法律相談
月刊不動産2009年7月号掲載
宅建業電子申請システム
弁護士 渡辺 晋(山下・渡辺法律事務所)
Q
宅建業の申請手続を、オンラインで行うシステムというのは、どのようなシステムなのでしょうか。
A※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。
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1.インターネットを通じて宅建業の申請・届出の手続を行う宅建業電子申請システムが導入されています。電子申請を利用すれば、オフィスから手続を行うことができるので、これまでのように行政機関の窓口へ出向く必要がなくなります。
2.さて、社会生活のあらゆる場面において、インターネットの活用は、必然的な流れです。
行政手続も、 平成15年2月に施行された行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(以下、「行政手続オンライン化法」という)によって、オンラインによる手続が推進されています。行政機関は、個別法令の規定により書面等で行うこととされている申請・届出の手続について、その法令の規定にかかわらず、オンラインにより申請をさせることができるようになっています(行政手続オンライン化法3条1項)。様々な行政手続において、書面とオンラインのいずれの方法によっても申請が可能になりはじめました。
3.宅建業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の、それぞれ免許を受けなければなりません(宅建業法3条1項)。免許の有効期間は、5年です(同条2項)。有効期間の満了後引き続き宅建業を営もうとする場合は、免許の更新が必要です(同条3項)。
また、宅建業者は、①商号又は名称、②法人である場合においては、その役員の氏名及び一定の使用人の氏名、③個人である場合においては、その者の氏名及び一定の使用人があるときは、その者の氏名、④事務所の名称及び所在地、⑤事務所ごとに置かれる専任の取引主任者の氏名について変更があった場合、30日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければなりません(同法9条)。
4.宅建業の申請・届出の手続は、従来、紙を利用して行われてきました。
しかし、宅建業の申請・届出の手続についても、行政手続オンライン化法によって、紙を利用せず、インターネットを利用して、オンラインで行うことが可能になっています。それが、宅建業電子申請システムです。
5.宅建業電子申請システムを利用するには、まず利用者情報の登録が必要です(http://www.takken.mlit.go.jp/)。利用者情報の登録にあたっては、申請提出者の氏名や連絡先、メールアドレス等を入力します。利用情報を登録すると、申請提出者には、申請提出者IDが付されます。
申請提出者IDを取得した時点では、申請提出者ID利用期間は、無期限に設定されています。利用期間を変更しない限り、無期限の使用が可能です。
オンライン申請は、24時間、365日受け付けられますが、土曜日・日曜日や祝祭日は、行政機関の休日で行政機関の執務は行われませんので、実際の許認可等の申請に対する審査は休日の翌日から開始されることになります。
申請があった電子申請書一式は、受付時に最新のパターンファイルでのウイルスチェックがなされます オンラインによる申請は、相手方の電子計算機のファイルに記録されたときに相手方に到達したものとみなすこととされています(行政手続オンライン化法3条3項)。
オンラインによって行われた手続については、書面によって行ったものと同一の法的効果があります(同条2項)。
6.行政機関への申請・届出は、宅建業務のスタートラインであり、適正な手続を行うことは極めて重要です。電子申請システムの利用は、適正な手続を円滑に行うために、今後、多くの宅建業者によって利用されることが望まれます。
なお、手続が電子化されたといっても、現在の紙での申請ができなくなるわけではありません。従来どおり紙での申請も可能です。宅建業者は、宅建業に関する申請について、オンライン(インターネット)で行うか、これまでの紙で行うかを、選択できるわけです。