税務相談

月刊不動産2010年12月号掲載

自宅のバリアフリー改修工事に係る所得税の特例

情報企画室長 税理士 山崎 信義(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

個人が借入金で自宅のバリアフリー改修工事をした場合の所得税の特別税額控除について教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 1.住宅借入金等特別税額控除の概要

     居住者が自己の所有する家屋について、一定のバリアフリー改修工事を含む増改築工事を行い、平成25年12月31日までの間に自己の居住の用に供している場合に、その工事費用に充てるために借り入れた住宅ローンを有するときは、増改築に係る通常の住宅ローン控除との選択制により、その住宅ローン残高の一定割合を5年間にわたり所得税額から控除します。

    2.対象となるバリアフリー改修工事の要件

    (1)改修工事を行う者が次のいずれかに該当すること。

     ①50歳以上の者

     ②介護保険法に規定する要介護又は要支援の認定を受けている者

     ③所得税法上の障害者である者

     ④65歳以上の親族又は上記②又は③に該当する親族のいずれかと同居している者

    (2)高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための修繕又は模様替えで、次のいずれかに該当するバリアフリー改修工事を含む増改築等であること。

     ①介助用の車いすで容易に移動するために通路又は出入口の幅を拡張する工事

     ②既存の階段の撤去を伴う階段の設置又は改良により、その勾配を緩和する工事

     ③浴室改良工事で、次のいずれかに該当するもの

     イ.入浴又はその介助を容易に行うために浴室の床面積を増加させる工事

     ロ.浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事

     ハ.固定式の移乗台、踏み台その他の高齢者等の浴槽の出入りを容易にする設備を設置する工事

     ニ.高齢者等の身体の洗浄を容易にする水栓器具を設置し又は同器具に取り替える工事

     ④便所改良工事で、次のいずれかに該当するもの

     イ.排泄又はその介助を容易に行うために便所の床面積を増加させる工事

     ロ.便器を座便式のものに取り替える工事

     ハ.座便式の便器の座高を高くする工事

     ⑤便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路に手すりを取り付ける工事

     ⑥便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路の床の段差を解消する一定の工事

     ⑦次のいずれかに該当する出入口の戸の改良工事

     イ.開き戸を引き戸、折戸等に取り替える工事

     ロ.開き戸のドアノブをレバーハンドル等に取り替える工事

     ハ.戸に開閉を容易にする器具を設置する工事

     ⑧便所、浴室、脱衣室その他の居室及び玄関並びにこれらを結ぶ経路の床の材料を滑りにくいものに取り替える工事

    (3)バリアフリー改修工事の費用の額(補助金等の交付を受ける場合は、その額を差し引いた後の金額)が30万円を超えるものであること。

    (4)増改築等後の住宅の床面積が50㎡以上であること。

    (5)増改築等の日から6か月以内に入居し、適用を受ける年の12月31日まで居住していること。

    3.控除額

    (1)適用対象となる借入金は、償還期間が5年以上の住宅ローンです。

    (2)控除額は、次の①と②の合計となります(最高12万円)。

     ①2.のバリアフリー改修工事に係る住宅ローン

     住宅ローンの年末残高のうちバリアフリー改修工事に要した費用の額に相当する部分(200万円を限度)×2.0%

     ②①以外の増改築工事に係る住宅ローン

     増改策等の住宅ローンの年末残高(1,000万円を限度)の合計額から①の部分を控除した部分×1.0%

    4.適用除外

     次の(1)又は(2)に該当する場合には、この特例の適用を受けることができません。

    (1)居住者の適用を受けようとする年分の合計所得金額が3,000万円超の場合。

    (2)居住の用に供した年とその前後2年ずつの5年間に居住用財産を譲渡したときにおいて、3,000万円控除等の譲渡所得の特例の適用を受けた場合。

    5.申告要件

     特例の適用を受けるためには、確定申告書に計算明細書その他一定の書類を添付して提出することが必要です。

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