上級を意味する言葉、⑤ 格安、堀出、土地値、⑥ 完売、など著しく人気が高く、売行きが良いことを意味する言葉などです。もっとも、その表示内容を裏付ける合理的な根拠がある場合には、使用は禁止されません。

4. まとめ

 集客は円滑な事業のひとつの要であり、多くの顧客を惹(ひ)きつけるため、ルールを無視した広告をしたくなることもあるかもしれません。けれども、ルールの無視は、結局、宅建業者の信頼を失います。宅建業者は、不動産広告のルールに十分な注意を払って、業務を行わなければなりません。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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