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幹部育成・役職者育成のポイント

塔本 和哉
株式会社船井総合研究所 不動産支援部 チームリーダー

質問

営業社員を増やそうとしても役職者が育っていません。採用をしても育成担当がいないので、定着しづらく、いつまでたっても社長が現場から離れられません。どのようにして役職者を育てていけばよいでしょうか。

月刊不動産2020年11月号掲載
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回答

回答

 役職者育成のためには、昇格・降格基準の策定や、役職ごとの役割の策定・給与制度の策定等、社内で仕組みを作る必要があります。下記にポイントを記載いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 役職者育成に関しての考え方

 不動産売買仲介業において、客付け反響からの契約率が店舗全体で16~20%となっている場合、客付け営業の仕組みは整っていると思われます。その場合は、採用した営業社員の育成の体制を整えるとともに、役職者育成をし、社長の権限移譲をしていくことが大切になります。
 役職者の役割のイメージは下記の図表のとおりとなります。
 プレイングマネージャー(図表)が継続的に輩出できれば、新人の未経験社員であってもどんどん採用・育成ができるため、それに伴って業績アップを図ることができます。さらにマネージャー・部長職を輩出できれば、店舗の運営をある程度任せられたり、社長が別の事業を作っていくなど、業務領域を広げることも視野に入ってきます。
 継続的に業績を上げていくためには、役職者育成は必須となります。

2. 役職者育成のポイント~どのように目指してもらうか~

 多くの不動産会社から「営業社員が役職を目指していない」というお話を伺います。その場合、確認すべきことは、目指すための情報を与えられているかどうかです。
 役職を目指してもらうために大切になるのは、まずは「昇格・降格基準」を策定することです。どうすれば役職が上がるのかを明確にします。その場合、昇格の基準だけでなく、降格の基準も同時に策定しておく必要があります。次に「役職に応じた評価制度」を策定します。実際に役職に就いた場合の給与イメージを持ってもらい、役職を目指しやすくします。この「昇格・降格基準」と「評価制度」は最低限必要です。策定後は営業社員全員に開示するといいでしょう。
 さらに大切になってくるものは「役職ごとの役割」です。実際に役職に就いた際、これまで上長という立場の経験がない場合、何をすれば職務を果たしたことになるのかわからないというパターンが多いです。まずは社長が求める役割を策定しましょう。そうすることで、社員の実施する(目指す)役割と、社長の求める役割が一致します。
 最後に、事業計画発表の際などに、社長が「未来組織図」を発表することが大切です。中長期的な組織図を作成し、個人の名前を記載せずに提示することで、その役職を目指す人間が出てきます。

3. 役職者育成のポイント~どのように育成していくのか~

 前述の内容を実施することで、役職を目指す人間が出てくる可能性は高まりますが、実際に役職に就けるように、会社として育成をしていくことが大切になります。
 プレイングマネージャーに関しては、まずは個人で数字をあげることが重要です。また、部下の育成ができるようなマインドを社長とのコミュニケーションで作っていきましょう。個人の数字だけでなく、組織で数字を作っていくような考えを持つ必要があります。帳票の管理なども実施しながら育成をしていきます。帳票の入力管理を実施していくことで、今後役職に就いた場合の課題発見から改善提案ができる準備をしていきます。
 マネージャーに関しては、店舗や課の利益管理をすることで、販促費などの提案が出てくればベストです。育成としては、簡易的に粗利・人件費・地代家賃等を月次で管理し、経費コントロールの考え方を身につけてもらいます。
 また、数字をあげるためのKPI(重要業績評価指標)管理も実施するとよいでしょう。反響からの契約率や、営業社員の行動量・案件の管理などを実施します。
 組織体制として、営業15~20名未満の場合はプレイングマネージャー・マネージャーにも各組織の事業計画を立てさせます(それ以上の営業人数の場合はマネージャーのみでの実施でもよい)。また、立てた事業計画の進捗の確認会議(役職者会議)を毎月実施していくことで数字の意識、戦略のPDCAが身につきます。

幹部育成・役職者育成のポイント

①昇格・降格基準と役職ごとの給与制度を策定する。
②会社として求める役職ごとの役割を策定する。
③上記①・②を事業計画発表の際に未来組織図とともに発表する。
④プレイングマネージャー・マネージャーの育成を昇格前から実施していく。
⑤プレイングマネージャー・マネージャーにも事業計画発表を実施させる。
⑥事業計画の進捗を確認する役職者会議を実施する。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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