第52回 全国不動産会議 宮城県大会 開催レポート


全国不動産会議宮城県大会

伊達な都、いまここから 〜「まちおこし」不動産業としての役割〜

 

 (公社)全日本不動産協会と(公社)不動産保証協会は10月20日(木)、宮城県仙台市の江陽グランドホテルで、第52回全国不動産会議宮城県大会を開催しました。当日は全国から、会員ら約1,300人が参加しました。今大会のテーマは、「伊達な都、いまここから 〜『まちおこし』不動産業としての役割〜」。

 東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏による記念講演や「日本版CCRCのためのスマートタウン」をテーマにした調査研究発表が行われた後、大会宣言が了承されました。引き続き行われた交流会では、伝統の仙台すずめ踊りなどのアトラクションを楽しみながら、全国から集まった会員同士が交流を深めました。

 

 

開会式(13:30-14:00)

 

 開会式の司会は、佐々木富見夫・教育研修委員とフリーアナウンサーの黒田弘子氏。小田原義征・全日教育研修委員長の開会挨拶に続き、小林妙子・宮城県本部長が「東日本大震災の際には全国の会員から支援をいただいた。御礼と報告を兼ねて我々が語り継ぐべきことなどを企画に盛り込み、心を込めておもてなしをしたい」と歓迎の挨拶を行いました。

 続いて、原嶋和利・理事長が挨拶を行いました。原嶋理事長は、「昭和42年に第1回大会が仙台で開催されて以降、全国不動産会議は会員の研鑽の場として毎年開催している。今年は東日本大震災の発生から5年が経過した仙台の地で開催できたことは大変意義深い」と述べるとともに、不動産業が直面している現状にも触れ、「少子高齢化社会や人口減少社会の中で、子育て世帯や高齢者に対応した安心な住宅をどのように提供していくのか。既存住宅の流通や空き家の利活用を含め、災害に強い街づくりも課題となっている。我々もしっかりと取り組んでいきたい」と語りました。

 安倍晋三・内閣総理大臣から寄せられた宅地建物取引士に対する期待を込めたメッセージが読み上げられた後、来賓の石井啓一・国土交通大臣代理の中田裕人・同省土地・建設産業局不動産業課長、奥山恵美子・仙台市長、伊藤博・全国宅地建物取引業協会連合会会長による挨拶がありました。最後に、小林本部長から原嶋理事長を通じて、次回開催県である島根県の木村勇治本部長に大会旗が引き渡されました。

 

 

 

記念講演(14:10-15:20)

 

スマート・エイジング上手な脳の鍛え方

講師 川島 隆太氏(東北大学加齢医学研究所所長)

 

 東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏が、脳の鍛え方について講演しました。川島氏は、加齢に逆らう「アンチエイジング」に対抗する言葉として、賢く年をとるという意味の「スマート・エイジング」という概念を提唱しています。健康で穏やかな生活を送るには脳を使う習慣を日頃から身につけることが大事であるとしたうえで、「脳のお手入れ」として記憶トレーニングのやり方を伝授してくださいました。

 また、会場でスクリーンを使った脳の情報処理速度の診断テストを実施し、参加者は自分の脳年齢と向き合い、一喜一憂する場面も見られました。

  

 

 

調査研究発表(15:35-16:30)

テーマ

日本版CCRCのためのスマートタウン

~次世代型住宅を核とした高齢者交流住宅のビジネスモデルについて~

 

 南泰裕・国士舘大学理工学部教授をコーディネーターとして、パネリスト3名による高齢者住宅をテーマとした調査研究発表が行われました。

 最初に高橋正・カイロス・アンド・カンパニー株式会社/ナースコール株式会社代表取締役社長が、「小さな高齢者住宅で作るクラスター型CCRC」をテーマに発表し、高齢者賃貸住宅は相談・緊急対応や介護・医療という安心安全の基礎的なサービスの他に健康づくりや食事、生活支援などの分野で生きがいの創造やコミュニティ参加の仕掛けづくりが必要であることを述べました。続いて大島芳彦・株式会社ブルースタジオ専務取締役による

「世代をこえた価値のバトンタッチ 『物語』のある不動産を」と題した発表では、リノベーション物件に歴史と未来を示す「物語」を加味することで、共感と愛着を持っても

らえる物件に再生できることを語りました。姥浦道生・東北大学大学院工学研究科・工学部教授は、「日本版CCRCと都市計画・まちづくり」をテーマに発表し、持続可能社会に対応したまちづくりをするためには地権者をどのように巻き込むかが重要であり、不動産業者の役割が大きいことを強調しました。

 発表の後、南泰裕氏によるパネリストへの質疑があり、その後、「地域に眠っている宝を探し、それを磨き育てながら不動産業者の仕事に役立ててほしい」とまとめました。

 

 

閉会式(16:35-16:50)

 

 閉会式では、次回の全国不動産会議島根県大会の紹介ビデオが披露された後、木村・島根県本部長による挨拶がありました。

木村本部長は、「雲が出ずる国である『出雲』には、10月に神々が集まるという言い伝えがあります。その出雲国・島根の地で来年10月に全国大会が行われることを喜ばしく思います。神様と一緒に福を持ち帰り、何らかの縁をつかんで帰っていただける大会になるよう準備していきます」と語りました。

 続いて、松永幸久・全日副理事長が大会宣言案を読み上げ、会場の拍手により採択されました。最後に、木ノ内諭・保証教育研修委員長が閉会挨拶を行い、閉会式を締めくくりました。

 

 

大会宣言

 

 

震災復興企画(16:50-18:00)

 

 東日本大震災をより深く知るための映像やパネル展示、大きな被害を受けた宮城県沿岸部の物産などを販売するコーナーを配置し、自由に参加者が見学できる時間を設けました。

 

○物産展

震災復興企画

 宮城県沿岸部の水産加工品や農産加工品のほか、宮城県の特産品を販売しました。まぐろメンチカツや梨、リンゴ、活ホタテなどが並び、注目を集めていました。また、熊本地震の被害を受けた熊本の名産品も彩りを加えました。

 

○パネル展示

震災復興企画2

 東日本大震災の被害を伝える「東日本大震災― 3.11を語り継ぐ」と題したパネル展示のほか、防災・減災のための活動を紹介するパネルも展示されました。

 

○講演会・シアター上映

震災復興企画3

 宮城県本部会員と専門家が震災当時の状況と復興に向けての歩みを、映像を使いながら解説しました。

 

 

交流会(18:00-19:30)

 

 佐々勝利・宮城県本部実行委員長の開会挨拶により、交流会が始まりました。村井嘉浩・宮城県知事が駆け付け、挨拶の中で東日本大震災発生後の全日の支援活動への感謝を述べられました。原嶋理事長の挨拶の後、河合敬之・東北地区協議会会長が音頭をとり乾杯となりました。

 会場では、アトラクションとして、『奥州・仙台おもてなし集団 伊達武将隊』によるパフォーマンスや『宮城大学すずめ踊りサークル 娘すずめ。』による演舞が披露され、大いに盛り上がりました。また、宮城県本部会員の発案により、震災支援ソング「花は咲く」を会場にいる会員と共に心を込めて合唱しました。

 その後、小林・宮城県本部長の閉会の辞により、全国不動産会議宮城県大会は盛会のうちに幕を閉じました。

交流会2  交流会3

 

交流会

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