法律・税務・賃貸Q&A

平成27年度税制改正:住宅取得等資金贈与に係る贈与税の非課税制度の見直し

情報企画室長 税理士 山崎 信義
税理士法人 タクトコンサルティング

質問

平成27年度税制改正で見直しが行われた、住宅取得等資金贈与に係る贈与税の非課税制度について教えてください。

月刊不動産2015年07月号掲載
・閲覧された回数/ 5592回  ・参考になった人数 / 7人

回答


非課税限度額を拡大したうえ、平成31年6月末まで延長されることになりました。

 

 

1.住宅取得等資金の非課税制度の概要

 その年の1月1日において20歳以上である等の一定の要件を満たす個人が、父母または祖父母等の直系尊属から自己の住宅用家屋の新築、取得または一定の増改築等(以下、「住宅用家屋の新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下、「住宅取得等資金」といいます。)の贈与を受け、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を自己の居住用に供する一定の家屋の取得等の対価に充て、同日までに自己の居住用に供した等の場合は、贈与税の申告を要件に、住宅取得等資金のうち一定額に係る贈与税が非課税とされます。

 

2.適用要件

(1)対象となる受贈者

 贈与を受けた時に日本国内に住所を有する等の一定の個人で、住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日時点で20歳以上であって、その年の合計所得金額が2,000万円以下である者(「特定受贈者」といいます。)が対象です。

 

(2)居住用の家屋の要件

①日本国内にある家屋で、その登記簿上の床面積(区分所有の場合は区分所有する部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下であること。

②中古住宅を取得する場合、その家屋の取得の日以前25年(耐火建築物以外の家屋の場合は20年)以内に建築されたものであること。

③一定の「耐震基準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」または既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類により証明されたものであること。

④床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。

 

(3)増改築等の要件

 増改築等の工事に要した費用が100万円以上で、居住用部分の工事費が全体の工事費の2分の1以上であること等が要件とされます。

 

(4)相続等により財産を取得した個人が、相続等の開始前3年以内に住宅取得等資金の贈与を受けた場合の住宅取得等資金に係る相続税の取扱い

  相続等により財産を取得した個人が、その相続等の開始前3年以内に、その相続等に係る被相続人等から住宅取得等資金の贈与を受け、かつ、特定受贈者に該当する場合で、既に贈与税における住宅取得等資金の非課税制度の適用を受けて贈与税の課税価格に算入されなかった金額については、その被相続人(贈与者)に係る相続税の計算上、課税価格に加算されません。

 

 

3.平成27年度税制改正の概要

(1)非課税限度額―直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(東日本大震の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置を除く。)

 

非課税限度額を以下①②の通りとしたうえで、適用期限が平成27年1月1日から平成31年6月30日まで延長されます。

 

①住宅用家屋の取得等に係る対価の額または費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間

一定の省エネルギー性または耐震性を備えた良質な住宅用家屋の非課税限度額

 左記以外の住宅用家屋

の非課税限度額

平成28年10月~平成29年9月

3,000万円

2,500万円

平成29年10月~平成30年9月

1,500万円

1,000万円

平成30年10月~平成31年6月

1,200万円

 700万円

 

②①以外の場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間

一定の省エネルギー性または耐震性を備えた良質な住宅用家屋の非課税限度額

左記以外の住宅用家屋

の非課税限度額

     ~平成27年12月

1,500万円

1,000万円

平成28年1月~平成29年9月

1,200万円

 700万円

平成29年10月~平成30年9月

1,000万円

 500万円

平成30年10月~平成31年6月

 800万円

 300万円

(2)改正が行われた理由

平成27年度税制改正により、消費税率の10%への引上げが平成29年4月1日に延期される予定ですが、この税率引上げについては経過措置があり、平成28年9月末までに請負契約等を締結すれば、引渡しが平成29年4月以降であっても旧税率(8%)が適用されることになります。このため、住宅の取得等については、経過措置が終了する平成28年9月末にかけての駆け込み増とそれ以降の反動減が想定されます。

今回の改正では、平成28年1月~9月は駆け込み増を考慮して非課税枠を縮小し、平成28年10月以降は反動減対策として、消費税率10%が適用される住宅購入者のみを対象とした非課税枠(上記①)を創設して、住宅需要の喚起を図ることとしています。

 

 

【ポイント】

 ○住宅取得等資金贈与に係る贈与税の非課税制度とは、一定の個人が、父母等から住宅取得等資金の贈与を受け、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を自己の居住用に供する一定の家屋の取得等の対価に充て、同日までに自己の居住用に供した等の場合に、住宅取得等資金のうち一定額に係る贈与税が非課税とされる特例です。

 ○住宅取得等資金贈与に係る贈与税の非課税制度は、平成27年度税制改正により非課税限度額が拡大されたうえで、適用期限が平成31年6月末まで延長されました。

 〇住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間によって、贈与税の非課税限度額が変わることになりますので、注意が必要です。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

このQ&Aは参考になりましたか?

ホーム 協会について 一般のお客様はコチラ 開業・入会をご検討の方へ