法律・税務・賃貸Q&A

アナログな仕入れを強化してオーナー直物件を増やす方法

宮下 一哉
株式会社船井総合研究所 不動産支援部 チーフ経営コンサルタント

質問

 このコラムで、賃貸仲介ビジネスで勝つためには「ユニーク物件を増やそう」「管理物件を増やそう」と教わりました。そこで「オーナー直物件の仕入れ」から始めていますが、なかなかうまく回っていない感じがしています。どのような手順・方法で行うとよいのでしょうか?

月刊不動産2018年09月号掲載
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回答

Answer

 大事なことは「仕入れ業務の日常化」です。しっかり「時間割」に入れて実行しましょう。その際、「月初に仕入れを行う」「管理受託は空室対策から入る」という2つを意識することが重要です。

デジタルが常識をつくるマトリックスのような社会

 M i c r o s o f t 社のW i n d o w s の登場、Google社の設立から20年超が経過。いまや目の前の世界への入口は「インターネット」が主体であり、あらゆる基礎情報はインターネットを通じて検索することが「当たり前」「前提」となっています。さらにはApple社のiPhoneが登場して既に10年を超え、スマホを使ってインターネットにアクセスすることのほうが「当然」となり、大多数のユーザーの日常生活ではパソコンは過去のものとなりつつあります。もう1つ付け足すなら、メールもすでに過去のものとなっており、SNSを利用したチャットがコミュニケーションツールとして主力になっています。

 「1クリックで世界の情報へアクセスする」ことが社会の常識にあって、仕事においてもプライベートにおいても、私たちはインターネットからあらゆるものを享受することを前提として暮らしています。生まれたときからインターネットが存在していた世代にとっては、膨大な情報があふれているインターネットには「世の中のすべての情報」が載っていて、「そこに載っていないもの=世の中に存在しないもの」という認識なのかと感じることもあるほどです。社会は享受するものであって、自らが提供するものではない。逆に言えば、「どうしてわざわざ、インターネットに載っていないものを検索する必要があるのか?」「どうしてそんな面倒で非生産的なことをしなくてはならないのか?」ということが無意識的な前提であり、「常識」になっているようにさえ感じます。私の好きな映画に「マトリックス」という作品があります。内容は「目の前に広がる世界はすべてデジタルで造られた世界」という主旨で、現代はまさにそのような状況になってしまっているとさえ感じることがあります。

非常識な仕入れを徹底することで他社と差別化する

 それは賃貸仲介における仕入れでも同じで、店舗で働く仲介スタッフが物件情報を仕入れるための「元情報」は、インターネットで検索して取得することが当たり前になっています。逆に言えば、仲介スタッフは、インターネットに掲載されていない物件情報にアプローチすることを考えもしないという状況になっているということです。ですから、①店舗の周りの住宅街を歩いて物件を探すとか、②ブルーマップを広げて賃貸住宅をピックアップし、謄本からオーナー住所を調べ、104サービスなどで電話番号を調べてリスト化して電話するとか、そういった20年前までは当たり前だったことが「非常識」な業務になっています。それらは、ジュースを飲むのに果物から作るような、あるいは家を作るのに材料を探してから作り始めるような、それくらいの「面倒さ」「非常識さ」だと、現場の若手スタッフのみなさんが思ってしまうようなものかもしれません(言いすぎでしょうか? 笑)。しかしながら、デジタルシフトが超進んだ時代だからこそ、「アナログな仕入れ」が効いてきます。私が経営コンサルティングでお邪魔させてもらっている不動産会社では、そういうアナログな仕入れを徹底しています。その効果は、所属するフランチャイズで全国NO.1を取るくらいのレベルです。考えてみれば当然で、周りと違うことをすることが、商売がうまくいくコツなわけで、周りと同じことをしていたら競争に巻き込まれ、割引き合戦になったり、販促費がどんどん増えていったりして、利益率が下がってしまいますよね。だからこそ、いまや「非常識」であり、多くの不動産会社で実施されなくなった「アナログな仕入れ」を徹底して実施することが、業界で圧倒的に勝つコツになっているわけです。

アナログな仕入れ・実践編

 前置きがだいぶ長くなりましたが、「アナログな仕入れ」の重要性を改めて共有したく、しつこくお伝えしました。ここから実践編に入ります。「アナログな仕入れ」を強化する上で大事なことは3つです。

 ①については前述しましたので、ここでは説明不要ですね。注意点は1つ。オーナーリストをつくるための人員の手配です。外注するとか、アルバイトや派遣の人に来てもらうとか、もしくは残業代を支給して正社員が担当してもよいでしょう。大事なことは、通常の業務の中でやらないということです。時間を要するうえに中途半端になり、最終的には頓挫してしまうことが多いです。目の前の業務に追われて後回しになりがちな仕入れ業務を、会社として推進していく方針づくりと環境づくりが重要です。

 ②のポイントは、「毎月第1週にリストすべてに電話をかけ切ること」「毎日の午前・夕方で30分ずつ程度の仕入れのための電話タイムを設けて営業スタッフ全員で実施すること」「電話をする際のコールスクリプトを準備して行うこと」が重要です。「毎月第1週」にやり切る意味は、月末に多くの退去が出ることが多いなかで、いち早くその情報を取り切る必要があるからです。インターネット時代には、物件問合せから1週間程度で成約になっていくため、4週に分けて電話をすると、既に成約になってしまった物件は取扱いができず、チャンスを逃してしまいます。スピード重視で実施することが成果への道です。

 ③については、7月号でお伝えした家賃だけで入居できるような手っ取り早く成果につながる物件をもつことです。2016年以降再び空室が増え、オーナーに対する空室対策の提案が求められている状況で、「早く成約する方法」を持っておくことは大きな武器になります。

 実施すれば成果につながるのですが、実際はなかなか徹底できていることが少ないのが「アナログな仕入れ」です。今では「非常識」になってしまった方法だからこそ、他社と差をつける戦略になるため、ぜひ実施してみてください。

Point
  • インターネットの外にこそ「他社と差をつける物件がある」ということを社内で共有する。
  • アナログな仕入れは、外注をするか、もしくはアルバイトや派遣社員に頼むなど、通常の業務外で行う。
  • 経営者自ら、アナログな仕入れを徹底できる環境整備を行う。
  • オーナーリストを準備し、決まった曜日・時間に仕入れのための電話をかける。
  • 空室をスピーディーに満室化する武器を持つ。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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