税務相談

月刊不動産2006年12月号掲載

相続・贈与時の雑種地の評価

代表社員 税理士 玉越 賢治(税理士法人 タクトコンサルティング)


Q

雑種地の相続・贈与時の評価について教えてください。

A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

  • 1.雑種地の評価

     雑種地とは、飛行場、プール、変電所敷地、テニスコート、鉄塔敷地、坑口、やぐら敷地、煙道敷地、木場(木ぼり)、水路敷地等様々であり、ゴルフ場、遊園地・運動場・競馬場等、文化財構造物の敷地、鉄軌道用地を除いては、その評価方法が一律に定められています。

    (1) 近傍地比準価額方式

     雑種地と状況が類似する付近の土地について評価した1m2当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額で評価します。

     市街化区域の雑種地は、宅地比準方式により評価します。市街化調整区域の雑種地は、(a)周囲の状況が純農地、純山林、純原野の場合、(b)店舗等の建築が可能な幹線道路沿いや市街化区域との境界付近、(c)(a)又は(b)以外、の三区分に分けて評価します。

     (a)については、付近の純農地、純山林又は純原野の価額を基として評価します。

     (b)については、付近の宅地の価額を基として評価します。家屋の構造、用途等に制限を受ける場合の減価率30%を斟酌(しんしゃく)割合としますが、周囲に郊外型店舗等が立ち並び、宅地価格と同等の価格で取引が行われている場合の斟酌割合は0%とします。

     (c)については、原則として、建物の建築が禁止されている区域であることから、減価率50%を斟酌割合とします。

    (2) 倍率方式

     雑種地の固定資産税評価額に、国税局の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価します。

    2.雑種地に係る賃借権の評価

     雑種地に係る賃借権とは、材料置場、構築物等の敷地の用に供されている土地に係る権利のことをいい、その評価は、地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権かどうかによって区分されています。

     賃借権の存続期間については、契約によって定められた期間を基本としますが、所有する構築物等の状況により、その期間が更新されることが明らかであると認められるときは、更新により延長されると認められる期間を加算した期間となります。

     なお、賃借権のうち、臨時的な使用に係るものや、賃貸借期間が1年未満のものは、評価しません。

    (1) 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権

     次のような賃借権が該当します。

     (a) 賃借権の登記がされているもの

     (b) 設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの

     (c) 堅固な構築物の所有を目的とするもの

    このような賃借権の評価は、次のABのいずれか低い価額で評価されます。

      A 雑種地の自用地価額×残存期間に応ずる法定地上権割合(相続税法23条)

      B 雑種地の自用地価額×賃借権が借地権であるとした場合の借地権割合

    (2) (1)の賃借権以外の賃借権

     雑種地の自用地価額×残存期間に応ずる法定地上権割合(相続税法23条)×1/2

    3.賃借権の目的となっている雑種地の評価

    (1) 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権の目的となっている雑種地次の(a)(b)のいずれか低い価額で評価します。

     (a) 雑種地の自用地価額-上記2.(1)により計算した賃借権の価額

     (b) 雑種地の自用地価額-雑種地の自用地価額×残存期間に応ずる財基通86(1)イ(省略)の割合

    (2) (1)の賃借権以外の賃借権の目的となっている雑種地

     次の(a)(b)のいずれか低い価額で評価します。

     (a) 雑種地の自用地価額-上記2.(2)により計算した賃借権の価額

     (b) 雑種地の自用地価額 - 雑種地の自用地価額 × 残存期間に応ずる財基通86(1)イ(省略)の割合 × 1/2

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