全日本不動産協会中期ビジョンを策定しました
当協会では、『全日本不動産協会中期ビジョン 新時代の「豊かな生活」を支える産業であるために』を策定いたしました。
はじめに
平成から令和の時代を迎え、社会の空気が一新された感があります。振り返れば、バブルの絶頂から崩壊という経済激変が勃発したのが平成元年から平成2年にかけてでした。その後、失われた20年と呼ばれた低迷の時代が続くなか、阪神淡路大震災や東日本大震災をはじめとした大災害に、私たちは幾度となく見舞われました。そのような過酷な経験から、人と人が協力し合い助け合う“絆”という価値観が大きく重視されるようになったのが平成という時代だったと思います。そのような時代の遺伝子を引き継ぎ、経済的な豊かさだけではなく、心の豊かさも実現していくのが令和という新時代に課せられたミッションではないかと考えます。
不動産業も平成の時代に様変わりしました。バブル崩壊後の不動産流動化促進を目的として誕生した不動産証券化は、今や不動産ビジネスには欠かせない手法として定着しています。住生活基本法のスタートによって住宅の質もより高度化しました。そして宅地建物取引業法の改正により、これまでの宅地建物取引主任者が宅地建物取引士と生まれ変わり、より専門性と責任性が求められるようになりました。令和時代の不動産業は、これら平成時代の取り組みを引き継ぐとともに、今後さらに激しくなる時代の変化に対応し、社会により必要とされる産業として、その責務を担っていく必要があります。
国土交通省は27年振りとなる新しい不動産業ビジョンを策定しました。2030年を見据えて、不動産業の将来像を「豊かな住生活を支える産業」などと位置付けたうえで、民の役割として「信頼産業としての一層の進化」をはじめとした具体的な項目を掲げています。公益社団法人全日本不動産協会、公益社団法人不動産保証協会は、このような動きを踏まえつつ、中期ビジョン検討特別委員会を設置し、中川雅之・日本大学教授を座長として迎え、本ビジョンを取りまとめました。それぞれの課題に対処する対応策をアクションプランとして整理し、3つの「全日ビジョンのリボルビング」、4つの「全日プロジェクト」、10の「全日ガバナンス」を構築することとしています。
本ビジョンを指針として、令和時代の公益社団法人全日本不動産協会、公益社団法人不動産保証協会を築き上げてまいります。