税務相談
月刊不動産2006年2月号掲載
平成18年度税制改正 (1)(前編)
代表社員 税理士 玉越 賢治(税理士法人 タクトコンサルティング)
Q
昨年末に「平成18年度税制改正大綱」が発表されましたが、その概要について説明してください。
A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。
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昨年12月15日に発表された平成18年度税制改正について、今回と次回の2回にわたって解説します。今回は不動産関係税制に係る部分を中心に説明します。
1. 取得税関係
●登録免許税
土地に関する次の登記に対する登録免許税の税率は、平成18年4月1日~平成20年3月31日の間、次のとおり軽減されます。(1) 売買による所有権の移転登記1,000分の10(本則1,000分の20)
(2) 所有権の信託の登記1,000分の2(本則1,000分の4)
(3) 不動産登記に係る登録免許税の税率の特例 (売買による土地・建物の所有権移転登記
10/1,000)は、適用時期の到来(平成18年3月31日)をもって廃止されます。●不動産取得税
不動産取得税の標準税率(本則4%)を3%としている特例措置は、次のとおりとなります。(1) 住宅及び住宅用地に係る特例措置(3%)は平成21年3月31日まで延長されます。
(2) 商業地等の住宅用地以外の土地に係る特例措置(3%)は平成21年3月31日まで延長され
ます。
(3) 店舗、事務所等の住宅以外の家屋に係る特例措置(3%)を廃止しますが、平成18年4月
1日~平成20年3月31日までの2年間に限り、標準税率を3.5%とする経過措置が講じられ
ます。
(4) 宅地及び宅地比準土地の取得に係る不動産取得税の課税標準を価格の2分の1とする特例
措置は平成21年3月31日まで延長されます。●相続時精算課税制度(贈与税)
住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例の適用時期が2年延長されます。なお、5分5乗方式による贈与税の住宅取得資金贈与の特例は、適用期限満了により平成17年12月31日をもって廃止されます。2. 物納制度の見直し
相続税の物納制度について、平成18年4月1日以降相続・遺贈により取得した財産について、手続の明確化・迅速化の観点から見直しが行われます。
(1) 物納不適格財産の明確化~物納不適格財産、物納劣後財産の範囲の明確化と他に
物納適格財産を有するときのこれらの財産の物納申請の却下
(2) 物納手続の明確化~物納申請時に必要書類の要提出、補正・必要書類の提出請求後20日
以内に補正・提出がない場合の物納申請取下げ、廃材撤去等請求後1年以内に処理しない
場合の物納申請取下げ、これら期限の1年間延長
(3) 審査期間の法定~物納申請期限から3か月以内に許可又は却下決定
(4) 物納申請却下者の延納申請~物納却下後20日以内に延納申請
(5) 延納中の物納選択~申告期限から10年以内に限り、延納から物納への選択変更可能
(6) 金銭又は延納による納付困難要件について、判定方法の明確化
(7) 物納納付完了までの間、審査事務期間を除き、利子税の負担を求められます。(表)